9回に乙坂が劇的サヨナラ弾、1勝1敗としたが…「なぜ状態の上がってないパットンを使ったのか」 DeNA 6-4 阪神(CS・6日・横浜)  DeNAは6日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)1stステージ第2戦(横浜)で劇的なサヨナラ勝…

9回に乙坂が劇的サヨナラ弾、1勝1敗としたが…「なぜ状態の上がってないパットンを使ったのか」

DeNA 6-4 阪神(CS・6日・横浜)

 DeNAは6日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)1stステージ第2戦(横浜)で劇的なサヨナラ勝ちを収め、1勝1敗のタイとした。8回から投入された守護神・山崎康晃投手が、イニング跨ぎとなった9回に福留孝介外野手に痛恨の同点被弾。しかし、その裏に乙坂智外野手の値千金のサヨナラ弾が飛び出し、踏みとどまった。

 ただ、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間はヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、DeNAの投手起用に“疑問符”をつける。乙坂の一発については「ラッキーボーイは大事な要素」としながら、継投策には問題があるとして、アレックス・ラミレス監督の采配には「選手に救われている部分がある」と指摘した。

 野口氏が最も疑問に感じたのは、1点リードで迎えた7回のパットンの起用だという。8月3日の巨人戦で1死も奪えず2失点で降板した際、ベンチで怒りを抑えきれず冷蔵庫を強打して、右手小指骨折で長期離脱していた助っ人右腕。この日、約2か月ぶりに出場選手登録されたパットンをラミレス監督は勝負どころで投入したものの、本調子とは程遠く、2安打1死球で降板。アウト1つは植田の盗塁死によるものだった。

 ここで登板したエスコバーが後続を断って無失点に抑えたものの、守護神の山崎が8回から登板する形に。2イニング目の9回2死までこぎつけながら、福留の同点ソロを浴びた。野口氏は言う。

「あそこでパットンを起用したことがよくありませんでした。パットンがどうこうというよりも、あれだけ状態の上がっていないパットンを投げさせたベンチがどうだったのかなと思います。それを分かっていて投げさせたのがどういうことなのか。例えば、同じ立場でパットンではなくて他の投手だったら、ぶっつけ本番で投げさせたのかなと感じました。

 そこでパットンを代えないといけなくなった。そして、投入したエスコバーも前日にも投げているので、8回は投げさせられない。では、エスコバーと山崎の間に国吉でいくかとなると、“万が一”があったら後ろがいなくなってしまう。そう考えると『山崎、2イニングいってくれ』となってしまう。第1戦で山崎を出せない状況になって後悔しているから、この試合は早めに出してしまおうというのもあったと思います。ただ、本当に意味のわからない継投になってしまっている。

 例えば、状態の上がっていないパットンであれば、武藤をベンチに入れておいたほうが戦力になったはずです。武藤がいれば(5回2死で)三嶋を使った場面で武藤を使えた。そして、今永につないで、パットンのところを三嶋でいけたはずです。そうなれば、エスコバーは8回、山崎が9回と使えた。今日は選手が救ってくれたからいいですが……」

「DeNAは『何をしたいんだろう』というところが少し多い」

 これに限らず、DeNAのCSに入ってからの采配の「ブレ」が気がかりだと野口氏は指摘する。

「阪神は選手みんなが与えられた持ち場をしっかりこなしているし、矢野監督も打つべき手をしっかり打っている感じがします。やっている野球にブレがないのは阪神の方です。DeNAは『何をしたいんだろう』というところが少し多いですね。この2日間は、理に適っていないところがいくつか見られるので」

 だからこそ、勝負の第3戦はお互いにしっかりとした野球をすることが重要だという。

「第3戦は総力戦になります。同じような戦い方になる。ベンチの戦術も含めて、当たり前のことが当たり前にできたチームが勝てると思います。どれだけしっかりした野球ができるか。もちろん、チームカラーがあるので、例えばDeNAの4人(ソト、筒香、ロペス、宮崎)にバントをさせる必要はありませんが、送ったほうがいいところは送るとか、思い切ってエンドランを仕掛けたほうがいいところは勇気を持って動くとか、そういうところができれば。その上で、乙坂はラッキーボーイというか“シリーズ男”的な選手はとても大事な要素で、そうなりうる可能性が出てきた。神里も調子がいいので、乙坂はスタメン起用ということはないでしょうが、いいところでのピンチヒッターで、というところでしょう。

 一方で、今の阪神は全員野球なので、この敗戦も変な影響はないでしょう。リリーフピッチャーは大変でしょうけど。ガルシアも相当疲れていますし、岩崎も2イニング目にいきましたから。その中で、阪神のピッチャーで鍵を握りそうなのは守屋だと思います。第1戦は先発・西の怪我でスクランブルで行ってピシャリと抑えて流れを作り、第2戦も流れを持ってくるピッチングでした。何かを持っている感じがあるので、守屋の頑張りに期待したいです。雰囲気的に怪しいところに出てきて、ピシャりと抑えて帰ってきて流れをもってくるとか、そういうピッチングに期待したいですね」

 ちょっとしたことで流れが変わるのが短期決戦。第3戦でも、チームに流れを持ってくる選手、采配が勝敗を分けることになる。(Full-Count編集部)