リオデジャネイロ五輪が8月21日に閉幕した。この大会で日本勢は快進撃を見せ、過去最多となる41個のメダルを獲得。2020…
リオデジャネイロ五輪が8月21日に閉幕した。この大会で日本勢は快進撃を見せ、過去最多となる41個のメダルを獲得。2020年東京五輪に向けて期待をつなぐ成果を挙げた。
なかでも団体戦での勝負強さは際立っていた。個人戦では結果が出なくとも、団体戦では驚異的な力を発揮し、幾多の競技でメダルを獲得した。
先輩のために、仲間のために、日本のために…。自分以外の誰かを思う気持ち、助け合いの精神といった日本の良き国民性を団体戦を通じて改めて思い知らされた。
その日本人の精神を端的に表す選手たちの言葉を「名言」として集約し、日本の結束力と功績を振り返ってみる。
■「丈志さんを手ぶらで帰せない」…競泳男子800mリレー
競泳では男子800mリレーで日本が7分3秒50を記録し、銅メダルを獲得した。リレーに出場した萩野公介、江原騎士、小堀勇気が、最年長アンカーでリオデジャネイロ五輪ではリレーのみの出場となった松田丈志のために誓っていた。
「丈志さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」
この発言は4年前のロンドン五輪でも聞かれた言葉だ。同大会に参加していた北島康介に対して、「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」と松田が率先して発言しており、この時は400mリレーで銀メダルを獲得した。
今回の800mリレーでは銅メダルを獲得。これは1964年東京五輪以来、52年ぶりの快挙となった。
■「団結力は日本が一番」…卓球女子団体・福原愛
卓球女子団体で銅メダルを獲得した日本。試合終了直後、福原愛からとめどなく流れる涙は日本人の心を打った。ロンドン五輪の女子団体で銀メダルを獲得していた分、今回は「必ずメダルを獲らなければいけない」という重圧があったという。
個人戦では悔しい思いをした石川佳純は、団体戦ではエースとして全勝。途中、ベンチから退場となり、遠い位置から応援している姿も話題となったが、それも選手同士の気持ちが一丸となっている証だろう。
試合後の会見で福原が、一番年下で五輪初出場となった伊藤美誠を「自分の15歳の時よりも大人」と語れば、伊藤はふたりの先輩を「本当に心強い先輩」と話して強固なチームワークを感じさせた。
福原選手は大会前にも語っていたと前置きした上で、試合後の記者会見で再びこう語っている。
「団結力は、やっぱり日本が一番」
■「仲間との金メダルは全然違う」…体操男子団体総合・内村航平
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」
この名実況が生まれた2004年アテネ五輪で、体操男子団体総合は金メダルを獲得した。あれから12年、世界の体操界を牽引し、日本のエースを務める内村航平が団体総合で長年の悲願だった金メダルを獲得した。
「仲間との金メダルは全然違う。うれしいを超えている」
リオデジャネイロ五輪で内村は個人総合でも二連覇の快挙を達成したが、仲間と獲得した金メダルは格別だった。「すべてを出し切った」と語る表情からは、安堵感と充実感がみなぎっていた。
■「先輩とでなければ、この場所にいない」…バドミントン女子ダブルス・松友美佐紀
バドミントン女子ダブルス決勝で、世界ランク1位の高橋礼華・松友美佐紀ペアは、激闘の末にデンマーク代表ペアを破り、日本バドミントン史上初の金メダルを獲得した。
ファイナルセットで16-19と追い込まれるも、そこから執念の5連続ポイント。劇的な大逆転勝利をおさめて日本全国が感動に包まれた。試合後の会見で、松友はこう語っている。
「先輩とでなければ、この場所に来られなかった」
高橋は松友に対して「感謝しています」と話し、人目をはばからず号泣した。
■「日本のために…という気持ちでやった。今までにない感情だった」…テニス男子シングルス・錦織圭
テニス男子シングルスに出場した錦織圭は、3位決定戦でスペインのラファエル・ナダルを破り、日本にとって96年ぶりのメダルを獲得する偉業を達成した。この快挙の裏には「日本のために」という想いがあった。この大会を通じて錦織はこう語っている。
「自分だけじゃなく…日本のためというと大げさかもしれませんが、それぐらいの気持ちで今回やっていました」
五輪を含むこれまでの国際大会において、こうした感情を抱いたのは今回が始めてだという。自分だけでなく、サポートしてくれる人たちや日本のことを考えた時、自分でも想像していなかった力が湧いてきたのかもしれない。4年後、さらに進化した姿を見せてくれるに違いない。
■「日本のバトンパスが最高」…陸上男子400mリレー・桐生祥秀
陸上男子400mリレーで、日本は史上初の銀メダルを獲得した。山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥とバトンをつないだ。
個人で出場した100mでは9秒台を出した選手がひとりもいない中、4人を合わせて37秒60という驚愕のタイム(日本新記録・アジア新記録)をたたき出した。金メダルを獲得したジャマイカは9秒台をマークした選手がそろっていたが、第4走者のケンブリッジがジャマイカのウサイン・ボルトにあわや並びかけるという、最後まで諦めない戦いぶりを見せてくれた。第3走者の桐生祥秀はレース後にこう語っている。
「僕がどんなに思いっきりスタートしても、飯塚さんがバトンを渡してくれると言ってくれたので信じていた。より良い順位でケンブリッジさんに渡すことしか考えていなかった。日本のバトンパスが最高であるということを証明できた」
■チームのためだからこそ発揮される力は想像以上
団体競技に限らず、こうした日本人の精神が結果に結びついたエピソードには事欠かない。
レスリング女子53キロ級で4連覇が期待された吉田沙保里は、決勝で敗れて銀メダルに終わった。それでも48キロ級の登坂絵莉や69キロ級の土性沙羅ら新世代の選手が台頭。全6階級のうち4階級で金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。
この活躍の裏には、吉田や伊調らベテラン選手の存在があった。練習では率先して取り組み、五輪での体験を惜しみなく伝えた。ベテランが自身への厳しさを課すことで、若手もそれについてきた。レスリング女子の金メダルラッシュは、吉田を中心としたチームとしての成果を強調する声が多い。
チームとしての一体感という観点で考えれば、全階級でメダルを獲得するという偉業を成し遂げた柔道男子もその一例。各選手は個人戦を戦うわけだが、井上康生監督が選手個々を掌握した上で仲間意識を醸成。選手のモチベーションを巧みに引き出したことが大きな成果につながった。
自分のためだけではなく、仲間のため、チームのためだからこそ発揮される力は想像以上のものであると改めて証明してくれた。それこそが日本の国民性であり、他国に勝る強みであることを。
リオデジャネイロ五輪で見せてくれた日本勢の活躍は、4年後の東京五輪でのさらなる飛躍を期待させてくれるものだった。

