慶大が5勝目を収めた秋季リーグ戦も中盤を迎えた。第5戦は、立大との対戦。上背で勝る慶大がブロックで優位に立つかと思われたが、逃げてきたフェイントを拾えず、アドバンテージを生かせない。なかなか点差を広げられない展開が続き、ついに第2セットを落…


慶大が5勝目を収めた

秋季リーグ戦も中盤を迎えた。第5戦は、立大との対戦。上背で勝る慶大がブロックで優位に立つかと思われたが、逃げてきたフェイントを拾えず、アドバンテージを生かせない。なかなか点差を広げられない展開が続き、ついに第2セットを落としてしまう。それでも、最後には相手攻撃を攻略してみせ、第3・4セットを連取。またも1セットを失ったが、開幕5連勝、暫定3位となった。

2019年9月21日(土)

秋季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦

第5戦 慶大×立大

@大東文化大学東松山キャンパス総合体育館

得点
慶大セット立大
2523
2225
2522
2518
出場選手(サーブ順)
ポジション背番号名前(学部学年・出身校)
26谷舜介(環2・徳島城東)
WS23小出捺暉(環2・駿台学園)
MB15加藤靖丈(商2・慶應)
OPマルキナシム(総4・川越東)
WS吉田祝太郎(政3・慶應)
MB12清水柊吾(総3・広島城北)
Li17加藤真(商3・慶應)
永田将吾(総2・高松)
途中出場宮川郁真(総2・松本県ヶ丘)
14赤川拓(理3・横手)
29高倉真古都(商1・慶應)


OPマルキのスパイク

注目の第1セット。慶大は序盤、着実に点を重ねる。相手のクイックを小出捺暉(環2・駿台学園)がブロックでシャットアウトし、8-4と慶大ペースで試合が進むように思われた。しかし、タイムアウト明けから立大も徐々にリズムをつかみ始める。ラリーからバックアタックでこのセット初めてのブレイクを奪われ、中盤にとうとう同点に追いつかれる。それ以降は互いにサイドアウト取り合ったが、マルキが強烈なスパイクを決め、慶大はブレイクに成功。そこから2連続得点を許すも、最後は小出が決めて、苦しみながらも第1セットを先取する。


久しぶりの出場を果たした赤川拓(理3・横手)

続く第2セットは、マルキとMB加藤靖丈(商2・慶應)の2枚ブロックから始まった。マルキのサーブが走り、序盤に4点のリードを作った慶大。しかし、相手のフローターサーブにレシーブが乱れた。第1セット同様、連続失点を重ねてリードを失い、10-12と逆転を許してしまう。すぐに切り替えたい慶大は、マルキの強烈なスパイクで確実にサイドアウトを切っていく。中盤、MB清水柊吾(総3・広島城北)のサービスエースなどで追いついた慶大だったが、このセットも相手のフェイントに苦しみ、なかなかブレイクできない。最後も相手にフェイントを決められ、22-25。慶大はまたも下位チームを相手にセットを落としてしまった。


好レシーブでチームを支えるLi永田

切り替えたい第3セット。マルキ・吉田祝太郎(政3・慶應)のスパイク、清水のブロックで順調なスタートを切る。だが、相手も譲らず、「2点取っては2点取られる」ブレイクの奪い合いに。試合が動いたのは、中盤。S谷舜介(環2・徳島城東)と小出が息の合った攻撃を見せると、直後には相手のツーを拾い、小出が絶妙なフェイントで反撃。連続得点で21-17、このセット初めて4点差をつけた。その後、チャンスボールの処理でもたつくなど不安要素はあったものの、なんとかこのリードを守り切った慶大。25-22でこのセットを取った。


滞空力のある清水のクイック

第4セットは、ファーストサイドアウトをなかなか取れなかった前セットとは対照的だった。Li永田将吾(総2・高松)の正確なサーブレシーブから、MBのクイックで確実に得点を重ねていく。清水のクイック決定数は、このセットだけで実に7本を数えた。センター線が機能したことで、相手ブロックが分散。両サイドからの攻撃も効果的に決まった。最後はマルキがサービスエースを奪い、25-18。セットカウント3-1で勝利を収めた。


トスを上げる正セッター谷

勝利を収めたものの、宗雲健司監督の評価は「30点」。高いブロックを避けてきた「落としちゃいけないボール」(清水)をブレイクのきっかけにすることができず、「相手が楽なことをたくさんやってしまった」(マルキ主将)。高さや打力で勝るスパイカー陣がサイドアウトを取り続けても、相手にも簡単にサイドアウトを許せば、いまいち流れに乗り切れない。先週も課題として挙がった「対応力」が、今後の勝利への鍵となりそうだ。

