厳しい日差しが降り注ぐ中、応援部による全力の応援は神宮球場の空に響きわたっていた。東京六大学野球秋季リーグ戦が開幕し、初戦の法政戦の1日目は黒星スタートとなってしまった早大。2日目を迎え、勝ち星を上げるためにも応援はいつも以上に熱を帯びる…

 厳しい日差しが降り注ぐ中、応援部による全力の応援は神宮球場の空に響きわたっていた。東京六大学野球秋季リーグ戦が開幕し、初戦の法政戦の1日目は黒星スタートとなってしまった早大。2日目を迎え、勝ち星を上げるためにも応援はいつも以上に熱を帯びるものとなる。吹奏楽、チアそしてリーダーが一体となり早大の観客席を多彩な応援歌とともに盛り上げていった。しかし、応援部の思いとは逆に5回裏に先制点を挙げられてしまう。巻き返しを図る早大であったがチャンスをものにはできない。結果としては0−2で法政に敗北を期し、試合は終了。最後まで諦めずにエールを送り続けていたために応援部としてもかなり悔しい試合となってしまった。

 1回表から新しい応援歌となる『雷轟』が球場に響きわたり、盛り上がりを見せていく神宮球場。ハリセンを使った一体感のある応援で観客とともに法政戦を盛り上げていった。早大の攻撃場面では、『大進撃』や『Blue Skyコール』、『スパーリングマーチ』が流れ相手の応援に負けじと早大の応援部も声を張り上げる。しかし中々ヒットが出ず、チャンス場面が作り出せない早大。「徳山!」と守備の場面では先発投手を務めた選手の名が叫ばれ、息のあった吹奏楽の音色が奏でられた。互いに一歩もひかず無失点が続き、もどかしい試合展開に。なんとか先制点を奪いたい早大であったが、想い虚しく5回裏で2点を献上してしまう。盛り下がりかけた観客席であったが、チアやリーダーだけでなく吹奏楽パート含め応援部全員で『ダイナマイトマーチ』を演奏。また『Runner』が流れ出すと曲に合わせた振り付けでチアリーダーズが高いジャンプを繰り出し、割れんばかりの拍手がわく。悪い流れを断ち切るような気迫の応援がみられ、6回表を迎えた。


応援歌を神宮球場の空に響かせる

 後半に入り『ひかる青雲』に合わせ旗を使い、またハリセンを広げるパフォーマンスで観客席をエンジ色に染めていく応援部。すると7回にヒットが飛び出し2死一、二塁と絶好の機会が訪れる。球場に早大のチャンステーマが鳴り響くと、観客も席を立ち応援部とともに攻撃陣に声援を送った。だが得点にはつながらず無失点に終わり、かなり苦しい展開となってしまう。追い込まれた早大であったがそれでも応援部は勝利の可能性を信じて気迫の応援を見せていた。「100パーセント、いや120パーセントの力で出す気持ちで頑張った」と下田隆博代表委員主将(政経4=東京・早大学院)が語るようにリーダーは今まで以上に声を張り上げ早大野球部にエールを送る。そして早速8回表に無死二、三塁の大チャンスが訪れた。観客席は今日一番の盛り上がりを見せ、『Viva Wasada』の掛け声に合わせて一体感のある応援が出来上がっていく。動きのあるアクションで『スパーリングマーチ』が吹奏楽団によって演奏され観客席のボルテージは最高潮に達していた。だが、必死な応援とは裏腹に8回、9回も無失点に終わると結果は法政に敗北。懸命な応援は結果に繋がらないまま、試合は終了してしまった。


ピンチの早大に気迫の応援を見せるリーダー

 悔しい試合となってしまったが、春季リーグと比べ各パートごとに工夫を凝らし、大きくパワーアップしたようだ。吹奏楽では守備中に動かずにしていた応援を立って観客の方へ赴き、チアが指揮台に立つなどの新しい試みも行われた。また、8月に行われた夏季合宿を通して新人の成長が見られた部分もあり、全学年でまとまった応援ができたと振り返る。これからも続く秋季リーグ戦での早大野球部の雄姿をどれだけ応援で後押しできるのか、応援部の挑戦は続く。

(記事 高橋さくら、写真 後藤泉稀、和田侑樹)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

下田隆博代表委員主将(政経4=東京・早大学院)

――全体の応援を振り返ってみていかがでしたか

悔しいの一言ですね。やっぱり応援を今日のためにやってきたのでここで負けたのはすごい悔しいという思いです。

―法大戦2日目の応援で、最も盛り上がったシーンはどこだと思われますか

8回表の無死二塁三塁の場面で、一番盛り上がってできたかなと思います。

――7回表と8回表とチャンスを逃してしまう場面がありましたが、その際に応援で気をつけた点などはありますか

まずは自分たちは全力でやる、少しでも気を抜いたらそれが選手たちに伝わってしまって点を取れないと思うので、自分たちは100パーセント、120パーセントを出す気持ちで頑張りました。

