『フィアット500&アバルト ストーリー』
21世紀に甦ったイタリアの奇跡
著者:相原俊樹
発行:三樹書房
定価:本体価格4800円(消費税除く)
ISBN978-4-89522-714-8

2007年にデビューした新生フィアット『500(以下チンクエチェント)』は、2018年に生産200万台を突破した。そしてフィアット設立120周年を記念し、そのチンクエチェントとそれをベースにしたアバルトの詳細を語る本が刊行された。

初代500“トポリーノ”が登場したのは1936年。フィアットの名設計者、ダンテ・ジアコーザの手で生まれた。フィアットに入社後は商用車、航空機エンジン、軍用車などの設計を経て、乗用車部門に異動。1970年に引退するまでフィアットの乗用車の設計を数多く手掛けてきた。彼の初の作品がこのトポリーノで、1955年の生産終了までに51万台が製造された。

このトポリーノの後継車としてデビューしたのが同じくダンテ・ジアコーザ設計の500、“ヌオーヴァチンクエチェント(以下ヌオーヴァ)”だ。1957年に登場したこのヌオーヴァは、それ以前にラインナップされていた600よりも安価なクルマをイタリアでは必要とされていたことから、59万リラを大きく下回る49万リラで発売。当初は質素すぎるということからイタリア人の美意識に響かず販売は低迷したが、さまざまなバリエーションやアバルトモデルの追加などで人気は上昇。1975年8月1日、最後のヌオーヴァがラインオフ。その生産台数は343万2226台であった。

そして、30年以上を経た2007年に、チンクエチェントがデビュー。実はこの時点でイタリアにはヌオーヴァが100万台ほど路上を走っていたというから、かの国でどれだけ愛されていたかがわかろう。そして、現代にヌオーヴァを甦らせてほしいという声が高まったことを受け、フィアットはコンセプトカー、『トレピウーノ』を経てチンクエチェントを世に出したのだ。

本書ではこれらのヒストリーをより詳しく、また当時のエピソードを交えながら述べられている。また、FCAジャパンの協力のもと、2018年11月までに登場した限定車を含めた各モデルを子細に語られているので、いまチンクエチェントのユーズドカーを探そうかという方にも参考になる書籍である。