ラグビーワールドカップ大会4日目の9月23日(月)は、プールDのウェールズ代表対ジョージア代表の1試合のみが開催された。会場は愛知県豊田市の豊田スタジアムで、今大会同会場では初開催。35,545人が集い激闘の行方を見届けた。なお、10月5日…

ラグビーワールドカップ大会4日目の9月23日(月)は、プールDのウェールズ代表対ジョージア代表の1試合のみが開催された。会場は愛知県豊田市の豊田スタジアムで、今大会同会場では初開催。35,545人が集い激闘の行方を見届けた。なお、10月5日(土)には日本代表対サモア代表の一戦が行われる。

「レッドドラゴンズ」の愛称で知られるウェールズは今年のシックス・ネーションズでグランドスラム(全勝優勝)を果たしており、一時は世界ランキング1位に立った強豪で(9月22日現在4位)、優勝候補の一角だ。アタック以上にディフェンスの強さが光り、ロースコアで勝ち切るケースが多い。過去最高3位(1987年大会)という結果を超えるためにも、このジョージア戦で白星発進を目指した。

そのウェールズの中心的存在が、セットプレーのみならず攻防の最前線で常に体を張り続ける、LOとして世界最多の129キャップ(この試合を含む)を誇るキャプテンのアラン・ウィン・ジョーンズだ。チームのスタイルを体現するそのスキッパーを筆頭に、HOケン・オーウェンズ、SHガレス・デーヴィスとSOダン・ビガーのハーフ団、WTBジョージ・ノース、FBリアム・ウィリアムズといった錚々たるメンバーが並んだ。

一方、シックス・ネーションズに次ぐヨーロッパの実力者で同12位の「レロス」ことジョージアは、前回大会でキャプテンを務め一時は代表を引退したFLマムカ・ゴルゴゼがインターナショナルカテゴリーに復帰し先発。そのFLゴルゴゼからスキッパーを引き継いだCTBメラブ・シャリカゼは負傷のため欠場し、代わりにPRミケイル・ナリアシュヴィリがゲームキャプテンに。また、サンウルブズで活躍したHOジャバ・ブレグバゼがリザーブに入った。

前半、序盤から完全にウェールズのペースで試合が進む。2分にはスクラムからのアタックでラストパスを受けてきれいに抜けたCTBジョナサン・デーヴィスがトライを決めて5-0と先制し、6分はSOビガーのPGで8-0とリードを広げる。

12分にはBK陣のビッグゲインで敵陣深くまで攻め入ると、ラックサイドを突いたFLジャスティン・ティピュリックがトライ。SOビガーのゴールも成功し15-0と突き放す。さらに18分にはハーフウェイラインでのラインアウトを起点に攻めたウェールズが、WTBジョシュ・アダムスが約40mの独走トライを決めて、スコアは22-0となる。

ジョージアもセットプレーやブレイクダウンで奮闘し反撃のきっかけをつかもうとするが、決定的なチャンスを作れないまま前半終盤を迎える。39分、ウェールズはSHガレス・デーヴィスがループからパスを受けたCTBジョナサン・デーヴィスがゴール前までゲインし、FBリアム・ウィリアムズにラストパス。そのままトライを決めて29-0となり、ウェールズが前半終了時点で4トライと早々とボーナスポイント(勝ち点1)獲得を決める。

無得点のままでは終われないジョージアは後半開始早々の2分、ゲームキャプテンのPRナリアシュヴィリのラインアウトモールからのトライ(TMO後に認められる)で29-7とし、反撃ののろしを上げる。

しかし後半6分、途中出場のジョージアHOブレグヴァゼがシンビン(10分間の一時的退出)となり、反撃ムードが落ち着いてしまう。

すると後半24分、ウェールズWTBノースのグラバーキックに反応したSHトモス・ウィリアムズがインゴールでグラウンディングしトライ。36-7と再び29点差にする。

直後の28分にはジョージアPRレヴァン・チラチャヴァがチーム2トライ目を決めて、36-14として意地を見せたものの、試合終了間際の後半35分にはWTBノースがとどめのトライ。43-14でウェールズが快勝し、勝ち点5を獲得した。ジョージアは勝ち点を得ることができなかった。

試合後、ウェールズのウォーレン・ガットランドHC(ヘッドコーチ)は、

「前半は素晴らしかったのでハーフタイムは最高だった。ちょっと後半は雑になってしまった。ボールが結構滑った。しかし良いトライもあってボーナスポイントも取れたので良かった」

と前半時点でのボーナスポイント獲得に満足していたが、キャプテンLOアラン・ウィン・ジョーンズは、

「前半はやりたかったことができていたが、後半に関してはちょっと残念だ。いくつかトライのチャンスを失ったし、後半勢いを失ったという印象だ。結果には満足しているが、課題が残った」

と、勝ち点5という結果を手にしても反省を忘れなかった。

一方、ジョージアのミルトン・ヘイグHCは、

「前半はよくなかった。セットピースの精度を欠いたためにポイントをたくさん取ることができなかった。しかしジョージアの持ち味であるファイティングスピリットを見せることができた。後半立て直して今後に望みをつなげた選手たちを誇りに思う」

と、敗戦をあくまで前向きにとらえ次を見据えた。

同じく勝ち点5のオーストラリアを得失点差で上回り、プールDの首位に立ったウェールズ。次は9月29日(日)、そのオーストラリアと東京スタジアムで相まみえる。プール戦屈指の好カードに注目だ。なお、ジョージアも同じく9月29日(日)にウルグアイと対戦する。

◇2大会連続の代役プレースキッカー、ウェールズSOダン・ビガーが11得点

前回大会、開幕直前に代表当確だったウェールズFBリー・ハーフペニーが負傷し(今大会は選出されこのジョージア戦で途中出場)、その代役としてメインのプレースキッカーを務めたSOダン・ビガー。

今大会の直前まではSOガレス・アンスコムが主に10番を背負っていたが、負傷により念願のワールドカップを棒に振った。その結果、今大会もSOビガーがプレースキッカーの大役を務めることとなった。

ジョージア戦、前半2分のトライ後のゴールは正面からにもかかわらずポールに当ててしまい失敗したが、その後は4ゴール1PG、計11点を決めて勝利に貢献した。今後もSOビガーのキック精度が、特に接戦となった際は勝敗を大きく分けることとなろう。