前日に行われた秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)4戦目をフルセットで制し、波に乗りたい早大。5戦目に敬愛大と対戦した。第1セットは富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)を中心とした攻撃で危なげなく奪ったものの、第2セットを序盤の連続…

 前日に行われた秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)4戦目をフルセットで制し、波に乗りたい早大。5戦目に敬愛大と対戦した。第1セットは富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)を中心とした攻撃で危なげなく奪ったものの、第2セットを序盤の連続失点による悪い流れが断ち切れずに落としてしまう。それでも第3セット、第4セットを山下日和(社1=千葉・市船橋)を駆使した、センター線を織り交ぜた多彩な攻撃で奪取。セットカウント3−1(25−20、17−25、25−21、26−24)で勝利を手にした。

 第1セットは序盤から早大ペースで試合が進む。富澤がストレートへのヒットで連続して得点を積み重ねると、敬愛大の守備対応を見るやクロスへのスパイクを叩き込み守備の的を絞らせない。富澤が表に立つ3回のローテーションではほぼ必ずブレイクを奪い、試合を優位に進める。中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)や井上裕利恵(スポ3=岡山・就実)にも素晴らしいディグが飛び出すなど、守備にも安定感を持って第1セットを先取する。しかし続く第2セット、橋本美久(社2=福島・郡山女大附)が「2セット目の出だしにブロックに捕まってしまった」と語るように、富澤のアタックに対し敬愛大は2枚のブロックを完成させ、早大のレフトアタックをシャットアウト。出だしに2点のブロックポイントを献上するなど、1−6と大きく引き離される展開となる。連続得点で巻き返したい早大であったが、流れに乗った敬愛大のサーブに苦戦し1本目を乱される場面が多くなった。さらに、4本のサーブミスも重なり流れを取り返すことができないまま第2セットを奪われてしまう。


通常時より多くのスパイクを放った富澤

 流れを引き戻したい第3セット、「気持ちを切り替えたり雰囲気を変えるという意味でローテーションを組み替えた」と馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)は、ライトに入る植松知里(文構3=香川・高松第一)とセッターの橋本のポジションを入れ替えてコートに送り出す。さらに「センターを組み込んで行こうと思った」という橋本の言葉の通り、山下や中澤の打数が増えたことで、敬愛大のブロックが拡散。相乗的に富澤のスパイクの決定率も高まり、再び早大が流れを取り戻す。第2セットではミスが続いてしまった中澤のサーブも流れに乗るように効果率を高め、第3セットをもぎ取った。第4セットは、1つローテーションをずらしてコートに立った早大。「マッチアップの関係で1セット目と3セット目の組み合わせが勝ちパターンになると思った」と試合後語った馬場監督の采配は的中。第3セットにサーブが走っていた中澤のサーブから始まるローテーションとなったこともあり、7連続得点からセットが始まると、「きょうはワイド(なトスからの速攻)がすごく当たっていた」という山下が攻撃陣を牽引。特にブロード攻撃では高い決定率をみせ、第4セットは山下1人で12点を叩き出す驚異的な活躍を見せた。終盤ブレイクでじわじわと差を詰められ、先にマッチポイントを奪いながらも24−24まで追い上げられた。しかし最後は、中澤と植松が連続してライトからのスパイクを決め、逃げ切りに成功。勝ち切る強さを見せつけた。


攻撃面での活躍が光った山下

 「一戦一戦が勝負」と馬場監督は語ったが、試合の中でマイナーチェンジを施して流れを引き戻し勝ち切ることができたこの試合は、次節に繋がる大きな1勝となった。首位を走る都留文科大をセット率の差で追いかける2位早大。負けられない戦いがまだまだ続く。

(記事 橋口遼太郎、写真 遠藤伶、平林幹太)

セットカウント
早大25-20
17-25
25-21
26-24
敬愛大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)
レフト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)
センター 中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)
センター 山下日和(社1=千葉・市船橋)
ライト 植松知里(文構3=香川・高松第一)
セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
リベロ 梨本未央(社3=東京・駒場)
コメント

馬場泰光(平8人卒=京都・洛南)

――きょうの試合を振り返ってください

学生達がコンディションが厳しい中だったのですがよく頑張ってくれました。

――きょう1セット目は富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)のスパイクが走っていて、富澤選手が表のローテーションで稼げていた印象がありました

先週1週間、かなりコンディションが厳しい中で十分な練習が出来なくて、その中で彼女が主将として、4年生として強い責任感とリーダーシップを発揮してくれて、土曜日入った訳ですが、土曜日自分の中でも納得いかない部分がある中で、今週なんとか立て直したいという気持ちがすごく伝わって来たので、その結果がうまく試合の中で発揮できたなと思っています。

――2セット目、富澤選手のスパイクが敬愛大のブロックに捕まる場面が増えたかと思います

あの場面はスタートでリズムが良くなかったので、その辺りは仕方がない部分かなと思っています。

――3セット目はライトに入る植松知里選手(文構3=香川・高松第一)と橋本美久選手(社2=福島・郡山女大附)のローテーションを、スタートの目玉を入れ替えて入りました。その入れ替えの狙いを教えてください

試合で上手くいかないことはリーグ戦で多々ある事で、この夏では2つのパターンを作って練習して来ました。2セット目取られた段階で、少し気持ちを切り替えたり雰囲気を変えるという意味でローテーションを組み替えて望んだ結果がいいように出たと思います。

