ナ・リーグ西地区の首位を独走し、現地時間9月10日に7年連続18回目の地区優勝を果たしたロサンゼルス・ドジャース。…

 ナ・リーグ西地区の首位を独走し、現地時間9月10日に7年連続18回目の地区優勝を果たしたロサンゼルス・ドジャース。レギュラーシーズン全日程が終了し、プレーオフ、昨年に手が届かなかったワールドシリーズ制覇に向かうことになるが、メジャー4年目の右腕・前田健太の活躍がカギを握っている。



リリーフとしてプレーオフでの活躍に期待がかかる前田

 先発投手として今シーズンをスタートした前田は、3月30日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で初勝利を挙げると、5月は登板した4試合すべてで勝ち星を挙げるなど、順調に勝ち星を重ねた。しかし後半戦は一転。8月10日に8勝目を挙げた後はしばらく白星から遠ざかり、デーブ・ロバーツ監督は9月2日、前田にリリーフ転向を言い渡した。

 一部では「リリーフへの”降格”」という報道もされたが、前田のポジション変更は、ドジャースの投手事情も大きく関係している。

 ドジャースの先発陣は、過去に3度のサイ・ヤング賞を獲得したクレイトン・カーショーが16勝5敗、5月の月間MVPに輝いた柳賢振が14勝5敗、100マイル(約160キロ)右腕のウォーカー・ビューラーが14勝4敗と、プレーオフを戦うには十分な投手が揃っている。

 一方で、リリーフ陣は不安を抱えている。前田も「ケンリー(・ジャンセン)以外は決まっていない」と語るように流動的で、2012年から守護神を務めるそのジャンセンも、今シーズンは33セーブを挙げたものの防御率は3.71と、ここ数年に比べると安定感はない。

 そこで白羽の矢が立ったのが、過去2年のポストシーズンでリリーフ投手としての実績がある前田だ。ロバーツ監督は、9月8日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦を前に「ケンタはいわば第2先発。とても重要な役割だ。プレーオフでは、毎試合大事なところで準備させる」とコメントするなど、大きな期待を寄せている。

 その試合で3回から2番手として登板し、4イニングを1安打無失点。およそ1カ月ぶりの勝利を挙げたインタビューで、プレーオフについて問われた前田は次のように答えた。

「今日は、監督から『ある程度長いイニングを投げてもらう』と言われていました。先発投手ではないので、そこまで勝ち星は重要ではないと思いますし、それよりも大切なのは内容。全球種を投げられた点はよかったと思う。

 監督から起用法を明言されたわけではないですが、プレーオフではシーズン中のように先発を我慢して(長く)使うようなことは決してない。何が起こるかわからない戦いになると思うので、いい状態をキープして、いつでも投げられるように準備していきたいです」

 これまでも、ドジャースのポストシーズンの戦いを支えてきた”リリーフ投手”前田。2017年には9試合に登板し、防御率0.84という抜群の安定感を見せた投球の再現を、デーブ・ロバーツ監督も思い描いているに違いない。

 今シーズンの前田は、バットに当たった後に飛んでいく打球の速度を示す「exit velocity」の数値が低く、今シーズンのリーグ4位にランクインしている。長打が許されない試合終盤の局面において、心強い数値だ。実際に、リリーフ転向後に今シーズン初セーブを挙げた9月2日のコロラド・ロッキーズ戦では4回を投げて2本塁打を許したものの、その後の9試合では11回2/3を投げて被本塁打はわずか1のみ。

 その本塁打を許した9月17日のタンパベイ・レイズ戦で、前田は2年ぶりの2ケタ勝利となる10勝目を挙げた。それでも「(2ケタ勝利は)いいんじゃないですか。(リリーフなので)関係ないといえば、関係ないですけど」と淡々と振り返り、得点を許した投球について「(本塁打を打たれたボールは)甘かった。切り替えるしかない」と表情を変えずに語った。

 その言葉通り、次にマウンドに上がった9月20日、翌21日のロッキーズ戦では2日連続で無失点。前田は「しっかり準備し、いい流れができている。(リリーフに)だいぶ慣れてきた感じがあるので、いい状態をキープしたい」とポストシーズンに向けた抱負を語り、その後の3試合も得点を許さず、3回1/3で5奪三振という完璧な内容でレギュラーシーズンを締めくくった。

 前田とロバーツ監督が、「準備万端」と口を揃えるドジャースのプレーオフは、現地時間の10月3日に本拠地ドジャースタジアムで幕を開ける。昨年、ワールドシリーズでボストン・レッドソックスに1勝4敗で敗れ、手が届かなかった「世界一」の座。1988年以来となるワールドシリーズ制覇を手繰り寄せるため、その優勝した年に生まれた前田がチームを支える。