熱戦が続くラグビーワールドカップもプール終盤戦となり、いよいよベスト8争いも佳境に入ってきた。10月6日(日)は、東京スタジアムでプールBのニュージーランド対ナミビアの一戦が行われた。

オールブラックスことニュージーランドは初戦となる大一番の南アフリカ代表戦で、23-13とスプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)を下し、10日ほど空いた2戦目ではカナダ代表を63-0と完封勝ちで圧倒している。

一方のナミビア代表は、初戦は善戦するもイタリアに22-47、南アフリカには3-57と2連敗で勝ち点はまだ0だ。

カナダ戦から中3日で戦うオールブラックスは、12人の先発を入れ替えたが、LOにケガで休んでいたブロディ・レタリックが復帰し、今大会初出場。ゲームキャプテンを務めるサム・ホワイトロックとコンビを組む。

また、両翼にはスプリングボクス戦でも先発したWTBジョージ・ブリッジ&セブ・リースが入り、SHにアーロン・スミス、FBにベテランのベン・スミス、リザーブにはWTBリーコ・イオアネと、層の厚さを見せつけるラインアップとなった。

また、SOにはカナダ戦でWTBとして出場したバレット家の末弟のジョーディーが入り、バックアップは普段はSHを務めるTJ・ペレナラが控えた。

ナミビア代表は、南アフリカ戦から9人の選手を替えた。キャプテンのCTBヨハン・デイゼルがこの試合で初先発。また、LOチウエ・ウアニヴィ、WTBのJC・グレイリング、FBのヨハン・トロンプが3試合連続先発し、ベテランのSHユージーン・ヤンチースはリザーブに入った。

なお、2015年大会では、現在キャプテンを務めるCTBデイゼルがオールブラックスからトライを奪っている。

王者オールブラックスにナミビアがどこまでチャレンジできるのかが注目される一戦は、雨上がりの空の下、両チームの国歌斉唱、オールブラックスのハカ「カ・マテ」に続いて、13時45分にキックオフされた。

立ち上がり、落ち着かないオールブラックスに対して、ナミビアは積極的にボールをキープし、アタックする。ニュージーランドはラックで反則してしまい、ナミビアはショットを選択。

2分、SHダミアン・スティーブンスが22メートルの左からPGを決めてナミビアが0-3と先制する。

しかし、5分、今度はナミビアのペナルティ。ニュージーランドは敵陣5メートル左側でのラインアウトからワイドに展開、SOバレットのキックパスを右隅でカバーしていたWTBセブ・リースが走り込んでトライ。SOバレットのゴールは入らなかったが、5-3とオールブラックスがすぐに逆転に成功する。

その後、勢いづいたニュージーランドは左右にパスを展開し、ナミビアディフェンスを翻弄しながらフェーズを重ねるが、フィニッシュすることができず、逆にペナルティからナミビアは大きくエリアを戻し、LOのPJ・ファンリルのブレイクからキャプテンのCTBデイゼルに渡り後一歩でトライというところまで行くが、やはり届かない。

オールブラックスも決められないまましばらく得点の入らない時間が続くが、ようやく20分、No.8アーディ・サヴェアからCTBアントン・レイナート=ブラウンが30メートルを走り切ってトライ。10-3とする。

だが、それでも波に乗り切れないニュージーランドは、反則が多く、25分、29分にナミビアのSHスティーブンスにPGを決められ、10ー9と1点差にまで迫られる。

さらに、ニュージーランドPRネポ・ラウララがナミビアWTBのJC・グレイリングの頭へのタックルでシンビンとなり、10分間の退場。このため、予定より早くLOレタリックが退き、PRアンガス・タアヴァオが入る。

だが、その替わったばかりのPRタアヴァオが、ラインアウトから継続したボールを最後はパワーでトライラインを超え、15-9。SOバレットのコンバージョンも決まり17-9とする。

さらに前半ロスタイムにもスクラムから、最後はギャップを突いたFBベン・スミスがトライ。4トライでボーナスポイントを獲得。ゴールも決まりニュージーランドが数的不利を感じさせぬまま24-9で前半を折り返す。

後半に入ると、一気にオールブラックスが猛攻を仕掛ける。開始直後の1分、スクラムからPRジョー・ムーディがトライ。6分、さらにSOバレットのパスからCTBレイナート・ブラウンがこの日2本目となるトライ。11分にはWTBリースも2本目となるトライ、15分にはLOホワイトロックのトライと一気に畳み掛け、52-9と突き放す。

ナミビアも何度かラインブレイクしてチャンスを探すが、敵陣の22メートルラインを越えることがなかなか難しくなってきた。

オールブラックスは27分にもFBスミスのトライとSOバレットのゴールで7点を追加し、59-9。

残り10分となったところで、ナミビアも最後まで諦めることなくトライを狙って行く。32分、オールブラックス陣内22メートルまでナミビアが攻めたところで、ニュージーランドのPRオファ・トゥンガファシが首へのタックルでイエローカード。オールブラックスは残り時間を14人で戦うことになる。

ナミビアは敵陣5メートルのラインアウトからボールをキープし展開するも、逆にSOからWTBへ移動したバレットのキックでエリアを大きく挽回されてしまい、36分、ラインアウトからバレットがトライ。ゴールも決めて66-9とする。

38分、WTBリーコ・イオアネ、SHブラッド・ウェバーのパスからSOのTJ・ペレナラが左サイドを走り込んで相手のタックルを受けながらトライ。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)となったが認められ、71-9。

規律の悪さとミスが目立ったものの、終盤の7トライを含む大量11トライを挙げたオールブラックスがナミビアに貫禄勝ちした。

試合終了後は両チームが入り混じってファンに挨拶をして回り、48,354人の大観衆から拍手が鳴り響いた。

ナミビアのフィル・デーヴィスHCは、「世界一のチームと戦えたことがまずうれしいし、それに対して選手たちが懸命にプレーしてくれたことを誇りに思う。ナミビアのラグビーはまだまだアマチュアが多く、発展途上だが、こうして世界の舞台で戦うことができ、今日のようなたくさんの観衆の前でリスペクトを受けることができたのなら幸いだ」と笑顔でチームの健闘をたたえた。

ニュージーランドのスティーブ・ハンセンHCは、「前半はちょっとがっかりしている。後半は非常に良くなった。ジョーディー(・バレット)は本職でないにもかかわらず、素晴らしいSOとしてのプレーを見せてくれた。二人のスーパースターのSOを出さずに11トライを取れたことはまあ良かったことだ。最後のTJ(ペレナラ)のトライの時は思わず席を立ってしまったね」と語った。

オールブラックスはこれで勝ち点を14とし、決勝トーナメント進出はほぼ確実になった。最終戦は、10月12日(土)に愛知・豊田スタジアムでイタリアと対戦する。

ナミビアはプール敗退が決まったが、悲願の1勝をかけて、10月13日(日)に岩手・釜石鵜住居復興スタジアムでカナダと戦う。

 

◇兄ボーデンは「ウォーター」で弟ジョーディーをサポート

この日、SOとして出場したジョーディー・バレット。最初の2本のコンバージョンは外したものの、1トライ8ゴールで21点を叩き出す活躍を見せ80分間プレーした。その弟を見守るかのように、この日は「ウォーター」を務めた兄ボーデンが水を届けたり、キックティーを届けたりしてサポートしていた。