「楽天ジャパンオープン」(日本・ 東京/9月30日~10月6日/ハードコート)の大会2日目、男子シングルス1回戦で、第2シードで世界14位のボルナ・チョリッチ(クロアチア)を6-4、4-6、7-6(5)で破り、同大会初勝利を挙げたダニエル太郎(日本/エイブル)。そのダニエルが試合後の記者会見で、昨年の快進撃によるプレッシャーに悩んだことを明かした。

ダニエルは昨年、念願のツアー初優勝を飾り、キャリアハイとなる64位を記録した。しかし好調は続かず、今年はATPツアーやグランドスラムで苦戦。下部のチャレンジャー大会にも出場することが多く、現在のランキングは127位となっている。そのことについて「今年はずっと自分にプレッシャーをかけてしまっていました。それに気づいたのが全仏オープン後のチャレンジャー大会での最悪な2週間の後。やっぱりこう感じていたんだなって実感して」と振り返った。

「シーズンはじめの時からなにか重いものがあるなっていう感じだったんですが、結果が悪くなかったので探ることはしませんでした。一度、がーんと落ちた時になんなんだろう、何を感じているんだろうと考え、それが自分にプレッシャーをかけていたんだなって思って。それを受け止めて、まだ受け止めている最中ですが、それに軽い怪我とかもあって。キャリアの中で一番学んだことが多かったです」

昨年の快進撃は、気持ちの変化にも影響を与えたという。「去年、初めてATP250やATP500にも入り始めて、いきなり賞金も上がっていって。これに勝ったらこのランキングに入って、次にマスターズにも出られるかも、とか考えました。ランキング130位くらいまではそういうことを一回も考えたことがなくて。去年初めて70位とか60位台とかに入って、大会出るだけで2万ユーロももらえるのか、と」と語る。

「くだらないかもしれませんが、そういうのが邪魔になって。初めてテレビにも出たりとかして、違う世界にも触れて。こういうことをやり続けたいからこそ、これを失いたくないなというフィーリングが強かったですね。初めて子どもの時に思った、成功したテニス選手のイメージのところに自分がいたので、そこを失いたくないという考えが強かったです」と、快進撃の裏に潜むプレッシャーに苦しんでいたようだ。

また、「僕は別にモノを買いたいとかいうのはあまりないんですが、安定感は欲しいですね。他の選手でコーチ代を払えない人もいる中で、僕は日本でプレーできてラッキーですよね。こんなにもらえてラッキーで。ラッキーだけど、それをもらって悪いかな、なんて考えも出てきて。これだけもらっているから勝たなきゃとか。前は考えたことなかったことですが、去年の終わりくらいからちょこちょこ出てきました」とも語った。

その心境をどう打破したのか、という質問には「自分を変えるというよりも、自分がこういう風に感じていると自分が思っただけで、ほとんどの人よりは前に進んでいるなとは思います。結果が良くても、自分に正直でない人もいるし、自分が感じていることを他の人に伝えるわけではなく、自分で実感していないと、10年後とかにリバウンドが来る可能性もあるので。変えようっていうよりは、人生はこんなもの、苦しいものっていうのを受け止めて。ランキングが上がっても、幸せは一瞬しかないし、こういう苦しい人生だけど、それだけで十分だっていう受け止めが大事ですね」と、気持ちの持っていき方で変わってくると語った。

さらに「父親に話したり、メンタルコーチにも話したりしましたが、最終的には自分で見つけなければいけないので。6月くらいかな、怪我をしたときに一人でノルウェーに行ってみたんですが。そこでぼーっとしながら自分が今、何を感じているのかを考えたりして。そこからちょっとずつ良くなってきて」と振り返った。

また、昨年の快進撃は他のところでも影響があったようだ。「有名人だとは思っていませんが、外に出て人に気づかれたりとか、今までなかったことがテレビに出てからちょこちょこあって。そういうのが本当に初めてで。今考えたら、それは悪いことではなくて、次からどういう風に対応するかというのを学べれば大丈夫かなと思います」とも語った。

同大会ではダニエルをはじめ、西岡良仁(日本/ミキハウス)、 添田豪(日本/GODAI)、内山靖崇(日本/北日本物産)と、合計4人の日本人選手が1回戦を突破している。このことについてダニエルは「偶然じゃないと思います。みんな良い結果を残していて、みんないつもよりランキングがちょっと高いですし、勝てる可能性も上がっていると思います。特に日本での大会なので、コンディション的にも有利なので。だから、彼らが勝ったことにはびっくりしていません」と答えた。

ダニエルは2回戦でジョーダン・トンプソン(オーストラリア)と対戦する。トンプソンはフアン イグナシオ・ロンデロ(アルゼンチン)を破っての勝ち上がり。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「楽天ジャパンオープン」でのダニエル太郎