このところ、東京ヴェルディのタレント輩出力が際立っている。

 今年3月、MF小林祐希(ワースラント=ベフェレン)、MF中島翔哉(ポルト)、DF安西幸輝(ポルティモネンセ)、DF畠中槙之輔(横浜F・マリノス)というヴェルディユース出身の4選手が、そろって日本代表に選ばれたことが話題となったが、彼らは、ユースからトップチームへ昇格→J1クラブへ移籍→日本代表に選出、という歩みで共通する。ヴェルディユースで培ったものをベースに、着実にステップアップを続けているわけだ。畠中以外の3選手は、すでにJ1クラブから海外クラブへの移籍も果たしている。

 また、彼らに続く選手も育ってきており、東京五輪を目指すU-22代表の世代には、MF井上潮音、MF渡辺皓太らがいて、渡辺は昨年のアジア大会で銀メダル獲得に貢献した。さらに、今年のU-20ワールドカップに出場したU-20代表にも、MF藤本寛也が選ばれている。彼ら3人もまた、ヴェルディユース育ちの選手たちである。

 なかでも渡辺は、今年6月のコパ・アメリカで初めてA代表入り。その後、シーズン途中にして、J1で優勝争いを続けている横浜F・マリノスに移籍しており、前出の”A代表カルテット”に続いて、早くも次なるステージへと上り始めている。現在の選手市場において、ヴェルディユース出身者は、ちょっとした注目銘柄になっているのだ。

 もちろん、オールドファンには、ヴェルディのタレント輩出力は今に始まったことではない、との意見があるだろう。

 実際、元A代表選手にして、テレビ解説でお馴染みの松木安太郎、都並敏史両氏は、いずれもヴェルディの前身、読売クラブのユース出身だし、読売からヴェルディへと移り行く過程で、そのユースチームは”天才”と称される逸材を何人も生み出してきた。

 しかしながら、それらは読売やヴェルディが、日本屈指の強豪チームだった時代の話である。言い方は悪いが、現在のヴェルディは、すっかりJ2に定着してしまったチームなのだ。にもかかわらず、これだけの素材をユースチームに集め、育てた選手をトップチームに送り出す育成力は、驚異的ですらある。

 そんなヴェルディからまたひとり、”今後、買いが集まりそうな注目株”が台頭してきた。



将来が嘱望される東京ヴェルディの山本理仁

 背番号20の17歳、MF山本理仁である。

 2001年12月生まれの山本は、今季J2第12節のV・ファーレン長崎戦でJリーグデビュー。当初は途中出場も多かったが、ギャリー・ジョン・ホワイト前監督に代わり、ユースチームを率いていた永井秀樹監督がトップチームの監督に就任すると、いわば”秘蔵っ子”の山本も主力に定着。第24節から直近の第33節まで、10試合連続で先発出場を続けている。

 そんな山本の最大の魅力は、優れたパスセンス。積極的にボールを受けては長短のパスをさばき、攻撃の組み立て役を担っている。

 身長177㎝のレフティは、いい意味で腰が高く、ピンと背筋を伸ばして堂々とピッチに立つ姿からは、何とも言えないスケール感が漂う。”雰囲気がある”かどうかは、将来性を見極めるうえでは馬鹿にできないポイントだ。

 本来は中盤の選手だが、ポゼッションスタイルを志向する指揮官の下、右サイドバックで起用された試合もある。当然、「初めてだったので、正直、難しさがあった」と言うが、「どこにボランチがいたら(サイドバックは)助かるかがわかる」と、すべての経験を成長の糧につなげている。

 とはいえ、率直に言わせてもらえば、まだまだ物足りなさを感じる点は数多い。今すぐにJ1でも通用する、とはとても言い難い。

 山本自身も「見えているところがまだ浅い。もっと遠くを見ないと」と語っているように、相手の脅威にならない無難なパスがしばしば目につき、また、失点に直結しかねないボールロストも少なくない。「あそこのポジション(ボランチ)でボールを失うと、ピンチになる。(ミスを)減らしていかないといけない」とは、本人の弁だ。

 それでも、当初は「トップチームのプレースピード、判断スピードは、ユースとは違う」と感じていたが、最近では「慣れた部分がある」のに加え、ユース時代から知る永井監督が就任したことで、プレーにも変化が生まれてきているという。

「最初の頃は、自分で(ボールを)受けることが少なかったが、監督が永井さんになって、(ボールに)触る回数が増えた。永井さんはやりたいサッカーが明確。(攻撃のときに)僕を経由する回数が多いというのもあるし、自分自身も余裕が出てきている。監督からの要求は高いが、ボールを受ける前に(周りを)見ることとか、細かいところを指導してもらっている」

 つまり、物足りなさを感じるのは、裏を返せば、積極的にプレーに関わる機会が増えてきているから、と言い換えることもできる。徐々にではあるが、本領を発揮する条件は整ってきているようだ。

 しかし、そうはいっても、まだ17歳である。「(ユースのときと比べて)トップのほうが、試合後にどっと疲れが出る。まだ10数試合しか出ていないのに、精神的にも(大きく息を吐きだすようにして)『はぁー』ってなるのは感じている」と率直な感想を口にし、苦笑いを浮かべる。

「来年(1シーズンフルに)40試合出るには、(フィジカルだけでなく)もっとメンタルも強くなっていかないといけない」

 山本が自らに課す”宿題”である。

 こうしてまた、ヴェルディに若き逸材が登場してきたことは、痛しかゆし。自前で育てた選手が次々にJ1クラブに引き抜かれていく現状に、クラブ関係者やサポーターは気が気ではないだろう。

 だが、やはりこの先、山本がどんな成長を見せ、どんな道を歩んでいくのかは楽しみだ。

 今をときめくヴェルディユース出身から、またしても注目すべき選手が現れた。