――4セット目は富澤選手が前衛センターからのスタートで、1つ目玉(ローテーション)をずらして入りました

1セット目取って、2セット目取られて3セット目取ったということで、我々はずっとローテーションは固定でやっているのですが、マッチアップの関係で1セット目と3セット目の組み合わせが凄く勝ちパターンになるかなというように試合中思いましたので、相手が4セット目動かしてくるときにマッチアップが機能するように、1つ(ローテーションを)進めました

――きょうは3セット目4セット目、山下日和選手(社1=千葉・市船橋)がかなり打数を増やし、多くの得点を上げたように感じました

彼女はもちろん凄かったですし、彼女以外にもコートに立った全員が凄かったと思います

――きょうで前半戦が終了し、来週から後半戦に入っていきます。前半戦を振り返ってください

前半後半というようには考えていなくて一戦一戦が勝負ですし、春悔しい思いをして秋望んでいますので、あまり先を見据え過ぎることなく、1つ1つ集中して自分たちがやりがいをもって楽しく、挑戦心持ってできるような戦い方をしていきたいと考えています。

富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――今日の試合を振り返っていただけますか

昨日もフルセットでみんな本当にしんどかったと思うんですけど、集中して今週練習してきたつなぎの部分が出せれたいい試合だったと思います。

――敬愛大の勢いを感じる場面もありましたね

春はそういった雰囲気に飲まれて負けてしまったんですけど、今日は自分たちのプレーが落ち着いてできたのでよかったと思います。

――チームが苦しい時はどういった声をかけていましたか

落ち着いてってかけてます(笑)

――春と秋で主将として変わった面はありますか

やっぱり最後だなっていう思いが強くて、特に自分が負けたとしても悔いのないようにやり切ろうっていう思いがすごくあるので、それをみんなの伝えるため落ち着いてって声をかけています。

――やはり要所要所で富澤選手にトスが上がりますが、意識している点はありますか

今週はみんなのコンディションが悪くて、練習の時から自分がいつもより多く打つって決めていました。逆に役割が明確にできたところはいい点ではあるし、自分ももっと頑張らないといけないという覚悟が生まれました。

――前半戦振り返って

特に先週の都留文科大に負けたのがすごく大きくて、今後どうしていかないといけないかをもう一度考えられた試合だったので、負けてはダメなんですけど、負けたからこそ学べるものが多かったです。

――後半戦へ向けてお願いします

自分たちと同レベル、それ以上の相手としかやらないので、一本ずつ集中して落ち着いて臨めるように頑張っていきたいです。

橋本美久(社2=福島・郡山女大附)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

始まる前はスタッフさんからも結花(富澤)さんからもきのうと同じで楽しくやっていこうと言われていて、1セット目を取れたことがすごい大きかったと思います。その後のセットも出だしがいいと取れたので、次からは出だしを大切にしていこうと思いました。

――前半戦を終えられて感想はいかがですか

リーグの1番最初の試合に比べたら少しづつチームになってきたなと思います。

――富澤さんが第1セットはスパイクが決まっていたものの第2セットは相手に対応される場面もあったと思いますが、対策などはされましたか

2セット目の出だしにブロックに捕まってしまいましたが、自分のトスが低いなどミスがあったからブロックに当たってしまっていました。その後は、レフトばかりにトスを上げていたのでセンターを組み込んでいこうと思いました。

――きょうのご自身のディフェンスはいかがでしたか

最悪でした(笑)。

――来週への意気込みをお願いします

来週の相手は桜美林大と神奈川大で全然弱くないチームです。早稲田はつなぎがメインのチームなのでそういうところを怠らないようにつなぎメインで全員バレーで頑張りたいと思います。

山下日和(社1=千葉・市立船橋)

――きょうの試合全体を振り返っていただけますか

春リーグの敬愛大戦では自分たちのミスが多くて何をしても決めることができず、何をしても決められるという悪い流れのまま終わってしまうことが多かったです。ですがきょうの試合は自分たちのやるべきことを全て一人ひとりがしっかりできていたので、自分たちのリズムができていたのかなと思います。

――きょうはブロード攻撃など山下選手のスパイクが多く決まっていた印象でしたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

開幕のときに助走の入り方を変えて、リーグの最初の方では全然決まってなかったのですが、それをやり続けてきょうやっと合ったなという感じだったので、この感覚を忘れないで今後もやっていきたいです。

――逆に短いトスでの速攻では少し合っていない場面があったと思うのですが、どのような印象ですか

毎試合、合わないコンビと合うコンビというのがあり、きょうはワイド(なトスからの速攻)がすごく当たっていて、AクイックやCクイックは当たっていませんでした。全部が合うのが一番良いのですが、そういう(試合ごとに異なる)部分を考えながらコンビを組んでいきたいです。また、そういう調子の波をなくしていきたいです。

――きょうは富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)を筆頭にスパイカー陣がとても頼もしく思えたのですが、自分以外のスパイカーのプレーをどのように感じていましたか

特に結花さん(富澤主将)はいつもチームが苦しいとき、まさにエースの働きをしてくださりますし、裕利恵さん(井上裕利恵、スポ3=岡山・就実)たちも苦しいときに決めてくれて、引っ張ってもらった感じがあるので自分と中澤(中澤恵、スポ1=大阪・金蘭会)がもっと点数を取っていかないといけないと思います。きょうは先輩たちに助けられました。

――きょうでリーグ戦は折り返しとなりましたが、前半の振り返りや後半への意気込みがあればお願いします

きょうの試合は良かったのですが、これまでの試合はギリギリでの勝利もありましたし、都留文科大相手には自分たちのバレーが全然できていなかったので、この敬愛大との試合を忘れず頑張っていきたいです。