「楽天ジャパンオープン」(日本・ 東京/9月30日~10月6日/ハードコート)の大会2日目、男子シングルス1回戦で、第2シードで世界14位のボルナ・チョリッチ(クロアチア)を6-4、4-6、7-6(5)で破り、同大会初勝利を挙げたダニエル太郎(日本/エイブル)。試合後の記者会見では、昨年の活躍により変化した環境、そしてその後の不調、自分との向き合い方などを赤裸々に語った。そんなダニエルは、以前ノア・ルビン(アメリカ)の「Behind The Racquet—ラケットのうしろに」と題された、ラケットを顔の前にもった写真とともに、選手たちやテニス関係者がパーソナルな想いを投稿するプロジェクトに参加し、苦しかったころの胸の内を語っている。

「プレッシャーはやはり感じる。原因はいろいろだけれど、自分自身からのプレッシャーが主で、日本のファンの方々からのもの少しあるかな。僕は、自分と同等かそれ以上のランキングの選手よりも、スポンサーに恵まれているし、経済的なサポートも多いと思う。時々、そのことで罪悪感を感じることもあるんだ」

「僕とランキングが変わらないような選手たちが、経済的に大変な思いをしていたりする。日本で得た環境を維持するためにも、ランキングを上げるために頑張らなくてはいけないという重圧は感じるよ。去年は、満足のいく金額を獲得できた初めての年だった。もう少し僕が若ければ"テニスでこんなにも稼げるのであれば、幸せで、満ち足りているはずだろうし、お金のことを心配する必要もなくなる。そうすれば、もっと自分のテニスを磨くことに専念できる"と思っただろうね」

「お金やスポンサーが舞い込んでくると、今度は新しい困難が待ち受けているんだ。思ってもいなかったような、経験をしたことのない問題だよ。今年は、それに立ち向かわなくてはならなくなって、思ったよりも苦戦を強いられているよ」

「去年は、初めて日本の大きなテレビ番組に出演させてもらって、少しは名前が知られるようになったんだ。すべてが変化して、成功することも少し楽になるかなと思ったよ。だけれど、2~3年前は、チャレンジャー大会のレベルでまったく問題はなかったのに、自己最高ランキング67位まで到達した後の今の方が、勝つのに苦労しているんだ」

「始めたころには、有名になりたいだなんて考えもしないものだと思う。そうなったらいいだろうなというくらいは思っていたけれど、そのためにテニスをしているわけではないからね。でも一旦その名声を、かけらでも手にしてしまうと、何かが変わってしまうんだ。それは、ドラッグのように、手元にないと"どこに行ったんだ?"と不安になってしまうようになる」

「数か月前は"全米オープン"のスタジアムで試合をしていた俺が、5人しか観客のいないチャレンジャー大会の1回戦で戦っているのか...って脳裏で考えるようになるんだ。上のクラスのフューチャーズトーナメントやチャレンジャー大会に出場する選手たちが、どれほど強い選手たちなのか、大抵の人たちは知らない」

「最近、自分の感情としっかりと向き合って、プレッシャーを受け止めるができるようになったんだ。とにかく真っ向から立ち向かっていくことしか、道はないのだと気が付いたんだ」

ダニエルは2回戦で、ジョーダン・トンプソン(オーストラリア)と対戦する。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「楽天ジャパンオープン」でのダニエル

(Photo by Koji Watanabe/Getty Images)