先日「全米オープン」男子シングルス決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)に5-7、3-6、7-5、6-4、4-6で敗れ、準優勝となった23歳のダニール・メドベージェフ(ロシア)。そして女子シングルス決勝で、第8シードのセレナ・ウ…

先日「全米オープン」男子シングルス決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)に5-7、3-6、7-5、6-4、4-6で敗れ、準優勝となった23歳のダニール・メドベージェフ(ロシア)。

そして女子シングルス決勝で、第8シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に6-3、7-5のストレートで勝利し、初のグランドスラムタイトルを獲得した19歳のビアンカ・アンドレスク(カナダ)。

「全米オープン」というグランドスラムの大舞台で、見事ファイナリストとしてベテランに挑んだ2人の若手選手。彼らをかげで支えた、22歳の投資銀行家がいた。彼の名前はMichael Genender。スタンフォード大学在学中、将来を有望視されていた左利きで、両手バックハンドのテニス選手だった。しかし、プロテニス選手としての道には進まず、株式市場へと活躍の場を移した彼は、「全米オープン」では、ヒッティングパートナー・プログラムの一環としてコートに戻り、選手たちのウォーミングアップの相手となった。

Genenderは、まず4回戦で左利きの選手であるテイラー・タウンゼント(アメリカ)と対戦を控えたアンドレスクと練習。タウンゼントのアグレッシブなネットプレーを真似ることで、アンドレスクのウォーミングアップを助けた。

メドベージェフとのウォーミングアップでは、できる限りナダルのプレーを真似て、ベースラインからだいぶ後ろに離れたところでリターンをし、メドベージェフのゲームプランに一役買った。

「メドベージェフは、気さくでとてもいい人でした。彼はだいぶリラックスした様子で、どれだけの大舞台で試合をすることになるのか、しっかりと理解しているようでした」と、Genenderはメドベージェフの器の大きさについてコメントした。

「僕との練習は主に身体を温める目的で、たった25分ほどの打ち合いでしたが、彼がどれだけナダルとの試合に準備ができているのか、感じ取ることができました」

「実は、練習中にナダルがコートに入ってきたんです。僕たちの後に、彼も同じコートで練習の予定でした。僕がサーブを打とうとした時に、それを見ているナダルが横目で見えたんです。その瞬間に、この経験がどれだけリアルなものか感じました。僕は、一生メドベージェフのファンであり、テニスというスポーツのファンであり続けると思います」と、あの壮絶な4時間51分の死闘の裏のドラマを、Genenderは興奮気味に語った。

(テニスデイリー編集部)

※写真は(左)2019年「全米オープン」でのアンドレスクと、(右)2019年「全米オープン」でのメドベージェフ

(Photo by Mike Stobe/Getty Images)(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)