文=佐保めぐみ 写真=鈴木栄一、野口岳彦「代表に残れたことは、自分にとってはプラス」バスケットボール女子日本代表は今日、アジアカップへ向けて出発した。このチームにギリギリで加えられたのが、左ひざ炎症の谷村里佳に代わり追加招集された中田珠未だ…

文=佐保めぐみ 写真=鈴木栄一、野口岳彦

「代表に残れたことは、自分にとってはプラス」

バスケットボール女子日本代表は今日、アジアカップへ向けて出発した。このチームにギリギリで加えられたのが、左ひざ炎症の谷村里佳に代わり追加招集された中田珠未だ。

中田は8月末にさいたまスーパーアリーナで行った国際親善試合には出場していたが、今回のメンバーからは外れたため、所属チームである早稲田大で関東大学リーグの試合に出場していた。追加招集の声が掛かったのは強化合宿の初日で、中田にとっては大学リーグ試合の開始直前だったという。「その時はまだ絶対に行くとかではなくて、もしかしたらみたいな感じで言われました」と中田は明かす。

中田は早稲田大の4年生で、チームにとっては不可欠な存在。「代表からは落ちていたので、大学のリーグも全部出ると部員のみんなに言っちゃいました」と、大学リーグに専念するつもりだった。「大学のみんなで頑張ろうねって、チームでもそういう感じになっていたので、ちょっと難しいというか。みんなも『行くの!?』みたいな感じにはなりました」

戸惑うのも無理はないが、代表の一員としてアジアカップに参加することは大きなチャンスだ。「最終的にどんな形であれ代表に残れたことは、自分にとってはプラスと思います。大学のみんなも『頑張って』って送り出してくれたので、少しでも成果を出せるように頑張って良い大会にできたらと思います」と意気込む。

「ベテランの方たちを休ませて、試合を繋ぐ」

中田は今回のメンバーで唯一の学生であり、同世代には今回ともに戦う赤穂ひまわりや男子日本代表の八村塁がいる。そういう同世代の選手が活躍している姿を見ると「自分も頑張らないとって思えるので、すごく良い刺激をもらっています」と言う。

「実業団ではなく大学進学を選んだので、A代表に呼ばれることもほとんどイメージしていませんでした。でもこうしてチャンスが回って来てA代表に入れたので、頑張っていればチャンスはあるんだなって思いました」と、現在の心境を口にした。

今回のアジアカップではチームとしてはもちろん優勝という目標を掲げている。それを達成するためには、個人個人が役割をこなすことが求められる。

「今までは選考を兼ねていたので、自分の良いプレーをアピールすることも考えていました。でも今回は大会なので、自分の今いるポジションとしてはスタートというよりは、控えとして交代でコートに立つことになると思います。ベテランの方たちを休ませて、試合を繋いだり、ちょっとトランジションを多くしたりとか。自分の強みである走りやディフェンス、あとはリバウンドを求められていると思います」

「攻めるタイミングが狙えればドライブとかも仕掛けたいですけど、それよりはリバウンドとかディフェンスという守りの部分で、この大会ではチームに貢献できたらいいと考えています」

日本代表を盛り上げる、思い切りの良いプレーを

今までアンダーカテゴリーの日本代表で様々な経験を積んできたが、中田にとってA代表での国際大会は初めてのこと。「カテゴリーではない代表なので、シンプルにちょっとドキドキしています」と笑顔で答える。本人にとっては、ここ1週間で状況がガラリと変わり、不安もあるに違いない。それでも、どんな時でも状況をプラスに受け入れて取り組む強さが中田にはある。

アジアカップで4連覇を達成するためには、ベテラン勢の安定したプレーやメンタル面は不可欠だが、中田のような若い選手がチーム盛り上げていくことも大切になってくる。アンダーカテゴリーではないため、求められるのは勝利という結果になる。今後の日本代表を担っていくべき存在の中田には、思い切りの良いプレーを見せてもらいたい。