昨年秋はリーグ1部最下位で苦い思いを味わった女子部が、今年の春のリーグ戦では見事優勝。この復活の立役者が吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)であることは誰しもが認めることだろう。関東大学春季リーグ戦では最優秀選手賞、新人賞に選ばれ、関東学生選手権で…

 昨年秋はリーグ1部最下位で苦い思いを味わった女子部が、今年の春のリーグ戦では見事優勝。この復活の立役者が吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)であることは誰しもが認めることだろう。関東大学春季リーグ戦では最優秀選手賞、新人賞に選ばれ、関東学生選手権ではシングルスで頂点に輝いた。記念すべき第1回は期待のルーキー吉田にお話を伺った。

※この取材は8月7日に行われたものです。

考えながら練習する


関東大学春季リーグ戦では単複両方に出場しチームに大きく貢献した


――バドミントンを始めた経緯は


親がやっていて、姉も始めたので、そこで一緒に練習に付いていきました。同い年の子も何人か来ていたのでみんなで一緒に遊んでいたのが始まりです。そこからそこのチームに入りました。小学校の6年間はやるのかなと思っていました。


――埼玉栄中学校に進学されましたが、その理由は何でしょうか


出身が栃木県なんですけど、あまり強くなかったのでとりあえず県外に出たくて。栄から声が掛かって、自分でやるっていうのが好きなので、そっちに引かれたんだと思います。栄は厳しいけど、先生がこれをやってというメニューの中で自分がどうやるかで伸びが変わってくるので、そういうところが好きだったんだと思います。


――早大での練習も自主性が求められますが、つながる部分はありますか


ありますね。先生に言われたことだけをやるのとは違ったので、そこは中高との違いです。だからメニューを出されてどうするか考えるのはその頃からの癖だと思います。


――ご自身のプレースタイルについてはどのように捉えていますか


身長があるわけでもなくて、パワーもないので、誰よりも粘るかなと思っています。それしかないので。


――そして今はシングルスとダブルスの両方を兼ねていますが、ご自身ではシングルスプレーヤー、ダブルスプレーヤーどちらだと思われますか


自分自身ではシングルがいいですね。だけど、結果が出たのがダブルだったので、そのままどうなっているのかは分からないですね。


――今までの試合で一番印象に残っている試合はありますか


印象に残っている試合は多分、高校1年生のインターハイかなぁ。それもあるし、高3の団体戦のダブルスがすごく印象に残っています。団体戦の試合で負けちゃって。パートナーとあまり仲良くなかったんですけど、それを機に個人戦へ切り替えてできたので、その試合は一番大きかったです。


――そんな中高時代を経て早稲田大学に進学されましたが、大学進学を決めた理由は


周りの人が、意外と現実的で。その先を考える人ばっかりだったので、実業団に行って、バドミントンをやめた時とかのことを考えたら大学を出てからの方が良いんじゃないかと言われました。それに、大学に行った方がいろいろな観点からバドのことを見られるので、そういうところで大学進学を決めました。


――大学卒業後に実業団に行くことも視野に入れている、と


はい、あります。


――大学の中でも早稲田大学を選んだ理由はありますか


自由、ですかね。先生に縛られないし、自分たちでできるところですね。もし、自分が駄目だなと思ったら、そこを徹底的に練習できる環境が良かったです。他の大学と迷うことはなかったですね。


――入学して半年程経ちましたが、チームの雰囲気はいかがですか


雰囲気ですか。最近は試合が近づいているからかは分からないですけど、結構女子の意識は高いかなと思います。男子は女子のことも見てくれて、全体を見てくれているので、ありがたいですね。


――チーム内で仲の良い選手はいますか


平野(紗妃、スポ2=福岡・九州国際大付)さん。平野さんと、でもみんな仲良くしてくれます、ほんと。


――1年生は仕事が大変というお話をよく聞きますがどうですか


とても大変です(笑)。ほとんど準備なんですけど、足りなくなったものをどのくらい買うのかとかも未だに分かっていなくて。これから合宿とか東(東日本学生選手権)があるので、その準備も今からちょっと進めていかないとです。


