ラグビーワールドカップも10月に入り、プール戦も後半を迎えてさらに盛り上がっている。10月4日(金)は、静岡・小笠山公園総合運動場エコパスタジアムでプールBの南アフリカ対イタリアの試合が行われた。 スプリングボクスこと南アフリカは初戦でニュ…

ラグビーワールドカップも10月に入り、プール戦も後半を迎えてさらに盛り上がっている。10月4日(金)は、静岡・小笠山公園総合運動場エコパスタジアムでプールBの南アフリカ対イタリアの試合が行われた。

スプリングボクスこと南アフリカは初戦でニュージーランド代表に13ー23で敗れたが、ナミビア戦では57ー3と8トライで快勝した。決勝トーナメントには残りの2試合はしっかりと勝つ必要がある。

イタリアは、初戦でナミビアを47ー22、2戦目でカナダを48ー7と格下相手にきっちりと勝利しボーナスポイントも獲得、現在は勝ち点10でスプリングボクス、オールブラックスを上回りプール首位に立っている。とはいえ、悲願のベスト8進出には、やはり南アフリカ、ニュージーランドの強豪の一角を崩さないといけないだろう。

風もありいくらか涼しくなった今日の試合は、南アフリカ代表が最初から勢いをつけて攻めていく。

フィジカルな戦いを予想してリザーブにもFWを6人入れて臨んだイタリアだが、開始2分を過ぎていきなりPRシモーネ・フェラーリがハムストリングを痛めてマルコ・リッチョーニと交替する。

5分、ラインアウトからボールを展開し、最後は右サイドラインを走り抜けたWTBチェスリン・コルビがトライ。SOハンドレ・ポラードのゴールも決まり、7ー0と南アフリカが先制する。

イタリアも8分、SOトンマーゾ・アランのPGで3点を返し7ー3とするが、11分、今度はイタリアがハイタックルの反則で南アフリカにペナルティを与えてしまう。SOポラードがきっちりとPGを成功させ、10ー3とする。

イタリアも何度か敵陣ゴール近くまで攻め込むものの、トライラインを越えることができない。

17分には交替で入ったPRリッチョーニもHIA(ヘッドインジャリーアセスメント)で退いてしまい、アンコンテストのスクラムになる。

イタリアはそれでも敵陣で攻めるが、反則で南アフリカに自陣に戻されてしまう。26分、南アフリカは敵陣5メートルのマイボールラインアウトからドライビングモールで最後はHOボンギ・ムボナンギがトライ。SOポラードのゴールも成功し、17ー3と突き放す。

後半、なるべく早く点を取りたいイタリアはFLジェイク・ポレドリ、ブラアム・ステイン、No.8パリッセらバックローがブレイクし、敵陣5メートルまで攻め込むも、後半2分、南アフリカのNo.8ドゥエイン・フェルミューレンにPRアンドレア・ロヴォッティがチップタックルでレッドカード。チャンスから一転、イタリアはさらにフロントローを失い、数的不利な状況に陥る。

南アフリカは落ち着いて試合を運び、10分にポラードのPGで3点を加え20ー3とすると、12分、SOポラードのクロスキックをWTBコルビが拾い上げ右サイドを走ってトライ。25ー3とリードを広げる。

イタリアもチャンスを作るが、17分、パスミスから南アフリカのCTBルカニョ・アムにターンオーバーされ、一気に走りこまれてトライを許す。この時点で4トライとなり、南アフリカはボーナスポイントを獲得。SOポラードのゴールも決まり32ー3とイタリアを突き放す。この時点でSOポラードはパーシー・モンゴメリーの記録を抜いて113得点で南アフリカ史上ワールドカップの最多得点を記録する。

27分にもWTBマカゾール・マピンピ、35分にLOのRG・スナイマン、終了間際の40分にHOマルコム・マークスもトライを決め、南アフリカが結局7トライを挙げ49ー3でノーサイド。

快勝の南アフリカ、ラシー・エラスムスヘッドコーチ(HC)は、「パーフェクトとは言えなかったが、強みであるフィジカルは出せたゲームになった。セットピースは素晴らしかった」と喜んだ。

キャプテンのFLシヤ・コリシは「コーチ陣には強度とワークレートを要求されていた。ビースト(PRテンダイ・ムタワリラ)達がスクラムを押してくれた。美しくないかもしれないが、私たちにとってはボールがトライラインを割れば良い。フィジカルに戦えた」とチームのパフォーマンスに満足した。

一方、大敗となってしまったイタリアのコナー・オシェイHCは、「今まで一生懸命にやってきた全てが壊れてしまった。南アフリカの強さはわかっていたし、17ー3で後半に入った時までは、まだ何かできると思っていた。だが(レッドカードという)愚かなことが全てを終わらせてしまった。選手達は最後まで気丈に戦ったが、この相手に14人で勝つのは不可能だ。そして次はニュージーランド戦だ。タイトヘッドにけが人も出てしまった。どうしたらいいのか」と声を詰まらせた。

キャプテンのNo.8パリッセは、「南アフリカは確かに強かったが、それ以上に私たちは大きな過ちを犯した。この試合からせめて何かを学んで未来に繋げないといけない」と唇をかんだ。

快勝で総勝ち点を10とした南アフリカは、最終戦で10月8日(木)に神戸でカナダと対戦する。イタリアも総勝ち点は10だが10月12日(土)の豊田での最終戦の相手はニュージーランドで、決勝トーナメント進出の可能性が限りなく低くなった。

◇WTBチェスリン・コルビがプレイヤー・オブ・ザ・マッチ

9月6日の日本代表戦で2トライのWTBチェスリン・コルビ。この日がワールドカップ初トライとなったが、2トライを挙げ、またディフェンスでも激しいタックルで大活躍した。

「ボールを持って走るのが大好きなんです。僕たちのようなWTBにとって、ワイドに展開してボールを持って走るのはとてもエキサイティングなんです。でもこれは選手みんながハードワークしてゲームプランを遂行した結果です」とトライを喜びつつも、チームメイトに感謝した。