文=鈴木健一郎 写真=©ASIA LEAGUE34得点を挙げるも『テリフィック12』は無念の敗退新潟アルビレックスBBの『テリフィック12』第2戦は、フィリピンのTNTトロパンが相手。大敗を喫した昨日に続きラモント・ハミルトンと柏木真介をケ…

文=鈴木健一郎 写真=©ASIA LEAGUE

34得点を挙げるも『テリフィック12』は無念の敗退

新潟アルビレックスBBの『テリフィック12』第2戦は、フィリピンのTNTトロパンが相手。大敗を喫した昨日に続きラモント・ハミルトンと柏木真介をケガで欠き、特に新加入のニック・パーキンズが一人で支えるインサイドの攻防では苦戦を強いられた。

しかし、試合の中で課題を修正することで新潟は盛り返す。パーキンズのポストアップ一辺倒の攻めが機能しないと見て、第2クォーターからはスクリーン役としてチャンスメークに徹することに。これに相手の対応が遅れ、オープンになった五十嵐圭、池田雄一が次々と3ポイントシュートを沈めて追い上げる。特に池田はキャッチ&シュートのチャンスを淡々と決め続け、連続3ポイントシュートで逆転。ストレスを溜めた相手ビッグマンが速攻に転じる池田を突き倒してアンスポーツマンライクファウル。これで形勢逆転、50-47とリードして前半を折り返した。

ビッグマンが足りないことはインサイドの高さとパワー不足を招いたが、その一方でスピードと運動量の面ではメリットになる。オフェンスリバウンドを無理に追わず、守備への戻りを速くして相手にペースをつかませない。それでも人数が少ないことで負担が大きく、第4クォーターには運動量が落ちて苦しい状況になった。

ここでパーキンズが3ポイントシュート、オフェンスリバウンドを拾ってからのスピンムーブでバスケット・カウントをもぎ取るなど奮起するも、相手がボールを集めるエース、KJ・マクダニエルズを止めることができない。粘ったものの、最後は力尽きる形で90-99で敗戦となった。

「僕はニック・パーキンズで、ガードナーとは違う」

パーキンズは36分半の出場で34得点12リバウンドと大暴れ。しかし、マクダニエルズは47得点17リバウンドと『エース対決』に敗れた形だ。マークする機会の多かったパーキンズは、まずは彼を止められなかったことを悔やむ、「ディフェンスはもっと上手くやれたはず。大学を出てプロになり、短い期間でプロフェッショナルのレベルのディフェンスを学ばなければいけない。それでももう少しはやれたと思うので、また練習に戻って自分を成長させたい」

一方でオフェンスでは、昨日の26得点を上回る34得点を挙げただけでなく、スタッツには残らないがハードワークで味方のチャンスを演出。アーリーカップで、そしてテリフィック12で、大学を卒業したばかりのパーキンズが新潟のエースになりつつある。この数カ月で自分を取り巻く環境が大きく変わる中、若い彼は意欲的に毎日の課題に取り組んでいる。

「たくさんの変化があるけど、こういう貴重な体験ができている。バスケットボールが好きで続けてきて、こうやって違う国でプレーできることは本当に恵まれているよ。負けてしまって残念だけど、シーズンが始まって1月や2月に負けるよりはずっといい。開幕までに何を修正すべきか知ることができた」

来月23歳になる若者は自分らしいスタイルで新潟のエースという責任を背負おうとしている。どうしてもダバンテ・ガードナーと比較して見られるだろうが、「僕は自分の仕事をするためにここにいる」と彼は言う。

「僕はニック・パーキンズであって、ダバンテ・ガードナーとは違う。そこを意識したことは今までもなかったし、これからもしないつもりだ。それが自分のやるべき仕事をやることだよ」

「日本人のことは、知れば知るほど好きになっている」

実際、ガードナーに比べると経験の浅さは否めず、合わせのパスをキャッチし損なったり、ゴール下のシュートを決め切れなかったりと、前任者のエースと重ね合わせた時に物足りなさを感じることはあるだろう。ただ、パーキンズにはこれまでのエースとは違う良さもある。フットワークが軽く、チームのために走ることができる。身体を張ったスクリーンもシューターにとっては心強い支えになりそうだ。

「そういうところでチームに貢献するのはすごく大事。大学からプロに来て差をださなきゃいけない部分だと思う。チームメートを生かすプレーができれば自分にもプラスになって返ってくる。そこは誇りを持ってプレーしている」とパーキンズは言う。

「まだプロになったばかりで学ぶことが多いよ」とバスケットに集中するパーキンズだが、プロ選手として生きていく舞台を日本に、そして新潟に定めたことには満足している様子。「日本のこと、日本人のことは、知れば知るほど好きになっている。日本人との関わり、コミュニケーションがすごく好きなんだ。うれしいサプライズは食事で、アメリカではレストランに出掛けても毎回おいしいものが食べられるとは限らない。でも日本ではどこに行っても本当においしくて、ものすごく驚いているんだ」

プロキャリアの第一歩を踏み出す今シーズンの目標を聞くと、彼は自分のプレーや成績について話そうとはしなかった。「新潟は昨シーズンにチャンピオンシップに進出しているから、それは今シーズンも何が何でも達成したい。その先まで勝ち進むのが目標だ。そこまで行けたら本当に素晴らしいシーズンになったと言えるはず。是非ともそうしたい」