関東大学秋季リーグ戦で開幕2連勝を挙げ、上々の滑り出しとなった早大米式蹴球部BIG BEARS。隔週で行っている本対談、今回はフィールド中央で常に身体を張り、相手ディフェンスからスキル陣を守り続ける「鉄壁のカベ」OLを特集していく。ずば抜けたセンスと類まれなフィジカルでOLユニットをけん引するOL香取大勇選手(スポ4=東京・佼成)、昨年2年生ながら甲子園ボウルにも出場し着実に成長を遂げているOL橋口慶希選手(創理3=東京・早実)にお話しを伺った。


※この取材は9月21日に行われたものです。


「日本一という目標に対してまだまだレベルが低い」(香取)


日体大戦について振り返る橋口選手(左)と香取選手

――先日の日体大戦のオフェンスを振り返っていかがでしたか

橋口 最終的に28点を取れたのはよかったと思うんですけど、早稲田はスロースターターと言われているように、最初のシリーズが3アンドアウトで、そこで難しい展開にしてしまったのかなというのがあります。

香取 今まで4年間やってきている中で、3年間のリーグ戦では結構苦戦してきている相手だったので、その分結構準備してきたこともあって、相手に合わせることなくどんな時でも圧倒するという気持ちを持ってできたっていうのが今回の結果につながったと思うので良かったと思います。

――オフェンスとしての課題や収穫はありましたか

香取 (ランで)平均的に4、5ヤード出せたというのは前の試合から改善できたところであったり、春から積み上げてきたものが成果として出たっていうのはあるんですけど、あとで映像でレビューしてみると個々では結構やられていて。これがKG(関学大)だったりの上のレベルの相手だったりとかを想定するとしたらゲインできないっていう反省が出たので、日本一という目標に対してまだまだレベルが低いというのは課題としてあったんじゃないかなと思います。

橋口 個人的には相手のDLが苦手で、そこを克服しようと思って対戦の準備をしていた中で、自分の中の合格最低点は取れたんじゃないかなと思っています。

――東大戦は振り返っていかがでしたか

香取 東大戦は序盤リズムよくいけたんですけど、向こうにアジャストされ始めてからうまくプレーが出なくなってくるっていうのがありました。相手にアジャストされたとしても(OLは)個々で押し切らなくちゃいけないというのは全体として課題と認識しているので、これからの試合でもアジャストされてくる場面は増えると思うんですけど、そういった時にどれだけ個々でしっかりと押し切ってプレーを出すかというのがこれからのカギになってくるんじゃないかなと思います。

――開幕2連勝となりましたが、チームの状態としてはいかがですか

橋口 オフェンスだけじゃなくて、ディフェンス、キッキング含めて、日体大戦でパントスペシャルを決められてしまったりとか、チーム全体としてもまだまだ日本一っていう目標に対しては足りていないなと感じる部分はあります。

香取 例年よりは練習とかでもしっかりと締めて、勝ったことによって緩んだり、浮かれることなくしっかりと次の相手を意識したり、日本一を目指した練習ができているとは思います。ただ、勝ったことに対する満足感を持っている選手もいるので、そういう選手を変えて、危機感を持たせるための取り組みっていうのはもっとこれからもやっていかないと日本一にはなれないんじゃないかなと思います。

――OLユニットの出来はどのように捉えられていますか

橋口 シーズン序盤なのでコンビネーションとかが成熟しきっていないというのは感じてますね。日々の練習中からOL5人のコンビネーションは意識してやっています。そこの部分がうまくいかなくて、東大戦ではQBサックをかなりされてしまったりしたので、声をかけ合ったりしてやっています。

香取 どの選手が出ても同じくらいやって完璧にやらなくちゃいけないと思うんですけど、それができていないっていうところでチームの足を引っ張っているのが現状だなと思います。周りから見たらパスも出ているし、ランも出ているのでOLが頑張っているように見られているかもしれないんですけど、僕からしてみれば全然足りてないです。KGとかの関西のチームであったり法大、明大を想定したときには全然足りていないので、全員がもっと危機感を感じてこれからも練習をやっていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

――橋口選手はセンター(C)のポジションですが、今年のQBは柴崎哲平副将(政経4=東京・早大学院)、宅和真人(政経3=東京・早大学院)、吉村優(基理3・東京・早実)の3人が主に出場している中で、それぞれスナップやエクスチェンジの際変えている点などはありますか

