第41回関東女子選手権(兼)皇后杯全日本女子選手権関東地区予選
早大2-0
2-0
前橋育英高
【得点】
(早大)17’小林菜々子、40’、51’山田仁衣奈、64’土居明日香
(前橋育英高)なし

 上位6チームに与えられる全日本女子選手権(皇后杯)の出場権を争う、関東女子選手権が開幕。大会連覇中のア式蹴球部女子(ア女)は、前橋育英高と対戦した。立ち上がりこそ高校生の勢いに押され、自陣で過ごす時間が続いたものの、17分にCKからDF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が先制点を挙げ形勢は逆転。その後もコンスタントに得点を重ね、貫禄を示すかのように勝利。無事に準々決勝へ駒を進めた。

 序盤にペースをつかんだのは、格上相手に一泡ふかせようと意気込む前橋育英高。1分、ペナルティエリアへの侵入を許しファーストシュートを浴びる。11分には、ロングボールから裏抜けを許し、枠内へシュートを打たれる。試合開始からしばらくは、強度の高いハイプレスとショートカウンターに苦しみ、押し込まれる時間が続いた。それでも左サイドのDF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)、MF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)に、FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)をはじめとした中央の選手が積極的に絡んでいくことで、ア女は徐々に攻撃のリズムを構築していく。すると17分、その左サイドを起点にCKを獲得。山田のヘディングシュートが弾かれたところを小林が押し込み、劣勢の中先制に成功した。そして前半も30分を過ぎると前橋育英高の足が止まり、ハイプレスに緩みが発生。試合の潮目が変わり、ア女がじわじわと主導権を握り始める。すると40分、村上のミドルシュートのこぼれ球に山田が反応。冷静に流し込み、理想的な時間帯に追加点を挙げた。


ドリブルを仕掛ける山田。この試合2ゴールを決めた!

 後半に入っても攻撃の手を緩めないア女。46分、DF源関清花(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)がポストをたたくミドルシュートを放つなど、積極的な姿勢を打ち出していく。すると51分、蔵田が大外に開いたMF高橋雛(社1=兵庫・日ノ本学園)とのワンツーで左サイドを突破。中央のMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)に預け、マークがずれたところでボールは右サイドの山田へ。そのままカットインして左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。その後もボールを保持し、試合巧者ぶりを見せながら時計の針を進める。54分には対角のロングボールを通され、あわや失点のピンチを迎えたが、GK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)が巧みにコースを限定し、事なきを得た。64分には、MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)の直接FKのこぼれ球を途中出場のFW土居明日香(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)が詰め、点差を4点に広げて勝負あり。準々決勝へ駒を進めた。


得点後、喜ぶ土居(奥)と廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)

 この日もセットプレーで無類の強さを発揮し、勝利を収めた。「一度CKになったら自分たちは点が取れるという自信が身についてきている」(高瀬)。得意とするセットプレーによる得点で流れを引き戻し、たたみかけるという『絶対的な型』を手に入れつつあることは、今後の戦いでもチームの拠り所となるはずだ。一方で立ち上がりに主導権を握れず、不安定さを露呈する悪癖は健在。殊勲の2ゴールを挙げた山田も「今年は前半に流れをつかめない場面が多い。そこはア女にとって大きな課題」と指摘する。特に一発勝負のトーナメント戦において出会い頭の失点は致命傷になりかねないだけに、早期改善は必須だ。次の相手は、共に関東女子リーグ戦を戦う日テレ・メニーナ(メニーナ)。多くの実力者を抱えるメニーナとの今季対戦成績は1分1敗と分が悪い。求められるのは、難敵に対する苦手意識の払拭と立ち上がりの戦い方の改善。勝てば皇后杯出場が決まる一戦は、ア女の今後をも左右する分水嶺となる。

(記事 森迫雄介、写真 永池隼人)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

※試合時間は80分(前後半各40分)


スターティングイレブン

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK16川端 涼朱スポ3東京・十文字
DF源関 清花スポ4ちふれASエルフェン埼玉
DF小林 菜々子スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF中條 結衣スポ4JFAアカデミー福島
DF中田 有紀スポ4兵庫・日ノ本学園
MF◎8高瀬 はなスポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
→65分35船木 和夏スポ1日テレ・メニーナ
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
MF10村上 真帆スポ3東京・十文字
MF32高橋 雛社1兵庫・日ノ本学園
→56分34廣澤 真穂スポ1ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
MF13蔵田 あかりスポ2東京・十文字
FW山田 仁衣奈スポ4大阪・大商学園
→56分30土居 明日香スポ4ちふれASエルフェン埼玉
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、DF2冨田実侑(スポ3)、MF17阪本未周(スポ3)、MF14田中実夏(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返って

