ロジャー・フェデラー(スイス)を始め、多くのテニス選手が使用するラケットを製造販売する、アメリカのWilson Sporting Goods Company(以下ウィルソン)が、イギリスの会社…

ロジャー・フェデラー(スイス)を始め、多くのテニス選手が使用するラケットを製造販売する、アメリカのWilson Sporting Goods Company(以下ウィルソン)が、イギリスの会社Dorisimo Ltd.に訴えられたと、米ウェブメディアのBloombergが報じた。Dorisimo Ltd.は、Sex Pistolsと並んで最も成功した、イギリスの伝説的なパンクロックバンドであるThe Clashの、アメリカ国内での著作権や名前の使用権を所有している会社だ。同社は、ウィルソンが今年から販売を開始しているラケット"The Clash"の販売、及び許可なく名前を使用することの差し止めを要求し、カリフォルニア州の裁判所に訴えを起こした。

ロサンゼルスの連邦裁判所に提出された訴えによると、ウィルソンは今年の2月15日より"The Clash"の名前を冠したシリーズのラケットを販売している。ウィルソンを保有する、フィンランドのスポーツ総合企業であるAmer Sports Oyjが、現在「Clash」という名前の、ラケットなどを含むスポーツ関連商品へのトレードマークとしての使用権を、アメリカ国内で正式に所有している。

これに対し、ロンドンを拠点とするDorisimo Ltd.は、米Nike Inc.の子会社である Converseを通しての、スニーカーの販売など、2010年よりすでにスポーツグッズへの"The Clash"の使用を開始していることを主張。スニーカーをテニスシューズと呼ぶことも一般的であり、テニスシューズとテニスラケットは関連性が強いため、消費者の混乱を招くと訴えている。

The Clashの音楽は、「ウィンブルドン」を含むスポーツイベントなどでも頻繁に使用されており、スポーツ業界での認知度は高いという主張も、陳述書には記載されている。

Dorisimo Ltd.は、損害賠償として300万ドル(約3億2300万円)、ウィルソンが使用権を侵害して得たとする"The Clash"ラケット販売での全利益、そして許可のない"The Clash"の名前を冠したスポーツ関連グッズ販売の禁止を要求している。さらには、現在ウィルソンが保有している在庫を破棄することも要求に含んでいる。

訴えは奇しくも、11月から開始される、The Clashの名作アルバム『London Calling』発売40周年を記念したロンドン博物館での展覧会の直前に届けられた。現在のところ、ウィルソンから正式な声明は出されていない。

(テニスデイリー編集部)

※為替レートは2019年9月6日時点

※写真はパンクロックバンドのThe Clash

(Photo by English/Mirrorpix/Getty Images)