「縛られるのが嫌い」

―― それでは少しプライベートな話に移ります。学校生活には慣れましたか


慣れたと思います。


――キャンパスは所沢ですか


そうですね、所沢です。東伏見は使ったことないです。早稲田キャンパスも使ったことなくて。


――今練習場所が早稲田アリーナで、所沢からの移動は大変ではないですか


大変です。なかなか遠いですね。移動時間は駅からなら1時間くらいなんですけど、1時間かからないくらいかな。


――所沢キャンパスは駅までが大変ですよね


バスが。ほんとに1、2限とかになると朝すごく並ぶので。


――朝早いのはどうですか


朝早いのは、高校の時も朝練があったので意外と平気です。それより朝から授業っていうのが、はい(笑)。大学生の生活になっちゃいましたね。きついです。


――朝練と1限の授業だったらどちらの方が良いですか


朝練の方が良いですね。ちょっと頭が…(笑)。


――学校ではどんな勉強をしているのですか


スポーツ系ですね。スポーツ医学にトレーニング科学とかの授業をとっています。


――これからこんな勉強をしたい、とか考えていますか


今はパソコン系に興味があります。情報処理の授業をとっていたので、Excelとかもやってみようかなと思っています。そこから頑張ってみようかなと思っています。


――部活と学業の文武両道は難しいですか


いや、勉強が大変っていうよりは、気持ちの問題ですね。気持ちの持ち方とか。バドミントンをやっていても、勉強のことを考えちゃう時もあるので、時間というよりは気持ちの整理がつかないことはあります。


――春学期はその点で苦労された、と


はい。忙しいから、というよりは自分の問題ですね。


――あまり早稲田キャンパスには来ないというお話でしたが、ワセメシとかは食べられましたか


そんなのあるんですか!何も分からないです(笑)。食べていないですね。


――それでは普段のお昼はどうなさっていますか


お昼…。基本食べないですね。


――何も、ですか


食べないか、授業が終わって移動時間で軽く何かつまむくらいだと思います。


――その後に練習は大変ですね


はい、だからすぐ体調壊します。朝も食べないので。1日1食か、ちょっと間食つまむくらいです。いつも顔色悪いって言われます。


――ちなみにきょうはお昼ご飯は食べられましたか


きょうは、はい。平野さんと映画見てから来たので。はい!食べてきました!チーズ屋さんのビーフシチューのドリアみたいなの食べました。おいしかったです。


――何か趣味とかはありますか


趣味…。あんまりないですね。自分すぐ飽きちゃうので。飽き性なのですが、音楽とかはずっと聞いています。音楽とか、何か音がないと駄目なので。


――音楽は何を聞かれますか


いや、そのまま流しっぱなしです。おすすめってあるじゃないですか。あれをそのまま流して、そのまま聞いています。聞いているというよりも流しているという感じです。


――たとえばどんな曲がありますか


なんだろうなぁ。ラジエーションハウスの曲とか。MAN WITH A MISSIONの歌とか、その辺は一時期ハマっていました。


―― 今ハマっているものはありますか


今Excelにハマっています!楽しいんですよ。昨日も10時くらいに練習終わって、帰ってからパソコンやって、気がついたら5時で外が明るくなっていました(笑)。寝る時間がって焦って寝ました。今はまだよくわかんないんですけど、テキストと教科書みたいなの買って、こうやるんだーってなっています。1個1個打ち込んで勉強していると、気がついたら4時間くらい経っています。


――好きなことになると没頭するタイプなんですね


そうですね。そうだと思います。頭が文系よりも理系寄りっぽくて。高校時代も数学の方が得意だったので、それでなんですかね。


――一人暮らしとお伺いしましたが、実際いかがですか


楽ですね。何も言われないし。はい。


――中高時代は実家ですか


はい。実家です。栃木から埼玉まで通っていました。朝練から7時20分からだったのでその前に行っていました。新幹線で通っていたので、6時20分の新幹線に乗ってっていう感じです。


――それが一人暮らしになって楽になった、と


すごい楽です。家ではすごく言われるので。ちょっとケータイいじっているだけで「またケータイ?」って言われたり、12時とか1時とかまで起きていると「寝なさい」って言われたりしたので。


――自由がお好きなのかもしれないですね


あーそうですね。多分本当に縛られるのが嫌いなんだと思います。すごく気分屋で飽き性なので、1人でいたいタイプです。


――料理は普段されますか


ほんとにたまにします。こないだ肉じゃが作りました。麻婆茄子が好きなので、この前はそれ作りましたね。


――あまり自炊する時間はないのでしょうか


ないですね。夏休み入って時間はあるはずなんですけど、やっぱ疲れちゃいますね(笑)。


――夕食は食べているのですか


食べないか、なんだろうな…。でも、納豆と卵を食べろって言われているので、よく食べます。こないだもあったので、そこからは食べるようにしています。納豆と卵と豆腐は食べるようにしています。


――納豆に卵の白身入れるの良くないらしいですね


あー!それ言われました!黄身だけの方が良いんですよね。でも卵って白身の方が栄養ありますよね。確かそう言っていて、すごく意外でした。あっそうなんだーと思いました。


――それでは得意料理となるとどうですか


麻婆茄子とかだと思います。


――中華がお好きなんですか


元々は好きじゃなかったんですけど、遠征に行ったときに帯同してくれたコーチが作ってくれて。それがおいしくて、麻婆茄子だけハマりました。本当に一時期それしか食べていなかったです。毎日それ作ってそれ食べていました。


