ラグビーワールドカップも開幕から7日。9月26日(木)は神戸での初戦で、プールCのイングランド代表とアメリカ代表が激突した。

イングランド代表は、22日に札幌で行われたトンガ代表との初戦から中3日での第2戦目となり、ゲームキャプテンを務めるSO(スタンドオフ)ジョージ・フォード、No.8(ナンバーエイト)ビリー・ヴニポラら5人以外は先発メンバーを入れ替えた。

神戸製鋼でも指揮を執った南アフリカ出身のギャリー・ゴールドHCが率いるアメリカ代表は、セール・シャークスでプレーする司令塔のSO、AJ・マクギンティ、サラセンズのPR(プロップ)、ティティ・ラモシテレらイングランド・プレミアシップでプレーする選手を入れて臨んだ。

実力的にはイングランドの方が上だが、中3日という日程で戦うイングランドに、今年7、8月のパシフィック・ネーションズカップなどでも着実に力をつけてきているアメリカがどこまで迫れるかが注目された。

イングランド、SOフォードのキックオフで試合がスタート。序盤からイングランドが敵陣でボールを展開させていく。

5分、センターライン付近でのラインアウトからキックボールをチェイスし、キャッチした相手にプレッシャーをかけて、そのまま敵陣でフェーズを重ね、最後はSOフォードがディフェンダー2人のギャップをついて、回り込んで中央にトライ。SOフォードはゴールも決めて7-0とイングランドが先制。

その後もアメリカ陣内でのプレーが続くが、イングランドはフィニッシュできない。

しかし、終始敵陣でプレッシャーをかけるイングランド。24分、ペナルティを獲得したイングランドは、アメリカゴール前5メートルのラインアウトをFL(フランカー)トム・カリーがキャッチしドライビングモールで押して最後はNo.8ヴニポラがトライ。SOフォードのコンバージョンも成功し、14-0とリードを広げる。

アメリカもようやく敵陣までボールを運ぶが、なかなかチャンスを作れない。32分、逆に、イングランドにスクラムでペナルティを与え、再びラインアウトからモールで押し込まれ、HO(フッカー)ルーク・カーワン=ディッキーのトライ。SOフォードのゴールはポールに弾かれたが、5点を追加し19-0とし、そのまま前半を折り返した。

後半に入り、若干落ち着かない両チームだったが、やはり先に仕掛けたのはイングランドだった。7分、イングランドは右にスペースを見つけてCTBジョナサン・ジョセフが突破すると、この日ワールドカップデビューとなったWTBジョー・コカナシガがトライ。24-0としこれで4トライ、ボーナスポイントを獲得する。

イングランドの猛攻は止まらず、アメリカは何とか食い止めるのが精一杯で反撃のきっかけをつかめない。17分、この日が2キャップ目となるセブンズ出身のWTBルーリー・マコノヒーがトライ。SOフォードのゴールも決まりさらに7点を追加し31-0と大きく突き放す。

さらに26分にFLルイス・ルドラムのトライとSOフォードのゴールで38-0。

29分にアメリカはFLジョン・クゥイルがCTBオーウェン・ファレルへのノーバインドのショルダータックルがTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でレッドカードの判定となり、今大会初のレッドカードとなってしまう。

35分にもWTBコカナシガのトライで45ー0としたイングランドが完封勝利かと思われたが、アメリカはロスタイムにCTBブライス・キャンベルのトライとSOマクギンティのゴールで7点を返し意地を見せたが、結局、終始イングランドが圧倒し大量7トライで、45-7でノーサイド。プールCのトップに立った。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチはこの日のゲームキャプテンを務め、最初のトライなど15点を挙げたSOフォードが獲得した。

アメリカのゴールドHCは、

「がっかりしている。思ったようなパフォーマンスが全然できなかった。イングランドのようなチームにミスをしたら勝てないことはわかっていた。全てを改善しないといけない」

と力なく語った。

キャプテンのFB(フルバック)ブレイン・スカリーは、

「最後にトライが取れてアメリカのラグビーができたことは良かった。結果は厳しいが、ここから学んで明日からまた次のゲームに向けてやっていきたい」

と沈んだ表情ではあったものの前を向いた。

イングランドのエディー・ジョーンズHCは、

「27度という気候のなかでもジョージのゲームコントロールが素晴らしかった。2試合で勝ち点10、素晴らしい。神戸の雰囲気も素晴らしく、ここで試合ができて良かった」

とご機嫌だった。

キャプテンを務め、プレイヤー・オブ・ザ・マッチにも輝いたSOフォードは、「アメリカはフィジカルが強いチーム。イングランドの伝統的な強みのセットピースで勝てた。またハードワークを続けないといけない」と快勝にも気を引き締めていた。

プールCのトップに立ったイングランドは、10月5日(土)に東京スタジアムでアルゼンチンと戦う。一方のアメリカは10月2日(水)に福岡・東平尾公園博多の森球技場でフランスと対戦する。

◇神戸がまるでトゥイッケナムに!

スタジアムへ向かう地下鉄の中、スタジアムへの道のりでも、ラグビーのイングランド代表の応援歌「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」をイングランドのファンは熱唱し、まるでロンドン郊外の本拠地トゥイッケナム・スタジアムのような賑わいだった。

「静かに揺れてこい、愛しい馬車よ」というタイトルのこの歌は、もとは19世紀後半頃にアメリカで広まった黒人霊歌。チャリオットとは、兵士を乗せ馬に引かせる戦闘馬車を指し、天国へ旅立った大切な人に、自分もじきに逝くといった内容になっている。

1988年にイングランド代表のホーム、トゥイッケナムで行われたアイルランド代表との試合で歌われ、1991年からは応援歌として定着している。「カントリーロード」など、イングランドの快勝で、会場のイングランドファンの歌は鳴り止まなかった。