ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月27日~29日/宮城県・利府GC)を制したのは、プロ6年目にして初戴冠となる柏原明日架だった。「本当にここまで長かったです。毎年、どんどん新しい子たちが増えてきますし、上は上で手強い先輩たちがいる…

 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月27日~29日/宮城県・利府GC)を制したのは、プロ6年目にして初戴冠となる柏原明日架だった。

「本当にここまで長かったです。毎年、どんどん新しい子たちが増えてきますし、上は上で手強い先輩たちがいる。押されてばかりで、自分がはき出されてしまうんじゃないかって不安は毎年のようにありました」

 ジュニア時代から大きな注目と期待を集めながら、柏原は勝利まであと一歩届かず、その一方で、自分よりあとからデビューした選手が勝利を挙げていく。柏原も23歳の若さだが、優勝会見中は幾度も「若い選手」という言葉を使い、自分より若いプロの台頭に焦りがあったことを認めていた。

 そして、柏原は今年に入って、国内外で活躍する、いわゆる「黄金世代」が残すコメントに目を通し、同じ舞台を戦ううえで参考にしていたという。

「若い選手は、とにかく自信を持っているというか、自分が成功するイメージを持っている選手が多いなと思っていたんです。私は、自分のゴルフに対する自信よりも、ミスをしたくない気持ちが勝ってしまって(うまくいかないことが多かった)。そもそも若い選手は、そういう(ネガティブな)気持ちがないんじゃないかと考えて、スタート時点で自分は、彼女たちと差があるなと感じていました」

 そんななか、ポジティブ思考ばかりの若手とも、さらに毛色が異なるメンタリティを持つ20歳の新鋭が現われた。8月の全英女子オープン制覇から飛ぶ鳥を落とす勢いの渋野日向子だ。

「渋野さんは、意外とネガティブなことも口にしたりするじゃないですか。メンタルのコントロールが上手なんじゃないかなって思います」

 その渋野は、今大会で2週連続Vが期待されたが、初日はバーディーがひとつしか奪えず、2オーバー、49位タイと出遅れた。最終日も、前半は2番パー5でバーディーを奪ったものの、ショットが次第に不安定になり、後半に入ると、6月のニチレイレディス2日目以来という3連続ボギー(11番~13番)。オーバーパーを意味する黒字に通算スコアが転じた。

 最終日の渋野からはネガティブな言葉しか出なかった。

「前半はよく耐えたんですけどね。後半に入って、一気にキレてしまった。11番で”カッチーン”と(頭に)きて、12番でも”カッチーン”ってなって、13番になると、もう笑けてきた(笑)」

 16番でふたつ目のバーディーを奪って、通算イーブンパーにスコアを戻したものの、最後まで優勝争いに絡むことなく、22位タイで3日間の戦いを終えた。

「この3日間は、内容、薄すぎ。こんなゴルフは久しぶりでした。18番までノーバーディー(の初日)とか、3連続ボギーとか……昨日は(2日目)はよくがんばっていたほうですけど……収穫はない。課題だらけ。全部です!」


22位タイに終わって、

「課題だらけ」と語った渋野日向子

 次週は自身3度目となる日本女子オープン(10月3日~6日/三重県・白山ヴィレッジGC)である。

「過去2回の結果はポンコツだったので、まあ、それよりかはいい結果を残したい。最低、予選通過!」

 最後は、いつもの”しぶこ節”で締めくくり、明るく前を向いた。

 将来を嘱望されながら、これまでわずかなところで優勝を逃してきた柏原も、こうした姿勢に影響を受け、自らの発奮材料にしてきたのだろう。