――それは飽きないんですね


そうですね!飽きないですね!好きなことだと、多分。


――今食べ物でハマっていることはありますか


最近はないですね。ちょっと前まで牛タンにハマっていました。でも高くて(笑)。


――今、アルバイトはされていますか


してないです。一応1年生が終わってからにしようかなと思っています。


――オフの日はどのように過ごされていますか


基本、高校の練習に参加しています。


――もはやオフではないですね


はい(笑)。1日あってもやることないので。寝ているのも体もったいないかなと思って、参加させてくださいって連絡して行っています。


――オフの日まで練習があるのは疲れませんか


いや、高校までいつもそうだったので。週1回のオフに慣れちゃうと多分連続した試合とかきついと思うので、今からでも少しずつと思って練習しています。


――大学生になってから高校の練習に参加して気づくことはありますか


コーチたちの考えが分かるようになったのとか、あとシンプルに練習がきついですね(笑)。年取ったなって思います(笑)。


――埼玉栄高校の練習は他と少し変わっているとよく聞きます


男子はほんとに試合だけで、その後にトレーニングをして、女子は先にトレーニングしてから試合でしたね。結構きついです。最後足が持たなかったりします。基礎ができているのが当たり前で入ってくるので、その中でゲームメイクの練習をしています。


――その練習の中で今にも生きているものはありますか


ゲームメイクがうまいとはよく言われます。中高の練習が試合ばっかりだったので、そことかだと思いますね。スピードを上げるところとか、ちょっと抜くところとかを分かっているとは思います。


――そして今夏休みに入って、夏休みらしいことは何かされましたか


フリー練の時にちょっと旅行に行きました。山梨に。平野さんと牧野(倫太郎、スポ2=愛知・豊橋東)さんと、あとトシさん(渡辺俊和主将、スポ4=埼玉栄)と鈴木(朋弥、商4=宮城・聖ウルスラ学院英智)さんと行きました。謎ですよね(笑)。ぶどう狩りとか、バーベキューとかしました。帰りにショッピングして、洞窟みたいなとこに行って帰ってきました。下に行くと0度まで下がるらしくて、地上の気温が30度だったら30度差みたいな。面白かったです。


――これからしたいことはありますか


鮎釣りたいです。釣りたい、というよりは食べたいです。川に行けばいるかなぁって(笑)。鮎の天然の塩が付いたまま焼いて食べたいです。おいしいですよね。全部食べられるし。


――魚がお好きなんですか


好きですね。釣ったことはないですけど(笑)。


―― 他にしたいことはありますか


星。星とか空を見るのが好きなので。その辺の道路とかに寝っ転がって。ちょっと違いますね(笑)。地元にいる時とかも、「ちょっと行ってくるー」って、お店とか閉まっている時間に駐車場に寝っ転がることがありました。


――星が見えるんですか


見えますね。この辺は最近曇っていて見えてないです。でも、田舎とかそっちの方に行けば見えますね。こないだも山梨に行ったときに牧野さんと寝っ転がってきました!流れ星が何回も見られました。ほんときれいでした。その日に流星かなんかあったらしくて、その何かだと思うんですけど、びっくりしました。


――バドミントンの話に少し戻りますが、バドミントンなど勝負事の際にルーティーンはありますか


いやぁ基本ないですね。でも試合の前は1回誰とも話さない時間を作るようにはしています。ちっちゃい頃からその方が試合の入りが良かったので、集中とかはあまり考えずに誰とも話さないで、音楽を聞いています。


――試合中は両手で頬を触っている姿をよく見るのですが、それは癖ですか


いや、違うんです!なんか、はい、その時とか手が冷たくて顔がすごく熱くて。それでやっちゃいましたね(笑)。ほっぺを冷やす感じです(笑)。これからも夏だからあるかもしれないですね。


――ラケットやシューズなど道具に対してこだわりはありますか


いやぁ基本ないですね。最初に使って良いプレーができたものを使っています。ラケットもグリップも。シューズは足の甲が細めなので、これしか合わないです。


――早稲田のユニフォームで好きなものはどれですか


今年の赤のやつが好きですね。いつ着ていたかな。(関東学生選手権)準決勝で法政の人とやった時に着ていたやつですね。とりあえず自分は襟がなければ何でも(笑)。


――青のユニフォームをよく着ている印象がありました


青もよく着ています。あれ自分持っていないので、借り物です。


――色のこだわりは


色とかはこだわりはないんですけど、オレンジ以外似合わないってよく言われます(笑)。結局オレンジだって(笑)。


――意識している選手とか、ライバルだと思う選手はいますか


ライバルより、自分の憧れている選手が中国の選手なので、その子とやるために頑張ろうとは思っています。ジュニアの世界大会で、自分はダブルスとして出ていたので当たりはしなかったんですけど、見ていて「うわぁ格好良いなぁ」と思いました。その前に水井ひらり(NTT東日本)とやるところまでいきたいですね。小中高と全国でやっているので。


