各プール、すでに後半戦を迎えているラグビーワールドカップ2019日本大会。10月5日(土)、世界ランキングを過去最高の8位としている日本代表も3戦目を迎え、同15位のサモア代表と愛知・豊田スタジアムで対戦した。会場には39,695人のファン…

各プール、すでに後半戦を迎えているラグビーワールドカップ2019日本大会。10月5日(土)、世界ランキングを過去最高の8位としている日本代表も3戦目を迎え、同15位のサモア代表と愛知・豊田スタジアムで対戦した。会場には39,695人のファンが集結し、その大半が日本代表を後押しした。

9月28日(土)、アイルランドから歴史的勝利を挙げた日本代表は2戦終了時点で総勝ち点9。3戦消化のアイルランドが総勝ち点11としているほか、スコットランド、サモアも勝ち点5と追随していることから、初の決勝トーナメント進出を目指す日本代表としては落とせない一戦となった。

なおかつ4トライ以上で得られるボーナスポイント(勝ち点1)付きでの勝利が最も理想的な形となったが、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「ボーナスポイントのことを考えていない。過去にもそれを考えた試合はなかったはず」とコメント。あくまで勝利のみをターゲットにする姿勢を貫いた。

先発はキャプテンのFLリーチ マイケルが先発に復帰したものの、ゲームキャプテンにはアイルランド戦に続いてFLピーター・ラブスカフニが指名された。「リーチにしっかりプレーさせるために負担を軽くした」(ジョセフHC)ためだ。ラブスカフニがゲームキャプテン、リーチがチームキャプテンという2人主将体制を敷くこととなった。

FLラブスカフニの他、PR稲垣啓太、LOジェームズ・ムーア、NO8姫野和樹(前の試合はFL)、SH流大、SO田村優、CTB中村亮土&ラファエレ ティモシー、WTBレメキ ロマノ ラヴァ&松島幸太朗が開幕戦から3戦連続で先発。2戦連続先発したHO堀江翔太はリザーブに回り、HO坂手淳史がワールドカップ初先発となった。アイルランド戦で殊勲の逆転トライを挙げたWTB福岡堅樹は引き続きリザーブからの出場を待った。

9月30日(月)のスコットランド戦で34-0と完封負けを喫したサモアは、わずか中4日で日本代表戦に臨んだ。日本のサントリーやサンウルブズでもプレーしたSOトゥシ・ピシはリザーブに回ったが、キャプテンのNO8ジャック・ラムをはじめ、LOピウラ・ファアサレレ、WTBエド・フィドウ、CTBアラパティ・レイウア、FBティム・ナナイ=ウィリアムズといった中心メンバーが先発した。

なお、WTBエド・フィドウはスコットランド戦でイエローカードを2度出され退場となり、日本代表戦には出場できない予定だったが、その後の裁定で処分が緩和され、出場が実現した。

前半、日本代表は敵陣でキックを交えてアタックを仕掛けて2分、7分とSO田村が続けてPGを成功させて6-0とリードを奪う。しかし今日の試合は相手の接点での圧力もありペナルティを多発し、9分、15分とサモアCTBヘンリー・タエフに連続PGを決められ、6-6の同点に追いつかれる。

それでも日本代表は23分、再びSO田村のPG成功で9-6と勝ち越すと、24分にサモアFLのTJ・イオアネがシンビン(10分間の一時的退出)となり、数的有利となる。すると27分、敵陣ゴール前のラックから展開した日本代表は左サイドでパスを受けたCTBラファエレ ティモシーが相手のギャップを突いてトライ。日本代表がチーム初トライで16-6とリードを広げる。

前半33分、PGを決められて16-9で前半を折り返した。後半も4分にサモアに続けてPGを決められ16-12と4点差に迫られる。だが、後半10分にSO田村が4本目のPG成功で19-12とリードを広げると、13分にはNO8姫野が敵陣ゴール前のラインアウトモールからトライを決めて26-12とさらにサモアを突き放すことに成功した。

32分にはサモアCTBタエフにトライを許したものの、直後の35分、途中出場のWTB福岡が右大外でラストパスを受けてインゴールへ飛び込みトライ。チーム3トライ目で31-19として、4トライ目、すなわちボーナスポイント獲得への期待が高まった。

そして後半40分を過ぎ、ラストプレーとなった44分、日本代表はサモア陣ゴール前でマイボールスクラムのチャンスを得ると、そこから左に展開し最後にパスを受けたWTB松島がパスダミーを交えながらインゴールへ。見事チーム4トライ目を決めて38-19とし、劇的な幕切れで勝ち点5の獲得に成功した。

日本代表のジェイミー・ジョセフHCは試合後、選手たちを称賛した。

「チームを誇りに思います。特にこんな終わり方をしたことに。これは決してあきらめない不屈の姿勢です。本当にフィジカルな戦いでした。サモアも最後まで私たちに余裕を与えてくれませんでした。4日前に試合をしたばかりだというのに大変印象的でした」

と、途中まで健闘したサモアに対するリスペクトも忘れなかった。

ゲームキャプテンのFLラブスカフニは、

「サモアは大変な相手でした。長い間私たちを苦しめましたし、質の高いプレーを見せてくれました。特に前半はシーソーゲームのようになりました。しかし幸運にもラストでボーナスポイントを獲得するトライができましたので、結果に満足しています」

とサモアを称えつつ、最高の結果に満足した様子を見せた。

敗れたサモアのスティーブ・ジャクソンHCは、

「日本は勝利に値します。私たちもプレッシャーをかけてチャンスをうかがったが、モノにすることができませんでした。私たちはなんとか得点を取って(観客を)静かにさせようとしました。それができた時もありましたが、最終的にできませんでした。今も聞こえるでしょう。今はこの雰囲気の一部であることが素晴らしいですね」

と、日本代表だけでなく日本のラグビーファンまでをも称賛した。

総勝ち点を14として再びプールA首位に立った日本代表は、10月13日(日)の全プール最終戦でスコットランドと神奈川・横浜国際総合競技場で対戦する。勝つか引き分けでプール通過が決まる大一番での日本代表の戦いぶりににおおいに期待してほしい!

◇WTBレメキがプレイヤー・オブ・ザ・マッチ選出!ゲインやアシスト光る

プレイヤー・オブ・ザ・マッチには、持ち味のパワフルなランによるビッグゲインにトライアシストにと80分間活躍した日本代表WTBレメキ ロマノ ラヴァが選出された。

試合後、レメキは、

「左から右WTBにシフトしたが、このチームではいろんな役割ができないといけない」

と、求められる仕事に対して対応できている実感を語りつつ、次のスコットランド戦に向けては、

「間違いなくタフな試合になる。このプールの勝者が決まる。(プールBの)ニュージーランドか南アフリカと当たるのかも。スコットランドは良いチームで、一度も日本は勝ったことがないが、過去を意識していない」

と、スコットランド戦とその先に目を向け、活躍を誓った。

トライについては「常に取りたいと思っている」と貪欲な姿勢を見せているレメキ。次こそは勝敗を決するトライを決めてくれるはずだ。