格闘技イベント『UFC202』が8月20日、米国ラスベガスのT-Mobileアリーナで開催された。メインではコナー・マクレガーとネイト・ディアスが対戦、5ラウンドの死闘の末、マクレガーが2-0の判定で勝利を収めた。

3月のUFC196でも対戦した両者。そのときは2階級上の相手にマクレガーが序盤からスタンドでペースを握るも、ネイトのワンツーが顔面をとらえたところから形勢逆転。最後はグラウンドでチョークが決まり一本負けを喫した。

ふたりの再戦は当初7月の『UFC200』で予定されていたが、4月にマクレガーが起こした引退騒動により撤回、紆余曲折を経て今回ようやく実現した。
■序盤はマクレガーがローから主導権を握る

第1ラウンドは序盤から、マクレガーが左のローキックでネイトの意識を下に持っていく。出入りの激しい動きで顔面にパンチを集めた前回の戦いから、大きく戦略を変えてきたことがうかがえる立ち上がりだった。

狙い通りローから顔面への左ストレートにつなげたマクレガーはダウンを奪うが、ネイトの柔術を警戒してグラウンドで深追いはしなかった。ヒートアップしたネイトも拳を振るうが、スタミナがある段階ではマクレガーのほうがスピードで上回っていた。

第2ラウンド、セコンドに「この調子で行こう」と送り出されたマクレガーは、鋭い踏み込みから左の強打で再びダウンを奪う。だが今回もネイト相手に寝技は挑まない。立たせて再開する。

前のラウンド同様にローを蹴るマクレガー。ネイトは顔面から出血しても闘志が衰えることなく前へ出続ける。ネイトのパンチにカウンターを合わせるマクレガーだが、徐々に相手の圧力に屈して後退する場面が増えてきた。

ガス欠を感じさせるマクレガーに対し、徐々に体格で勝るネイトの時間が始まった。パンチが顔面に届き始め、第1ラウンドでは見られなかった連打も出る。ついにネイトの拳がマクレガーをとらえダウン。すぐに立ち上がったが、ネイトはマクレガーを金網に詰めて連打。

逆転劇の再現かと沸き立つT-Mobileアリーナ。だがマクレガーがしのぎ切り、なんとか第2ラウンドを生き延びた。

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■中盤は体格と体力で勝るネイトの時間

第3ラウンドに入るとスタミナ切れのマクレガーを、身体の大きなネイトが追い詰める構図が鮮明となる。距離を取るマクレガーにネイトは「逃げるな」と挑発。組み付いてケージ際の攻防に持ち込むと、細かな連打で残り少ないマクレガーのスタミナを削っていく。

マクレガーも鋭い左右のパンチを振って、まだガス欠ではないとアピール。それでもネイトが前に出ていくとプレッシャーに後退せざるを得ない。両手を広げ「来いよ」とアピールするネイトにバックスピンキックを出すマクレガー。それをネイトがキャッチしてケージに押し付ける。
脱出したマクレガーだがスタミナを消耗し、ネイトに背を向けながら距離を取る。ラウンド終盤にはケージ際でネイトが左右フックの連打、マクレガーは棒立ちになりかけるが気力で動き続けノックアウトは免れた。

第4ラウンドのマクレガーはローとジャブで距離を取る。キックの距離でマクレガーの左前蹴りがネイトのボディにヒット。これでネイトが後退したのをマクレガーは見逃さなかった。動きが鈍ったネイトに前蹴り、ロー、飛び込んでボディへのパンチと狙いを絞る。

ボディを嫌がるネイトの顔面へヒジの連打。テイクダウンがほしいネイトに組み付かれるがケージ際で耐える。オクタゴン中央に戻っての打ち合いでマクレガーはパンチをもらうが、左右の連打を返して劣勢を盛り返す。

■終了間際にネイトが千載一遇の好機も時間切れ

両者とも気力と体力を振り絞る総力戦になった最終ラウンド。マクレガーはロー、ワンツー、飛びヒザも見せていく。前に出たネイトが組み付いてケージに押しつけるも、マクレガーが差し返して体を入れ替え脱出に成功。