リオデジャネイロ五輪、体操男子日本代表が金メダル(2016年8月8日)(c) Getty Images

卓球、女子団体で銅メダル!(c)Getty Images

【リオ2016】女子バドミントン、日本の"タカマツ"ペアがダブルスで金(c) Getty Images

錦織圭 参考画像(2016年8月14日)(c) Getty Images

【リオ2016】陸上・ケンブリッジ飛鳥「最高の気分!」…東京五輪は個人でのメダル目標に(c) Getty Images

銅メダルを獲得した男子800mリレー日本代表(2016年8月9日)(c) Getty Images

女子レスリングの伊調馨がリオデジャネイロ五輪で4連覇を達成(2016年8月17日)(c) Getty Images

リオデジャネイロ五輪女子レスリング69キロ級で土性沙羅が金メダルを獲得(2016年8月17日)(c) Getty Images

女子レスリングの登坂絵莉がリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得(2016年8月17日)(c) Getty Images

【リオ2016】柔道男子・原沢久喜が100キロ超級で銀メダル、男子は全階級でメダル獲得(c) Getty Images

競泳男子800mリレーで日本代表が銅メダルを獲得(2016年8月9日)(c) Getty Images

卓球女子団体で日本代表が銅メダルを獲得(2016年8月16日)(c) Getty Images

体操男子団体総合で日本代表が金メダルを獲得(2016年8月8日)(c) Getty Images

バドミントン女子ダブルスで日本代表が金メダルを獲得(2016年8月18日)(c) Getty Images

テニス男子シングルスで錦織圭が銅メダルを獲得(2016年8月14日)(c) Getty Images

陸上男子400mリレーで日本代表が銀メダルを獲得(2016年8月19日)(c) Getty Images