橋口 3人それぞれで利き手も違うし、ちょっとした角度のズレとかもあるみたいで。(笑)結構注文も多いので、そこはQBによって色々と意識してますね。柴崎さんはスパイラルをすごい意識していて、正確なスパイラルをしないとすごい怒られますね。宅和も,柴崎さんがスパイラルを意識しているっていうのもあって結構言ってきますね。吉村はどんな球でも取ってくれます。ただ、あんまりひどい球を放ると言ってくれます。3人とも総じて練習中とか試合中には厳しく言ってこないんですけど、レビューとかで時間があるときに言ってくれますね。

――東大戦から日体大戦への期間はどのような練習をされていましたか

橋口 さっきも言ったんですけど、東大戦はかなりサックをされてしまったのでまずそこを改善しようというところで、パスをしっかりと投げられるQBがうちにはいるので、そのQBに気持ちよくパスを投げさせるためにパスのコンビネーションのところは意識的に練習しました。あとランに関しては、日体大はDLの個々の運動能力が高くて、アグレッシブに身体能力を生かしてくるディフェンスだったので、そこに負けないようにステップ1歩1歩の使い方だとか細かいところを意識しながら練習しました。

――夏の期間はどのような点を重点的に強化されましたか

香取 OLとしては個々の実力アップを重点的に取り組みました。パワーであったりスピードなどにフォーカスしてやって、あとはコンビネーションだったりっていうところに負荷をかけて練習しました。4年間の中でも今回の合宿が一番きつくて、ポジションの主任としてOLをまとめるだけじゃなくて、チームだったりオフェンスをまとめるっていうのが一番難しかったですね。

橋口 合宿は本当に練習きつかったですね。その中でも基礎を固めるっていうのをテーマにやっていたんですけど、コーチもそれをメニューに反映してくれたので、基礎にこだわって練習できたかなと思います。

――走り込みの練習などはされていますか

香取 走るっていうことはあんまりないんですけど、ヒットしてからのドライブだったり、当たるまでのスピードだったりとかは何回も何回も速いテンポでやったっていうのはOLとしては結構しんどかった練習でしたね。

――その成果を試合などで感じられたりする場面はありますか

香取 そうですね。僕は特にステップにこだわって春から夏にかけてやってきていて、相手に到達するスピードっていうのは今までよりもすごく速くなったっていうのは実感していますし、パスプロに関してもセットアップのスピードというのは課題としてコーチ陣からもよく言われていたんですけど、今年は監督とかにもスピードが上がったと褒められたりしたので、かたちとしては結構できてきているんじゃないかなと思います。そこは合宿でも繰り返し練習してきたところで、お互いが意識しあって練習してきたことがかたちとして出てきているので、良いなと思います。

「結果を残していかないと自分の立場がなくなってしまう」(橋口)


OLユニット内の競争について語る橋口選手

――OLユニットのスターター争いの現状はいかがですか

橋口 熾烈(しれつ)ですね。合宿に入ってから少しけが人が出てしまって、層としては厚くなくなってしまっていたんですけど、シーズンが始まるに近づいてけが人が戻ってきて、1本目の選手もうかうかしている状態じゃなかったなと思います。1本目でいることに安心するんじゃなくて、向上心をもって試合に出て、勝つっていう結果を残していかないと自分の立場がなくなってしまうので、そこは熾烈です。

香取 そうですね。下(の学年)も結構頑張っている選手がいて、右サイドっていうのはQBが左利きということもあって、ブラインドサイドとなるのでどこに誰を置くのかは揉めたりとか入れ替えが激しかったりするポジションなので、熾烈になっていますね。ただ、Cに関しては橋口が頑張っているので熾烈ってことはないんじゃないかなと思います。(笑)左サイドもガード(G)とかはけが人が戻ってきたりしている中で1番良い選手が出ている感じですね。

――香取選手は左タックル(T)のポジションでプレーされていますが、右サイドに配置されない点としてはなにか意図があるのでしょうか

香取 ずっとやっているっていうのもあるんですけど、自分が1年生の時からずっと左Tをやらせてもらっているので、他の選手がいないっていうのが課題としてあるのかなと思います。左TとCっていうのはけがをしない2人が1本目を守り続けてるっていうのはすごいプラスな部分ではあるんですけど、代わりがいないっていうのはOLとしての課題だなと思います。

――現状としては4年生が主体となって試合に出場しているOLユニットですが、下級生で注目されている選手はいらっしゃいますか

橋口 今年の4年生は人数も多いですし、存在感という面でも皆さんいてもらわなくてはならない存在なので、この4年生が抜けた後のことを考えると大変ですね。3年生が5人で、1個下が3人で、2個下が6人で少なくなっちゃうので、下級生には来年以降のことも考えて今のうちに力をつけてほしいなと考えています。注目選手を挙げるなら同じCのOL越智太(基理2=東京・早大学院)ですかね。来年もそうですけど、僕がいなくなった後とかのこともあるので、しっかり成長してほしいなと思います。