再び組み付いたネイトはダブルレッグを狙うが、マクレガーが腰の重さを発揮して阻止。脱出したマクレガーは背を見せながら歩いて距離を取る。ネイトは指差して挑発。かなり前からボルテージが最高潮に達していた客席からは、もはや歓声ではなく絶叫に近い悲鳴。

ガードの隙間を探すようにパンチを繰り出すマクレガーに、「効いちゃねえよ」と首を振るネイト。再びケージ際でテイクダウンを狙うネイト、させないマクレガーの攻防が展開。残り時間が少ないところでネイトが投げでテイクダウンに成功。ついにグラウンドで上を取ったネイトは、マクレガーにパウンドを落としていく。だが決め切ることはできず試合終了の合図。

最後はネイトが手を差し伸べ助け起こし、マクレガーも笑顔でネイトの健闘を称えた。

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■マクレガー「155パウンドで再戦」、ネイト「3回目もやるぞ」

見事リベンジを果たしたマクレガーは試合後のインタビューで開口一番、「キングが帰ってきたぞ!」と宣言。ネイトとの死闘を、「ローは作戦通りだった。これだけ激しい戦いで勝てたのは嬉しい。彼はすごいファイターだ。ベストな俺を引き出してくれた」と振り返った。再々戦の可能性については、「次は155パウンド(ライト級)でやろうじゃないか」と次回はフェザー級とウェルター級の間を取る形での実現を示唆した。

対するネイトは「勝ったと思ったんだけどな」と判定に不満顔。練習前にケガをしていたと話し、「言い訳はしないが、今回は十分な練習ができなかった。あいつは俺をフィニッシュして然るべきだった。俺は彼にチャンスを与えたんだから3戦目もやろう。今日はコナーがうまくやったよ」とこちらも再戦を口にした。

■「100億円の価値がある」「まさに死闘」各界からも絶賛の声

この試合には各界から多くの反応が寄せられている。NFLジャクソンビル・ジャガーズのプリンス・アムカマラは、「この試合には1億ドル(約100億円)の価値がある」とツイッターで絶賛した。

2000年台にプロレス団体WWEのスーパースターとして活躍し、現在は俳優として活動するドウェイン・ジョンソンも激闘にリスペクトを捧げた。

ボクシングの元WBA世界ミドル級暫定王者クリス・ユーバンク・ジュニアも、「まさに死闘。おめでとうマクレガー」と壮絶な戦いに賛辞を贈った。

現世界ウェルター級王者のタイロン・ウッドリーからは、「すごい戦い!第3戦が待ちきれないよ」と再々戦を求める声が出ている。

マクレガー対ネイト第3戦に向けて周囲は盛り上がるが、長くお預けを食らってるUFC世界フェザー級暫定王座ジョゼ・アルドは、マクレガーに早く本来の階級に戻って正規王者としての務めを果たせと統一戦を要求した。

今回の試合でマクレガーも、「最初の3ラウンドを取ってレベルの違いを示したが、ネイトのタフネスと打たれ強さに後半は不気味なほど粘られた」と階級の差を痛感。2階級の差は考えていた以上に大きかった様子。おそらくウェルター級で戦うのは今回が最後になるだろう。

今後は再び階級を落とすことになるはずだが、時間をかけてウェルター級用の身体を作ってきたマクレガーが、フェザー級のリミットまで体重を落として以前のように戦えるかは疑問符がつくところ。

今後の路線がどうなるか注目される。

コナー・マクレガー(左)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー(左)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー 参考画像(2016年8月19日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー 参考画像(2016年8月19日)(c) Getty Images

ネイト・ディアス 参考画像(2016年8月19日)(c) Getty Images

ネイト・ディアス 参考画像(2016年8月19日)(c) Getty Images

コナー・マクレガーがUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガーがUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー(右)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー(右)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー(下)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガー(下)がUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガーがUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images

コナー・マクレガーがUFC202でネイト・ディアスが対戦(2016年8月20日)(c) Getty Images