(記事・写真:藤澤薫・菊池輝)

以下、コメント

宗雲健司監督

――今日の試合を振り返って

相手は上手いしミスも少ないので、競り合うのは想定内でした。うちの今日の出来は30点くらいでしたけど、まあ負けなかったことが良かったんじゃないかなと思います。自分たちの力、出来が最悪でも、ゲームを落とさなかったのは良かったですね。

――残りの70点分は何でしょうか

まずは自分たちのディフェンスがブロックに頼りすぎていて。最初から、強打なんてほとんど入っていないんですよ。全部、(ブロックで)囲んでもちょろっと落とされる、足使えない、ちょっとからかわれているようなものばっかりでしたね。そこに気付くまで、アジャストするまで、時間がかかりすぎたっていうのが、大きなマイナス点ですね。あとは、昨日選手にも「相手は上手いからね」っていう話をしていたんだけど、こういう展開になったときに、なかなか心に火がつかない。みんなが焦りながらやっているっていう意味で、そこも(良くない)。もっと自分たちのカラーを出してくれればいいんですけど。期待の30点です。

――先週も「対応力」という言葉が出ていました

そうそうそう。だから、1セット目には遅くてもああいうチームだなってわかって、1セット半くらいで、どういう守りをすればいいのかっていうのを気付いてほしいんですけど、今日は時間がすごくかかっちゃって。ブロックの後ろにボールを落とされている。最後の方は、ボールをブロックではたいたりとか、それを拾ってからつないで打ったりだとか。打力自体はこっちのほうが全然あるので、そこまでセットアップできれば問題なかった。柔らかいボールを落としすぎ。でもまあ、アジャストしたのかな。

――次戦に向けて

これからまた気が抜けない相手なので、自分たちの力を十分に出すっていうことの方に、力を注いでほしいです。

マルキナシム主将(総4・川越東)

――今日の試合を振り返って

また下位のチームに対して1セットを取られてしまったんですけど、こっちの内容的に、まあ相手が楽なことをたくさんやっちゃったなっていう。たとえば、フェイントだったり、ツー。ミーティングでも落とさないって言っていたんですけど、実際は落ちちゃって。それが良くなかったなって思いました。

――第2セットを落としてしまいました

全セットを通して言えることは、最初こっちがリードして、3点差とかで15点くらいまでいけるんですけど、途中、苦しいときにサイドアウトで1本ミスから入ってしまって、追いつかれて。そこでまた相手のフェイントを落としたりだとか、そういうのがあって。サイドアウトは、全体を通してみれば悪くないんですけど、やっぱり要所でのミスがまだあるので、そこを改善したいと思います。

――では、ブレイクはいかがでしたか

2セット目は、サーブがあんまり攻めれてなくて、結果的にAパス返されて。そのAパスのとき、ブロックが良くなくて、後ろもどう守っていいかわからない。わからないままずるずるいっちゃって。相手のレフトはあんまり強いスパイクを打ってきてないんですけど、それでも簡単に決められたり。まあさっきから何回も言っているけど、フェイント。相手がうちのブロックに対して逃げてきているところをちゃんと拾えていない。それはやっぱり相手からしたらとても楽なこと。それをやることは本当に良くないなって思います。

――ご自身のプレーについては

今日は、攻撃面でチームの中心になろうって思って、サーブももちろん攻めましたし、スパイクもがんがん攻めていって。それが結果的に決まったけど、まあサーブはまだ正直50点もいっていない。あと、今、周りに下級生が多く出ている中で、コミュニケーション取って、もっと良い雰囲気を作れたらなって。そこは反省点です。

――次戦に向けて

立正大とは練習試合を何回か、今年に入ってからも多分2回くらいやっていて。まあ相手もうちの状況、特徴をわかっていると思います。格下ではありますけど、ちゃんと攻めて攻めて、今日の反省の、相手がちょこちょこやってきたボールをちゃんと拾って。で、(谷)舜介が楽に(トスを)上げて、僕と(吉田)祝太郎が中心になって切っていく、その理想のバレーをやっていきたいと思います。

清水柊吾(総3・広島城北)