――やはり同級生の活躍は気になりますか


はい。でも素直にうれしいですね。すごいなぁとは思います。自分の最近のこのExcelの部分とかを見ると大学を卒業したら、実業団じゃなくてそっちの方に行く気もしています。どうなるかなぁという感じです。


――中高時代から世界で戦うことがあったと思うのですが、その経験は糧になっていますか


良い経験になっていると思います。


「実業団に入れるくらいの実力は付けておきたい」


関東学生選手権ではシングルスで見事優勝を果たした


――関東大学春季リーグ戦(春リーグ)から大活躍でしたが、春リーグは今振り返ってみるといかがですか


ちょっとできすぎかなとは思います。大学生だし、先輩にも雰囲気に慣れるためとは言われていたので、ダメ元でいくつもりでした。でも、意外と同い年と当たったので。


―― 関東学生選手権ではシングルスで優勝されました


春リーグでも言ったと思うんですけど、個人戦のシングルスが去年とインターハイ(高校総体)以来なので。全然できないかなぁと思っていました。1回戦とかもすごく競って負けかけたので。そこまで勝つとは思っていなかったです。


――フルセットになったのは初戦と慶応の選手の5回戦ののみでしたがメンタル等持ち直したきっかけは


最初の1試合目はほんとに負け試合だったので。最後向こうが体力切れてくれたからって感じです。それは本当に学年の差だと思います。慶応の選手はなんだろうなぁ。でも慶応の時も体力だと思うので、何も自分には変化はなかったです。


――その体力を作るために何かしていることは


一応練習前にはトレーニングすることを心掛けています。ランニングと、空いていればウエイトも。だけどやっぱり高校時代よりも練習量が落ちているので、少しでも戻せるようにしていかないと、と思っています。


――部員数が少なく、シングルスもダブルスも兼任されていますが、それはやはり大変ですか


大変ですね。でも少ないからこそみんなが同じ所を向いていられると思います。その分応援とかもあるし、助け合うこともできていると思うので結構やりやすい方だと思います。


――今週末のミックスダブルスは渡辺主将と組まれますが、練習はいかがですか


トシ先輩が自分のことを気にかけてくれているので、自分は自由にやっています。ミックスがよくわからなくて、自分が全然できないですね。なので迷惑はかけていると思います。ジュニアの代表ではやったんですけど、海外の選手と大学生でプレーが違うのでやりにくいですね。


――これから合宿など、夏に強化したい点はありますか


練習とか試合とか続くと足が止まってしまうので、そこですね。あと、集中力を切らさないことだと思います。


―― 今暑さが厳しいですが、何か対策はしていますか


多分すぐ熱中症になるので、一応OS-1は家にいつも置いてあります。帰ってからよく頭痛くなるので。いつでも飲めるようには準備しています。


インカレで優勝は通過点

――これから東日本学生選手権、全日本学生選手権(インカレ)など大きな試合が続きますが、目標は


とりあえず、インカレの権利を取ることは前提として、上の人とやってみたいですね。関東学生に出ていなかった人とやれるチャンスだと思うので、そこまで自分が上がりたいと思います。


――それではインカレは


優勝したいっすね。はい(笑)。東で頑張って経験積んで、インカレで優勝できたらなとは思います。


――大学4年間を通しての目標はありますか


とりあえず、実業団に入れるくらいの実力は付けておきたいと思います。インカレで優勝するのも通過点として置いておきたいと思います。


――最後に、吉田さんにとってのバドミントンとは何か教えてください


生活の1つなので、何かをするにもバドミントンを基準に考えていると思います。今なくなったら、それこそどうしたら良いか分からなくなるくらい当たり前のものだと思います。進路とかもバドミントンがなかったらないので。生活の1つですね。


――ありがとうございました!

(取材・編集 山本小晴)


プレー中に笑顔を見せることが多い吉田選手。色紙にはあまり迷うことなく「楽しむ」と書いてくれました!

◆吉田瑠実(よしだ・るみ)

2000(平12)年11月30日生まれ。155センチ。埼玉栄高校出身。スポーツ科学部1年。納豆と卵を食べることを心掛けているという吉田選手。納豆に卵の白身を入れるのは栄養が失われてしまうと知り、最近はゆで卵にして食べているそうです。パワーをつけてインカレに臨んでほしいです!