香取 下級生でいうと1個下のOL玉嶋友彦(スポ3=東京・西)と1年生のOL亀井理陽(法1=東京・早実)っていう早実の野球部出身のやつがいるんですけど、その2人ですね。亀井は序列でいうと左Tで僕の2つ下の3本目でやっているんですけど、練習を見ていてもどの選手よりもアグレッシブで上手くなることを追い求めていて、自分の実力を上げようと頑張っている中でその成果も最近練習内で良いプレーが出ていたりしているので、ぜひ2本目として、なんなら1本目を僕から奪うくらいの気持ちでやってほしいなと思います。玉嶋は昨年も甲子園ボウルにも出ていて、良い選手ではあると思うんですけどけががあって、アメフトという部分においては頭が長けているので、それを活かして1本目を取ってもらって、それに満足することなくチームを引っ張るような選手になってほしいという期待も込めての2人ですね。

――春の対談の際「OLは優しい性格の人が多いポジション」とおっしゃっていましたが、「闘志」という面では現状いかがでしょうか

香取 春を終えて、夏が色々な選手が変わった時期だなと思っていて、夏合宿の中で4年生が今のままじゃだめだというところで現状を見つめ直すことができて、僕が追い求めている闘志にはまだまだ足りていないんですけど、闘志を出すというところに関しては全員の共通認識としてやっていく雰囲気になっているのかなと思います。3年とか2年はまだダメなやつしかいないので頑張ってほしいですね。そういう意味でいうと1年生がグラウンドに出るのも一番早いし、お互いがお互いを見て実力を上げようと頑張っているので、闘志を出して頑張っているなと思いますね。

――秋シーズン、リーグ戦を通してユニットとしての目標などはありますか

橋口 オフェンスの目標として、シーズンが終わった時に平均40点取るっていうのを掲げているんですけど、今までの2試合が23点と28点しか取れていないので、オフェンスリーダーの高瀬さんがよく言ってるんですけど、平均40点くらいは取っていかないと甲子園ボウルに行った時に日本一になれないというのがあると思うので、毎試合40点以上取って圧倒しないといけないなと思います。

香取 OLの目標として、ユニットの誰かがチャック・ミルズ杯を取るというのを目標としてやっていますね。チームとして日本一を目指すのはもちろんなんですけど、その中でも一番輝くのがOLで、そこで誰がミルズ杯に選ばれるかっていうくらいの、日本代表が選ばれるとしたら全員が早稲田のOLというくらい高いレベルのユニットを作っていかなきゃいけないというところを目指してやっていかなきゃいけないなと思います。

「こんなに全力で何かに取り組むっていうのはこれからの人生で絶対ない」(香取)


 秋シーズンへの意気込みを語る香取選手

――秋シーズン、個人としての意気込みはいかがですか

橋口 試合としては昨年から出ていたんですけど、昨年は出るだけで精一杯でした。相手に勝つっていう気持ちはあったんですけど、なかなか勝つことができなくて。最後の甲子園では差を痛感したっていうのが正直なところでした。来年は自分が最上級生になるということで、自分の実力を上げることだけにフォーカスできるのは今年が最後だと思うので、まずは自分が上手くなるためにDLを毎試合毎試合圧倒できるように自分の実力を上げていきたいなと思います。それがオフェンスのレベルアップにつながって、日本一につながっていくと思うので。

香取 3年生の時までも相手を圧倒するとか、プレーで活躍してチームに貢献するとかっていうのは思っていて、それは変わらないんですけど。ラストイヤーということで思っているのは、どんなことでもやってチームを日本一に引っ張っていくっていうのが自分の中での目標としてあって、長くてもあと4ヶ月しかないからどんなことでもやろうと思ってます。しっかりやってない選手がいたら厳しく言うし、日本一という目標がわかっていない選手がいたらそれに対して求めるし、日本一がどういうものかどうすればなれるのかも全く分からないんですけど、自分の思う日本一っていうのをぶつけていって、ラスト4ヶ月くらいしかないですし、こんなに全力で何かに取り組むっていうのはこれからの人生で絶対ないんで、悔いの残らないように死ぬんじゃないかってくらい全力でやりたいなと思います。