大会初戦ということで難しい部分もあって、立ち上がり相手に押される場面もけっこうあったのですが、失点せず無失点に抑えられたことはよかったと思います。

――きょうのゲームプランは

サイドが狙い目という話はしていて、簡単にサイドを使おうという狙いでした。中盤だと自分たちが数的不利になってしまって、押される時間が長かったので、少し慌ててしまった部分もありました。

――今お話にあったように、前半は攻められている場面が多かったです。その中で相手を走らせている、相手に攻めさせているという意識はあったのですか

そうですね、攻めさせているというよりは最初相手にペースを握られてしまったというのが正直なところで。自分たちももっと前からボールを奪いに行きたかったのですが、相手の方が勢いがあったというのは確かだったと思います。

――その中でまたもセットプレーからリズムをつかみました

一度CKになったら自分たちは点が取れるという自信が身についてきているので、そういったところで得点できたことはすごく自信になったと思います。

――後半意識して変えたことはありますか

相手に中盤のスペースを自由に使わせないというところで、どうしても数的不利なので、センターバックやサイドハーフをうまく使いながらスペースを消そうということは意識していました。ですが交代の後バタついたシーンもあって、そこはまだ課題だったなと思います。

――FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)選手にゴールが生まれました

そうですね、正直に素直にうれしいです。ここのところ仁衣奈にも惜しい場面があった中で、なかなか(点が)取れなくて本人もすごく悩んでいた部分もあったので、こころから勢いに乗ってくれればなと思います。

――チームとして、後期に入って試合を重ねるごとに良くなっている印象です

目的を持って試合をして、その結果こういう課題が出るというか。目的と課題が明確に出てくるようになったことは後期の手応えとしてあるので、これからも課題に対してしっかり修正できるように、一試合一試合大事にしていきたいと思います。

――ここ数試合は共通理解があるからこそ、単純なイージーミスが目立っている印象です

連係ミスというよりは、簡単な技術的ミスというのがまだ目立ちます。こういう試合だと一発勝負なので、簡単なミスからの失点が一気に流れを変えてしまうこともあるので、そういったところは突きつめていかないといけないと思います。

――改めて高校生と対戦していかがでしたか

高校生は関東リーグ(関東女子リーグ戦)で戦ってもわかるように、どのチームも勢いのあるチームで。立ち上がりはすごく難しい入りだったのですが、入りの部分はもっと良くできたなと思います。次はメニーナ(日テレ・メニーナ)が上がってくると思うので、勢いに負けないように、自分たちも立ち上がりはうまく入れるようにしたいなと思います。

――次節は勝てば連戦となりますが、意気込みをお願いします

まずは連戦のことを考えず、目の前の試合に勝つことをだけを考えて、メニーナだったら前回負けているので、絶対勝って皇后杯出場を目指して頑張っていきたいと思います。

FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)

――皇后杯予選の初戦を迎えました、どのような意気込みで臨みましたか

これまではリーグ戦を戦ってきましたが、きょうは負けたら終わりの試合だったので、緊張感を持って臨みました。きょうは(ベンチ入り)メンバーしか来ていないので、しっかり勝って次につなげることを意識しました。

――基本的な布陣はリーグ戦と同じでしたが、熟練度はいかがですか

ビルドアップの課題をどう解消するかということを話し合いながらやってきていて、その中でも結構落ち着いてボールを回せる時間帯もあり、ア女らしいサッカーができたかなと思います。

――1点目から3点目は山田選手が絡んだかたちになりましたが、それぞれ振り返って

先制点は真帆(村上)が良いボールを上げてくれて。それに頭で合わせたら菜々子(小林)がしっかり詰めてくれてありがたかったですね。2点目は、去年前橋育英と対戦した時に相手GKが結構弾いてくるのを覚えていたので、こぼれ球をしっかり詰めることはかなり意識していました。3点目は、本当は最初クロスボールを上げようとしたんですが、中の動きがあまり見えなかったのと、プレッシャーが緩かったので思い切りシュートを狙ってみたら入ったので、結果的にはよかったと思います。

――序盤は相手の強度の高いプレスに苦しんでいた印象ですが、相手を走らせる意図などはあったのですか

いや、慶大戦(◯4−0)もそうだったのですが、今年は結構前半に流れをつかめない場面が多くて。そこはア女にとって大きな課題だと思っています。序盤に失点したら(ダメージも)大きいですし、しっかり前半から自分たちのエンジンをかけて、敵陣で簡単にプレーできるようにやっていきたいです。きょうも高校生の勢いもありましたが、もっと自分たちで鼓舞していけたらと思います。

――来週は中日がない連戦になります

多分次も(帯同メンバーは)ベンチ入りメンバーだけになってしまうので負けられないですし、しっかりこの1週間で課題を修正して、次につながる練習をしていきたいです。