――試合を終えた選手にひとことお願いいたします

次は行くぞという、もう本当にそれしかないですね

――春季リーグと比べて応援が何か違う点があれば教えて下さい

春のリーグ戦は1年生がまだ入ったばかりで何もわからないままとりあえず球場に来てやってるといった感じだったのですが、今は半年間練習を経て本当に戦力としてすごい盛り上げてくれているので、4学年全体でまとまった応援ができているというところが違った点かなと思います。

――夏季合宿について伺います。合宿を通して新人が成長した点などはありますか

やはり粘り強さというか、チャンスで声が出るというところが一番できるようになったのかなと思います

――今後の意気込みをお聞かせください

もう負けたら優勝はないので、全部勝つ気持ちでいきたいと思うので、今後ともよろしくお願いします。

黒澤真紀子副将・チアリーダーズ責任者(教4=埼玉・早大本庄)

――きょうの応援の仕上がりはいかがでしたか

野球部の方の背中を押せるように、応援で勝たせるという強い思いを持って応援できたと思います。

―きょうの応援で1番盛り上がったところはどこですか

応援部は1番盛り上がるところで『雷轟』という応援を入れています。『雷轟』が入った時は1番声を出して、観客のことを盛り上げることを意識しました。

――法大戦の応援を通して特に気をつけたことなどあれば教えてください

先のことを考えるよりは、一戦必勝、一戦一戦勝つという思いで行いました。

――秋季リーグ戦の応援で春季リーグと変えた点はありますか

3パート全体で応援をつくりあげるということを心がけています。春季リーグと変わったところといえば、守備回に、チアリーダーズが指揮台に立って応援席全体に声をかけるという試みを始めました。チアリーダーズから声を出して応援を引っ張っぱれるように頑張ります。

――チアリーディングステージでは『Runner』という曲に合わせてパフォーマンスをされていましたが、この振り付けを考える上で、重点を置いた部分はどこですか

綺麗な振りで、観客を沸かせる、応援を盛り上げることができたら一番いいので、振りを揃えることを意識して考えました。

――夏季合宿の全体としての感想をお願いします

3パートの絆が深まったということを最も強く感じています。

――個人的な成長を教えてください

私としては、最後の夏季合宿でしたが、自分が1番全力でやるという意識で行いました。自分の姿で下級生を引っ張れるように、4年生一同頑張りました。

――最後に選手にひとこと、よろしくお願いします

まずは、お疲れ様でしたということを伝えたいです。秋季リーグはまだまだ始まったばかりなので、勝利に導けるよう応援部も今まで以上の応援をさせていただきます。

春山尚輝副将・吹奏楽団責任者(創理4=茨城・江戸川)

――きょうの応援の仕上がりはいかがでしたか

きのうは、最初はすごいみんなで盛り上がってたのですけど、それが終盤にかけてだれちゃったなって印象だったのですね。で、それをなんとか変えたくて、チャンスの時にやっぱ盛り上がる、自分たちから雰囲気変えるというのをやらなきゃなというのを昨日の応援を通して感じたのですね。でそれを朝とか昨日のフィードバックの時に、4年生とか3年生とかも中心に考えて、盛り上がるべき時にどうやったら盛り上がれるというの考えて応援するようにしたので、今日は終盤にチャンスがあったと思うのですけど、そこではしっかり盛り上がることができていて、一体感のある応援ができていたのかなと感じています。

――早法戦2回戦で最も盛り上がったシーンはどこだったと思いますか

8回ですね。8回の攻撃のシーンで、ノーアウトでランナーが出て、ここで行くしかないなって雰囲気に、誰かが言ったわけではないのですけど、全員がそういうふうに、ここだなっていうのが伝わりました。吹奏楽団が顔つきから変わったので、そこは盛り上がっていたのかなと思います。ただそれが点に繋がらなかったのが、ちょっと悔しいです。

――今日気を付けたことがありましたら教えてください

気を付けたことは盛り上がる時に盛り上がるという部分ですけど、それは結構クリアできたと思っていて。ただきのうの応援でもそうだったのですけど、気温に楽器はすごい音程が左右されちゃうので、それに対応できなかったのは昨日と今日もどちらもで。今日は暑くて気温が高いと音程が上がりやすいのですけど、それに対応できなくて結構音程が悪いような状態になってしまったかなと思います。

――春季リーグ戦と変えた点があれば教えてください

違いは守備中です。守備中は、春はずっと吹奏楽団の席で座って動かずに応援していたのです。それをまず前提として、全員立って後ろとか観客の方の方を見て応援するというふうにしたのです。かつ、自発的に行きたいなと思った人は観客席の方に出て行って観客の方の近くで応援するようして。それがやっぱり大きな方針の変更だったので、春季リーグ戦との大きな違いはそこだと思います。

