ラグビーワールドカップも9日目を迎え、9月28日(土)は、愛知・豊田スタジアムで、プールB・南アフリカ対ナミビアのアフリカ勢同士が激突した。 初戦でオールブラックスことニュージーランド代表に13-23で敗れた南アフリカ代表は、オールブラック…

ラグビーワールドカップも9日目を迎え、9月28日(土)は、愛知・豊田スタジアムで、プールB・南アフリカ対ナミビアのアフリカ勢同士が激突した。

初戦でオールブラックスことニュージーランド代表に13-23で敗れた南アフリカ代表は、オールブラックス戦から13人の選手を入れ替え。第3HOのベテラン、スカルク・ブリッツがしかも本来のHOではなくNo.8として先発し、ゲームキャプテンを務めた。

ヤマハ発動機でプレーするFLクワッガ・スミス、HondaでプレーするLOのRG・スナイマンや、かつてトップリーグでプレーしたSOエルトン・ヤンチース、CTBフランソワ・ステインなど日本でもお馴染みの選手が多く名を連ねた。

一方のナミビアも47-22で敗れたイタリア戦から10人の選手を入れ替えた。ゲームキャプテンは初戦に引き続きLOチウエ・ウアニヴィが務めた。SHにはナミビア最多キャップを68と更新したユージーン・ヤンチースが入った。

試合は序盤から一方的に南アフリカが猛攻を見せる。開始早々のトライはTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)により認められなかったが、9分、マイボールラインアウトからドライビングモールで押し込み、HOムボンゲニ・ムボナンビのトライ。SOヤンチースのゴールも決まって7−0と南アフリカが先制する。さらに14分、再びラインアウトからモールでFLフランソワ・ロウがトライ。12ー0とする。

ナミビアはなんとか追いつきたいところだが、15分、No.8アドリアーン・ボーイセンがインテンショナルノックオンでシンビン。10分間を14人で戦わなければならなくなってしまった。16分、そして再びラインアウトからモールでHOムボナンビがトライ。コンバージョンも決まって19ー0と大きく突き放す。

ナミビアも23分にSOクリーブン・ルブザーのPGで3点を返し19ー3とするが、南アフリカの勢いは止まらない。またしてもラインアウトから今度はバックスで展開し26分、41分、WTBマカゾーレ・マピンピがトライ。24−3とする。

前半残り後10分というところで、ナミビアはテリトリーを挽回し、トライを狙う。しかし、逆に点を重ねたのは南アフリカの方だった。キャプテンのNo.8ブリッツが突破し、鮮やかなオフロードでCTBルカニョ・アムにパスしトライ。SOヤンチースのゴールも決まって31ー3と大量リードで折り返す。

後半に入っても南アフリカの攻撃は止まらない。7分、FBウォーリック・ゲラントのトライで追加点を挙げると、分にはまたしても13分WTBマピンピがNo.8ブリッツのパスからトライを挙げ、45-3まで点差を広げる。18分には途中交代で入ったシヤ・コリシもトライ・52−3とする。

ナミビアは21分、この日2枚目のイエローカードをPRヨハネス・クッツェーがもらってしまう。すると、23分、今度は本職のHOとしてブリッツはラインアウトのスローイングからそのままモールでトライ。57ー3とする。

結局、試合は南アフリカの大量得点でノーサイド。9トライで57−3で勝利した南アフリカは、勝ち点5を獲得した。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはLOルート・デヤハーが選出された。

完敗のナミビア代表、フィル・デーヴィスヘッドコーチ(HC)は、「勇気を持って挑んで、いいところもあった。選手たちを誇りに思う。南アフリカ相手に14人で20分間よく戦った。いくつかターンオーバーもあった。もっとボールをキープしプレッシャーをかけれるようにしたい」と前向きに捉えた。

南アフリカのラシー・エラスムス監督は、「プラン通りに戦って勝てた。ナミビアはカナダに照準を合わせているから何人か選手を休ませている。5点を取ることは重要だった。今日勝つことで強い南アフリカのモメンタムが少し取り戻せた。次はイタリアだが、今日の日本対アイルランドの例もある。我々はイタリアに数年前に負けている。この試合いかんで決勝トーナメントに進めるか決まるだろう」と、目標とした勝ち点5の獲得に安堵しつつも、すぐ次へと気持ちを切り替えていた。

ナミビア代表は10月6日(日)に東京スタジアムでニュージーランド代表に挑む。南アフリカ代表は、次は10月4日(金)にイタリア代表と対戦する。

◇38歳スカルク・ブリッツ大活躍

2015年のワールドカップに出場したLO(ロック)ヴィクター・マットフィールドに次ぐ南アフリカ史上最年長の38歳4ヶ月でのワールドカップ出場となったスカルク・ブリッツ。昨年一度は現役引退したものの、エラスムス監督の要求に応えて復帰した。

この日はゲームキャプテンとして、さらに本職ではないNo.8での出場だったが、トライを演出するオフロードパスやディフェンスと活躍し、さらにはラインアウトからトライも決めた。

「疲れたよ」と言いながらも「みんなが活躍して勝てて嬉しい。ポジションはコーチに求められればどこでもやる。フランス人のレフェリーには僕のつたないフランス語で頑張ったけど、いいコミュニケーションが取れたと思っているよ。このスタジアムの雰囲気は素晴らしかったね!」と終始笑顔で話し、試合後は長い間ファンの求めに応じて写真を撮っていた。