――香取選手は1年時からリーグ戦に出場されていますが、4年間でご自身の成長を感じられる場面などはありますか

香取 1、2年の時は試合に出ているだけですごいことだと思って浮かれていた部分があって、自分は日本を代表する選手だと思っていたんですけど、試合の中で個人として負けが続いて、「自分には実力がないんだな」って、センスとか小手先のことだけでやっていたんだなっていうのを痛感しました。3年、4年になって「自分だけじゃ勝ってもダメだな」、「チームとして勝たなくちゃいけない」って思って、チームをどれだけ自分が変えられるかっていうところに向き合っていく中で、精神的にも大人になったんじゃないかなと思います。自分で言うのもなんですけど。(笑)実力的にも下級生の時は先輩たちに頼っていた部分があったんですけど、3、4年になって、自分が背中を見せてプレーでも引っ張っていくっていうのをできるようになったかなって感じがするので、自分の中では変わった部分は少しあるのかなと思います。

――昨年出場した甲子園ボウルでは20-37の悔しい敗戦でした、甲子園ボウルに対する思いというのはいかがですか

橋口 あの場所っていうのは素晴らしい場所で、あそこに絶対戻らなきゃいけないって思います。昨年KGが笑顔で写真を撮っているのを見て、自分たちがこれだったら絶対楽しいんだろうなって思うので、あそこで嬉しい気持ちになるために今は厳しいことをやっていかなきゃいけないなと思います。勝つために。

――次戦の中大はラインズが強力ですが、どのような試合展開を予想されていますか

橋口 絶対になっちゃいけないんですけど、僕たちが強いDLに圧を感じてしまうとオフェンスは絶対に停滞してしまうので、そうするとチームの流れが悪くなっていって試合展開も難しくなっていってしまうと思うので、そうならないように自分たちが攻めて攻めて、向こうに圧力をかけ続けて、良いドライブをしてどんどん点を取っていくっていう展開にします。

香取 東大戦とか日体大戦を見て向こうのオフェンスで時間を使われてしまってオフェンスが出場する機会っていうのが少なくなってくるので、そこで僕たちがやるのは1個1個をTDにつなげていってっていうところですね。僕たちがやることは変わらないんですけど、前回の試合よりもハードにプレーをすることですね。相手がどこだからどうこうじゃなくて、「これを甲子園で関西にぶつける」っていうオフェンスを中大戦でもやっていくだけですね。

――中大の印象としてはいかがですか

橋口 昨年対戦した時もDLが強いなっていうのは思っていて、今年は更に進化しているっていうのが映像を見ても分かるので、ライン戦は勝たなきゃいけないなって思います。

――早稲田の中ではどの選手がキーマンになってくると思われますか

香取 やっぱり橋口選手かなと思いますね。(笑)本当に冗談とかじゃなくて、中大主将の神谷康治選手がいて日本代表にもなっている選手ですし、そこと対峙(たいじ)していく橋口がどれだけ止めてどれだけ押せるかによってプレー展開も変わってくると思うし、キモになってくると思ったので橋口選手には頑張って欲しいですし、キーマンですね。

橋口 WR小貫哲(教3=東京・戸山)とかですかね。最近練習でも球際が強くなって、何回も際どいパスを取っているので、柴崎さんが信頼しているWRの1人だと思うので、パスキャッチに期待しています。

――最後に次戦中大戦への意気込みをお願いします

橋口 強いDLがいるってことで、そこをしっかり圧倒していきたいと思います。自分たちがやることは変わらないのでそこをしっかりやってオフェンスとチームに流れを持っていって圧倒して勝ちたいです。

香取 僕はそうですね。楽しみたいですね。これまでの2戦があまり面白くなかったので、「アメフトってこれだ!」みたいな試合をしたいです。圧倒するのはもちろん当たり前だと思ってやるので、それをした上で楽しんでプレーできればなと思います。圧倒しすぎて結局つまらなかったなと思うような試合にしたいですね。

――ありがとうございました!


最後に、リーグ戦への意気込みを色紙に書いてくださりました!

(取材・編集 涌井統矢)

◆香取大勇(かとり・たいゆう)(※写真左)

1997(平9)年7月13日生まれ。181センチ112キロ。東京・佼成学園高出身。スポーツ科学部4年。OL。「悔いの残らないように死ぬんじゃないかってくらい全力でやりたい」とラストイヤーの今年に並々ならぬ思いを懸ける香取選手の圧倒的なパワーに期待です!

◆橋口慶希(はしぐち・けいき)(※写真右)

1999(平11)年3月17日生まれ。176センチ、108キロ。東京・早実高出身。創造理工学部3年。OL。ラインズの中央に位置するCとして日々成長を遂げている橋口選手、「中央突破」の要として期待が懸かります!