会計・470級クルー 皆川匠

皆川(済4)の座右の銘は、「常にポジティブ」。ありきたりかもしれないが、彼がこの言葉を選ぶ理由には訳があった。順風満帆なヨット部生活ではなかったからこそ言えることがある。彼の4年間から紐解いていく。


艇に乗る皆川

原点の再確認
「2年ぶりにヨット乗って、2年ぶりにみんなと海面で会話した時が、1番嬉しかった」。自分が描いていた青写真とは異なり、苦しい時期が長かった。今まで水泳とボートをやってきた皆川は、心機一転し、ヨット部に入部。だが、本格的に練習できる2年の春に負傷。その後も完治する前に怪我が続き、ヨットに乗ることさえ許されなかった。同期がメキメキと成長する中、皆川は3年の夏まで仲間たちの雄姿を見届ける日々が続いた。それでもあきらめず、ひたすら努力を重ねる。3年の秋インカレで、ようやくレースに参加した。順位こそは振るわなかったが、ヨットに乗る喜びを再び噛み締めた。

だからこそ伝えたい
怪我をすると、「辞めたい!」と思いがちになる。1から始める人が多数で、置いてかれるかもしれない。また、出場できる人数も限られている。不安になるのは当たり前だろう。同じような境遇になった皆川には痛いほど理解できた。しかし、そんな彼らに思うこともあった。

「ヨットができないからやめる。じゃあマネージャーや支えてくれる人にどう顔向けするのか」と。

大会でも練習でも選手のそばには、常に支えてくれる仲間がいた。レスキュー艇に乗るサポートメンバー、マネージャーなど、戦うのはプレイヤーだけではない。そんなヨット部を支えてくれている人に対してのありがたみ。彼らがいるからこそ、ヨット部は円滑に活動することができる。自身も経験したからこそ言えることだった。
ヨットができないからこそ、できることもある。部に貢献するため、自分のため、今何をするか。自分ができることを探した。落ち込んでいる暇などなかった。自分の学びだと考え、色々なことを吸収。「常にポジティブ」。この言葉を胸に苦しい時期を楽しく乗り越えた。

語り続けた信念
幹部学年になった皆川は、1つのことを徹底した。常に明るくたくさん喋ることで、雰囲気づくりをすることだ。ヨットの技術面では、他の人に敵わないかもしれない。だからこそ、他の方向からチームを鼓舞し続けた。結果が出なく、落ち込む瞬間は誰にでもある。だからこそ、その時をいかに過ごすか。そこに皆川は、重点を置いた。
「レスキュー艇のメンバーやサポートメンバーは笑わないといけない。盛り上げないとけない。なにか声掛けないといけない。」
自分がサポートメンバーをやっていたからこそ分かったことだ。結果が出ないとき、選手みんながへこむ。雰囲気にのまれて、サポートメンバーもへこむ。そのようなことはして欲しくないから、皆川は常に明るくたくさん喋り続ける。今もずっと意識して、心掛けてることだ。会話を増やし楽しくレースをすることが結果にもつながると、彼は信じている。


ムルター(済4)と一緒に新歓を回り、ヨット部に入部

ヨット部への感謝
「あなたにとってヨット部とは?」と聞くと、「友達とか仲間と頑張る場所」。と彼は答えた。ヨットの技術や大会の結果は不完全燃焼。しかし、ヨット部には他にたくさん身につくことがあった。レスキュー、サポート、合宿生活など。そこから学ぶものは貴重なもの。このような機会は最後かもしれないと皆川は感じている。
「僕は試合に今出れるか分からないけど、最後にもう一度ヨットに乗りたい。やってきたことをやるだけだから、メンタルで負けないで楽しく気持ちよく乗りたい」と部活生活最後の秋インカレに対して意気込んだ。
苦労人皆川のヨット部の最終章が間もなく始まろうとしている。「常にポジティブ」。この言葉を胸に彼は闘う。楽しみながら、いい思い出を作ってくれることを心から願っている。

(インタビュー/文:川崎翔海)