写真:木造勇人(琉球アスティーダ)/撮影:伊藤圭

琉球アスティーダに19歳の新星が加わった。木造勇人だ。昨シーズン最下位に沈んだ琉球の起爆剤となるのか。

インターハイ3冠、インカレ優勝と勢いのある若手はどのような軌跡を歩んできたのか。本人に話を聞いた。

“順調そのもの”な木造のキャリア




写真:木造勇人(琉球アスティーダ)/撮影:伊藤圭

木造が卓球と出会ったのは4歳の頃、先に卓球を始めていた姉の影響だ。

小学校入学とともに地元愛知県の卓球クラブ・美崎クラブへと入り腕を磨いていく。小学校3年生の頃には現在愛工大でともに卓球部に入る高見真己とも出会い、切磋琢磨する仲だった。

木造のキャリアを紐解くと、「順調そのもの」としか形容できない。

「劇的な敗北」や「大きなケガ」にも直面することなく、順調にキャリアを積み重ねてきた。本人も「自然と勝てるようになったので、楽しかったですね」と言ってはばからない。

幼少期も「親は卓球初心者なので、クラブまで送り迎えをしてもらっていたくらいで。親からは怒られたことはないですね」と振り返る。

トップアスリートにしばしばついてまわる「鬼コーチ」や「泣くまで多球練習」などの物騒なエピソードがないのだ。

「気づいたら全国大会の予選を通ってて。小学校1年生のときに最初に全国行って、ベスト32で、そこから1年練習して2年生の時には全国2位になってました。でもあんまり覚えてないんですよ」。

小学4年生で初めて全国1位を獲ってからは常に表彰台の常連で同世代ではタイトルを総ナメにしてきた。




写真:2016年全日本ジュニア優勝時の木造勇人/撮影:長田洋平/アフロスポーツ

インターハイでもシングル、タブルス、団体の3冠に、全日本ジュニアでも2016、2017年と2連覇に輝いた。

現在所属する愛工大では1年生時から高見とともにレギュラーに定着、2019年7月の全日本大学総合卓球選手権大会(通称・インカレ)の団体戦では予選から決勝までオールストレート勝ちという圧巻の成績で締めくくった。

「もちろん嬉しかったですけど、インカレは団体戦で、僕が出なくても優勝しちゃうくらいチームメートが調子良かった。やっぱり個人で優勝したときのほうが嬉しかったなぁ」。

“張本のパートナー”からの卒業

今後が期待される木造だが、2019年9月現在の世界ランキングの順位は261位。正直、目立つ位置にはつけてない。

「これから上げていこうとは思っています。その地力をつけるためのTリーグ参戦だと思っていますし」。

特に刺激になったのは張本智和の躍進だ。

張本とは2017年の中国・ドイツオープンでダブルスを組み、中国ペア倒すなど成果を上げてきた名コンビだ。だが注目を集めたのは張本だった。顔を合わせるたびに世界ランキングをごぼう抜きに上げ、数々の大物食いを成し遂げたさまを間近で見ることしかできなかった。




写真:2017グランドファイナルの木造勇人・張本智和ペア/撮影:田村翔(アフロスポーツ)

張本と組んだ試合で木造が覚醒した試合があった。中国の樊振東(ファンジェンドン)/許昕(シュシン)ペアを倒した2017年中国オープンでの試合だ。

「試合中あんま覚えてないんですけど、普通に僕が張本選手に、お前は入れとけ、みたいな感じだったらしくて。“後は全部、俺に任せろ”みたいな感じだったらしいです。一種の覚醒状態だったんで記憶がなくて後で張本選手から聞いたんですよ」。




写真:世界卓球2019での張本智和(左)・木造勇人ペア/撮影:田村翔(アフロスポーツ)

一方、今年の世界選手権では中国ペアに敗れた。「自分のバックハンド、木造さんのフォアハンドは通用していたが、いいボールは1ゲームに1-2本」と張本が試合後に報道陣への囲み取材で振り返ったように、中国ペアにお互いの良さを封じられた。いかに自我を出しつつ、ダブルスとして結果を出すか。木造が見据えるのは同世代たちの活躍だ。

「(チャイニーズタイペイの)林昀儒(リンインジュ)選手もそうですね、今急に来たりだとか、そういった選手みたいにやっていけたら」。

そうはにかむ19歳はユニフォームを脱げば「ごく普通の」若者だ。「最近はボーリングにハマってて。卓球と違ってボーリングは右手でやるんでたくさん投げても問題ない。ハイスコアは170くらいですかね」。そう屈託なく笑う。




写真:木造勇人(琉球アスティーダ)/撮影:伊藤圭

もう“張本のパートナー”とは呼ばせない。期待の新星は琉球でどんな活躍をするのか。木造の活躍から目が離せない。

文:武田鼎(ラリーズ編集部)