――今日の試合を振り返って

今日はやっぱり立ち上がりがあんまりよろしくなくて。落としちゃいけないボールっていうのが結構コートに落ちていたり、まあブロックも悪かったらしいので。そこで上手く形を作れずに、結構足を引っ張っていて。でもまあ4セット目にはちゃんとそれが対応できていたので、そこは良かったなと思います。

――先週、「対応力」という言葉が出てきました

最終的には対応できているけど、1セット目中盤、2セット目出だしとかから4セット目みたいな形ができたら、もっと楽にいったので。対応力…多分、向こうのに対する対応力というよりは、どっちかというと自分たちのことができてなかったんじゃないかな…できてないっていうか、うまくはまってなかったと思います。

――第2セットを落としたのも、自分たちのプレーができてなかったから?

そうですね。落としちゃいけないボール、ツーとかフェイントとか、チャンスボールみたいなのが、落ちたり返ってなかったり。向こうに簡単にサイドアウトを切らせたので、そこだと思いますね。

――ブレイクとサイドアウトそれぞれ

サイドアウトは、切れてないことはなかったんですけど、それでも中盤、向こうにブレイク何本か取られて。1・2セット目は、3~4点くらいこっちがリードしているんだけど、中盤で追いつかれて、みたいな場面があったので、サイドアウトは1試合丸々継続して、返さなきゃいけないなって。ブレイクは、崩したりはしているけど、フェイントとかツーとかっていう簡単なボールを決められすぎて、向こうも楽にブレイク取れた。だからもっとそこは足動かしたりして、(レシーブを)上げていかないといけないと思いました。

――ご自身のプレーについて

ブロックは課題かなっていうところですね。今日自分がめちゃくちゃ良かったとも思っていない。ブロックがもっと序盤から止めたりできてれば、もっと楽に勝てたので。まあクイックは別に、(レシーブ陣に)パス返してもらって、セッターに上げてもらえれば、なんとか、一番合いやすいので。なので、あとはまだ細かいところ、とくにブロックはまだまだ、ちょっと詰めていかないといけないなっていう感じですね。

――次戦に向けて

相手がどうこうっていうより、自分たちのことをしっかりやれば、苦戦はしないと思っているので、サイドアウトなり、ブレイクなりっていうのを、ちゃんとやっていきたいと思います。

谷舜介(環2・徳島城東)

――今日の試合を振り返って

今日は、最初、こっちも体の動きとか集中力とかが完璧ではなかったのかなと思って。3・4セット目から、とりあえず楽しくバレーをすることを忘れないようにしようっていうことになって。そっからもう声掛けあって、楽しんでやるようにしました。

――1・2セット目はどのような様子だったんですか

1・2セット目は、「負けちゃいけない」っていう気持ちが強くて。ちょっと決められたら「やばい」ってなっちゃったけど、それ以降はすぐ切り替えてできたから、今日は良かったなと思います。

――今日、谷選手の声がたくさん聞こえてきたのは、そういうことだったんですね

そういうことです(微笑)。もうとりあえず出すしかないと思って。

――ご自身のプレー面については

自分のプレーは多分もう30点とか、それくらいで。だからこそ、なんかもう声でカバーしようという思いで必死に出していました。結構トスもブレブレだったんですけど、(吉田)祝太郎さんが悪い中でもちゃんと決めてくれていたので、明日はちゃんと良いトスを持っていきたいと思います。

――監督も「30点」だと評していました

先々週、先週とちょっと調子が上がってきていて。そんな中でまた今日落ちちゃったから、明日もっと自分に厳しくいきたいなと思います。

――MBにたくさんトスを上げていましたね

序盤クイック使っていて。中盤はちょっとサイドが多くなっちゃって、ブロックも付き始めてきて。サイドが苦しくなってきていたから、チームの中でももう一回クイックを集めて楽に切ろうってなって。そこから(清水)柊吾さんとか、全然余裕で決まるから、信じて(トスを)上げました。

――次戦に向けて

明日はもう絶対に3-0で、自分たちのバレーをきっちりやりたいなって思います。

順位表(9月21日終了時点)
順位大学勝利数セット率
1位大東文化大Max
2位法大5.0000
3位慶大5.0000
4位国士舘大3.7500
5位国際武道大3.7500
6位亜大3.0000
7位立大0.3333
8位中央学院大0.2667
9位立正大0.2000
10位平成国際大0.2000
11位桜美林大0.1333
12位山梨大0.1333

◇順位の決め方◇

勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。

セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。

なお、上位2チームは1・2部入替戦に進出できる。