――夏季合宿への春山さんの感想ですとか、個人的にここは成長したなと思ったところはありますか

やっぱり応援部の合宿というのは、結構厳しいというか辛い部分も多くて、ただそれをどう乗り越えるかというのは、合宿の大きなテーマなっているとは思うのですけど、春まではまだ次の合宿があるからという思いもあるのですけれど、ただ夏合宿は本当に自分たち4年生にとっては最後の合宿になるので、ここで本当に自分たちの思いを伝えなきゃなと思って臨んだのですよ。で、春はちょっと伝わらなかった部分もあったとは思うのですけど夏は結構下級生にも自分たちの思いを伝えることができたと思いますし、伝えることができたことで一体感も生まれたのかなと思っていて、そこは夏合宿を経て成長できた部分なのかなと思います。

――試合を終えた選手にひとことお願いします

本当にあと1点が、あと1本が出ない状況が続いていて、本当に選手の方は苦しいと思うのですけれど、自分たちは本当に選手の方が苦しんでいる時こそ、頑張って、声出して、雰囲気変えようと思っているので、ここでくじけることなくやってほしいなと思います。自分たちは絶対にくじけることは無いのでそこは安心して信頼してもらって自分たちも野球部の方が勝ってくれると信じているので、頑張ってください。

泉川創太リーダー主務・記録責任者(政経4=東京・清瀬)

――応援の仕上がりはいかがでしたか

仕上がりですか…まあ、正直、試合自体は得点も取れず、なかなか厳しい試合でした。でもその中でも、応援はきのうに続きお客さんと一緒に盛り上がることができました。きのう負けているので、後がない状況だったということで、序盤から盛り上がることができたと思います。ただ結果的に負けてしまったということで満点とは言えないなと思います。まだまだ改善の余地はありますね。

―早法戦2回戦で最も応援が盛り上がったと思われるシーンはどこですか

8回でしたよね、1回も盛り上がってましたけど。得点されていた状況だったのでチャンスはすごく盛り上がることができました。

――秋季リーグ初戦である早法戦の応援の目標はありましたか

特にこのカードに向けて定めた目標というのはなかったんですけれども、秋季リーグを通して優勝を目指していた中でこの試合を落としてしまったのは、非常に痛いですね。

――リーダーの中で泉川さんだけ『打倒法政』のハチマキをされていましたが、特別な意味があったのでしょうか

まずは個人的にハチマキが好きなんですよ。リーダーの場合、4年生になると『打倒慶応』と『打倒明治』のハチマキを全員買ったり先輩のお下がりをもらったりするんです。私は(東京六大学のハチマキを)全部発注しまして。…なので付けていた理由としては、好きだから、ですね。ハチマキ大好きなんですよ(笑)。

――トレードマークのメガネはいかがですか

メガネは……まあ、好きというよりは、コンタクトが嫌なんですよね。メガネ取ったほうがかっこいいってよく同期からも言われるんですけど。面倒くさがり屋なので付け外し忘れちゃいそうで、多分出来ないと思います。

――春季リーグから導入された泉川さん作曲の『雷轟』ですが、どのような思いで聞いていますか

いや、すごく上手くなりましたよね!私すごい感動したんです。春季リーグでは結構初戦の直前に作っちゃったので、初戦はお世辞にも出来上がっているとは言いがたい仕上がりだったんです。秋になって吹奏楽団も板についたような感じが出てきて、私はとても嬉しいです。いやー、いいですよね。とても嬉しいです。作曲者冥利に尽きます。東大の第一高等学校寮歌『ああ玉杯に花うけて』のような渋めの応援曲が好きなので、(『雷轟』の)そういう渋い響きは今聴いてもいいなと思いますね。

――夏合宿について伺います。全体を通していかがでしたか

まずは暑かったですね。普段早稲田でやっている練習では、場所の関係などでいろいろ制約があるのですが、合宿ではそういうのがなくなります。いくら大声を出してもいいというのは言いすぎですけど、道も信号が少ないので走り続けられるし、障害物もないし。まあ何しろ生活の全てが応援で染まるので、9泊10日、合宿自体は非常に有意義に練習に皆で打ち込めたと思いますね。

――夏合宿で印象的だった出来事はありますか

印象的だった出来事…。まあ練習ですかね。リーダーだけで練習する最終日は、「地獄めぐり」という最もきつい練習をするんですよ。その最後に、下級生が全員まとまってある種感動的な場面で、つらい合宿を乗り越えたというのが特に印象に残った場面ですね。

――最後に、試合を終えた選手にひとことお願いします

まだ諦めずに絶対優勝しましょう。