9月29日(土)、ラグビーワールドカップ大会9日目の2戦目はプールDの強豪同士の対戦、オーストラリア(9月28日現在の世界ランキング6位)対ウェールズ(同3位)というプール戦屈指の好カードとなった。 オーストラリアは過去優勝2回、準優勝2回…

9月29日(土)、ラグビーワールドカップ大会9日目の2戦目はプールDの強豪同士の対戦、オーストラリア(9月28日現在の世界ランキング6位)対ウェールズ(同3位)というプール戦屈指の好カードとなった。

オーストラリアは過去優勝2回、準優勝2回を誇り、大会本番で勝負強さを見せ続けている。前回大会も準優勝という結果を残し、今大会は9月21日(土)の初戦でフィジーに途中まで苦戦しながらも39-21で勝利し勝ち点5を手にしている。

メンバーは、FWについてはキャプテンのFLマイケル・フーパーを筆頭にフィジー戦と同じラインナップとなったが、BKはユーティリティBKのリース・ホッジがフィジー戦でのハイタックルで3試合の出場停止処分となったことなども影響。大きく変更され、ハーフ団はSHウィル・ゲニアとSOバーナード・フォーリーというおなじみのコンビが登場。ホッジに代わるWTBはこの試合でワールドカップ4大会目の出場を果たしたベテラン、アダム・アシュリークーパーが入った。

対するウェールズは今年のシックス・ネーションズでグランドスラム(全勝優勝)を成し遂げた、今大会の優勝候補のひとつだ。チーム開幕戦となった9月23日(月)のジョージア戦は6トライをマークし43-14で快勝、勝ち点5を獲得した。

メンバーについてはジョージア戦からほぼ変わらず(23番のみオーウェン・ワトキンに変更)、キャプテンのLOアラン・ウィン・ジョーンズ、SHガレス・デーヴィス&SOダン・ビガーのハーフ団、WTBジョージ・ノース、FBリアム・ウィリアムズといったおなじみのメンバーが勢ぞろい。ジョージア戦に続いての得点力を、あるいは持ち味である堅いディフェンスによりロースコアで勝ち切れるか否かを証明する試合となった。

ともに勝ち点5同士、得失点差でウェールズが1位、オーストラリアが2位という状況で、勝った方がプールD1位通過を大きくたどり寄せるためにもお互い負けられない一戦は、まず前半、まずはウェールズが試合を支配する。

まずは前半キックオフ早々の0分、ウェールズSOビガーがいきなりDGを決めて0-3と先制に成功する。

さらに12分、ウェールズは敵陣深い位置まで攻め込み、ハイタックルのアドバンテージをもらいながらSOビガーが右前方へキックパス。そのボールに追いついたCTBハドリー・パークスがハイボールに競り勝ち、インゴールにグラウンディング。チーム初トライを決めて0-10とリードを広げる。

実力者のオーストラリアも反撃に転じる。前半20分、CTBサム・ケレヴィらのゲインでウェールズ陣深くに入ると、SOフォーリーが右大外へキックパス。そのボールをキャッチしたWTBアシュリークーパーが豪快なダイビングトライを決めて、4大会連続トライを記録。SOフォーリーのゴール成功で8-10、その差はわずか2点となる。

しかしウェールズは前半終了が近づく32分と36分、途中出場のSOリース・パッチェルがPGを決めて8-16とし、さらに37分、SHガレス・デーヴィスがインターセプトからの独走トライで8-23とし、15点リードで前半終了を迎える。

後半も、3分にSOパッチェルがDGを決める前半と同じような滑り出しで、8-26とさらにリードを広げたウェールズ。18点差となり勝負あったかに思えたが、ここからオーストラリアの反撃が始まる。

まず後半5分、CTBケレヴィの正面突破からSHゲニア、FLポーコック、そして最後はFBデイン・ハイレットペティとボールがつながりダイビングトライ。これでスコアは15-26となり、ウェールズのリードは11点に。

さらに後半21分、敵陣ゴール前で粘り強くアタックし続けたオーストラリアはキャプテンのFLフーパーがゴールポスト真下にトライを決める。これで22-26となり、27分にはオーストラリアSOマット・トゥームアのPGが決まり、ついに25-26と1点差になる。

しかしウェールズも後半31分にSOパッチェルのPG成功で25-29と逆転に成功。その後もオーストラリアは攻めたものの実らず、このスコアのまま試合終了を迎えた。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはウェールズSHガレス・デーヴィスが選出された。

試合後、ウェールズのキャプテン、LOアラン・ウィン・ジョーンズは、

「特に後半に持ち味を出せて嬉しい。前半が素晴らしかったジョージア戦のような感じが時としてあったが、後半少し散漫になってしまった。そのことは反省しないといけないが、結果には満足している。ハーフタイムには攻め続けようと言った。リードを守ろうとするのは簡単だが、やはりオーストラリアは素晴らしく巻き返してきた」

と、オーストラリアの反撃を称えつつ、ウェールズの勝利を喜んだ。

また、オーストラリアのキャプテン、FLマイケル・フーパーは、

「接戦になった。2つの意欲的なチームが引っ張り合った形だ。後半にモメンタムを作れたが、前半に点を与え過ぎてしまった。特に続けざまに得点されたのには堪えた。しかし、これはワールドカップなので、まだ高いモチベーションを失ってはいない。リカバリーが鍵になる。あと6日あるのでしっかりと振り返って修正を早くしないといけない」

と肩を落とすことなく前を向いた。

総勝ち点を9としてプールD首位を守ったウェールズは、10月9日(水)にフィジーと大分スポーツ公園総合競技場で、また、総勝ち点6で同2位のオーストラリアは5日(土)に同じ大分でウルグアイと対戦する。

 

◆プレイヤー・オブ・ザ・マッチのウェールズSHガレス・デーヴィス「特別な試合」

 

SOダン・ビガーらアタックのキーマンがケガなどで退いたウェールズだが、その中でチームを落ち着かせながら的確な判断力とスキルでチームを牽引していたのが、SHガレス・デーヴィスだった。交替する後半29分まで各得点に絡み、前半37分には独走トライで決定的な差を付けた。

この試合の位置づけは特別だったという。

「特別な試合だった。おそらく組み合わせが決まってからずっと長い間ビルドアップしてきた。だから僕たちにとってはとても特別な勝利になった。(トライは)良いタイミングでコールがあった。この大会でもっと点が取れたら嬉しい。インターセプトした時はとにかく夢中で走った」

と、長期的な準備が実った結果であると胸を張った。

ウェールズが勝ち進むには、赤の9番の活躍が欠かせない。