ラグビーワールドカップのプールステージの決勝トーナメント進出争いもいよいよ佳境に入ってきた。10月2日(水)は、東平尾公園博多の森球技場(福岡)でプールCのフランス対アメリカの一戦が行われた。 初戦でアルゼンチン代表を接戦で下したフランスは…

ラグビーワールドカップのプールステージの決勝トーナメント進出争いもいよいよ佳境に入ってきた。10月2日(水)は、東平尾公園博多の森球技場(福岡)でプールCのフランス対アメリカの一戦が行われた。

初戦でアルゼンチン代表を接戦で下したフランスは、FLアルトゥール・イトゥリア、WTBヨアン・ウジェ、CTBガエル・フィクー以外12人の先発を入れ替えた。SOはアルゼンチン代表戦で決勝のDGを決めたベテランのカミーユ・ロペスが入った。

一方、初戦はイングランド代表に45-7と大敗したアメリカ代表。けが人や出場停止なった選手も出たため、5人の選手を入れ替えて臨んだ。

アメリカ代表はフランス代表に過去一度しか勝ったかことがないが、どこまでアメリカ代表がフランス代表に食らいついていけるかが注目された。

この試合は台風の接近により、一時は開催が危ぶまれたが、キックオフ直前に少し強い雨が降ったものの無事キックオフを迎えた。

アメリカのキックオフで始まった前半は5分、フランスは自陣からパスを繋ぐカウンターで攻め上がり、LOベルナール・ルルーのオフロードからSHマクシム・マシュノー、最後はSOカミーユ・ロペスのキックパスからWTBヨアン・ユジェがトライ。FBトマ・ラモスがゴールを決め、フランスが7-0と先制する。

対するアメリカは、序盤にチャンスを何度か作りながらもトライを取りきれなかったが、18分、SOのAJ・マクギンティがPGを決めて3点を取す。

フランスは23分にSOロペスがこの日2本目のキックパスを通し、キャッチしたフィジー出身のWTBアリベルティ・ラカのトライで12-3とリードを広げる。しかし、アメリカは30分にSOマクギンティのPGで再び3点を返すと、そのまま12-6で後半へ折り返した。

後半も地力で上回るフランスが優勢に試合を進めるも、アメリカは粘り強いディフェンスを見せフランスのハンドリングエラーを誘い、後半中盤にさしかかるまで、しばらく拮抗した状態が続く。

24分、アメリカは敵陣22mラインでペナルティを獲得し、ショットを選択。SOマクギンティがPGを決め、12-9と点差を縮める。

たが、直後の26分、フランスは確実にパスで展開し15フェーズを重ね、最後はCTBフィクーのトライを決めて19-9とする。

さらに29分にはSOロペスのキックパスからさらにパスを繋ぎ、途中出場のSHバプティスト・スランがインゴールへと持ち込み、4トライ以上で付与されるボーナスポイントを獲得(26-9)。38分にもドライビングモールからPRジェファーソン・ポワロのトライで試合を決め、結局フランスが33-9で開幕2連勝を飾った。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはキックパスでトライを演出したSOロペスが選出された。

アメリカのギャリー・ゴールドヘッドコーチ(HC)は、「非常に選手達を誇りに思います。ミスもありましたけど、65分間、フランス相手に選手達は最後まで諦めないで戦いました。ミスがあったら勝てませんし、トライも取れただろうと思うこともありますが、それでも選手達のパフォーマンスは素晴らしかったです」と、先日のイングランド戦とは違って笑顔で選手達をたたえた。

キャプテンのWTBブレイン・スカリーも「フランスは強かった。後半24分にPGを選択したのは、やはりフランスのFWが強かったから。アメリカのラグビーがベストなチームになれるよう、これからも努力を続けていきたい」と前向きに語った。

フランスのジャック・ブリュネルHCは、「暑いし湿気もあったので、フィジカル面でタフな試合だった。ハンドリングエラーも多くなってしまった。その割には勝ち点5を取れたのは悪くない」と表情一つ変えず語った。

ゲームキャプテンを務めたキャプテンのNo.8ルイ・ピカモルは、「簡単な試合は一つもないが、やはり厳しい試合になり、特に60分間はそうなってしまった。リザーブの選手たちがリズムを変えてくれた」と途中出場のチームメイトに感謝した。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチのフランスのSOロペスは、ちょっと難しい試合になってしまったけど、どうあれボーナスポイントをとって勝てたことが大事だ。まだ大会は続くし、中3日で次がある」と、結果に満足しつつも、次に向けて気を引き締めた。

勝ったフランスはボーナスポイントを獲得し、勝ち点9でイングランドに次いでプール2位につけている。次は10月6日(日)に熊本・熊本県民総合運動公園陸上競技場でトンガ代表と対戦する。未だ勝ち点のないアメリカは、次は10月9日(水)に、埼玉・熊谷ラグビー場でアルゼンチンと対戦する。

◇CTBフィクー50キャップ&シラク元大統領へ黙祷

フランスのCTBガエル・フィクーがこの試合で50キャップを獲得。セネガル人の父を持つフィクーは少年時代サッカーをやっており、ASモナコやソショーといった名門クラブのユースにも声がかかるほどだったが、ラグビーを選択し、2013年のシックス・ネーションズのスコットランド戦で19歳にしてフランス代表デビューしている。

また、この試合に先立ち、9月26日に86歳で逝去したジャック・シラク フランス元大統領を悼み、黙祷が捧げられた。シラク氏はCAブリーヴのユースでNo.8やLOでプレーし、大学時代までラグビーを続けていたラガーマンで、2007年のワールドカップ開催にも尽力した。