写真:トルルス・モーレゴード(T.T彩たま)/撮影:保田敬介昨年Tリーグ優勝候補と目されながら、シーズン3位に終わったT.T彩たまは今季欧州勢の補強に力を入れる。既に入団が発表されている“スウェーデンの新星”トルルス・モーレゴード(17歳)…

写真:トルルス・モーレゴード(T.T彩たま)/撮影:保田敬介

昨年Tリーグ優勝候補と目されながら、シーズン3位に終わったT.T彩たまは今季欧州勢の補強に力を入れる。

既に入団が発表されている“スウェーデンの新星”トルルス・モーレゴード(17歳)は、2017年世界ジュニアで銀メダルを獲得したテクニシャンだ。

2018年のユース五輪では日本の張本智和を破るなど今まさに伸び盛り。そんなチーム最年少のモーレゴードにTリーグ参戦の経緯と日本の印象を聞いた。




写真:2018年ユース五輪でのモーレゴード。得意の「決めポーズ」/提供:ittfworld

「もっと強くなるために来た」

――Tリーグ、T.T彩たまへの加入おめでとうございます。日本はいかがですか?
トルルス・モーレゴード(以下、モーレゴード):チーム練習に合流したばかりだけど、早速馴染めている。みんなスウェーデンでプレーしていたからスウェーデン語がちょっと通じるのがいい!

岸川(聖也)も(松平)健太もとても良くしてくれるし、神(巧也)も楽しい。それから彩たまのファンも温かく応援してくれるいいチーム。これから日本語や日本の食文化を教えてもらうのも楽しみ!




写真:6月のT.T彩たま合宿の様子/撮影:保田敬介

――Tリーグ参戦のきっかけは?
モーレゴード:竜介(坂本監督)が声をかけてくれた。竜介が現役の時、スウェーデンでプレーしていたので、小さいころから知っていて、当時個性的でクレイジーなプレーをしていて印象的だった。

Tリーグは世界で一番レベルの高いリーグで、いい選手が沢山参戦している。だからここに来れば強くなれると思ったんだ。そして監督も僕を強くしてくれると言ってくれている。もっと強くなるためにここに来た。




写真:坂本監督から指導を受けるモーレゴード(T.T彩たま)/撮影:保田敬介

――最終的に目指すゴールは?
モーレゴード:世界ランキングでトップ10に入ること。そしてスウェーデンに世界選手権のようなビッグゲームでメダルを持ち帰ること。オリンピックももちろん目指しているよ。

張本、木造を倒した大会が自信になった

――今年初出場の世界選手権ハンガリー大会はどうでしたか?
モーレゴード:スウェーデンにとっては、マティアス(ファルク)が(男子シングルスで)銀メダルをとったことが大きな出来事だったし、とても興奮した。

僕個人にとっては、タフなドローだった。ベスト4に入った安宰賢(アンジェヒョン・韓国)と2回戦で当たって、2−1でリード出来たところまでは良かったけど、相手の方が上だった。でも初めて出場した世界選手権にしてはよかったね。




写真:スウェーデンとして22年ぶりの世界選手権決勝戦進出を果たしたマティアス・ファルク/提供:ittfworld

――最近スウェーデンが強いのはどうして?
モーレゴード:沢山練習しているからだよ。そして近年はナショナルチームで集まって練習してチームスピリッツが良くなっている。

僕はまだシニアのナショナルチームに入って1年ちょっとだけど、昔からいるみたいに感じる。そのぐらいチームワークが良いよ。

元世界チャンピオンのパーソンがベンチに入ってくれるのも大きい。当然経験は豊富だし、いろんな修羅場を乗り越えてきているからあらゆるシチュエーションでどんな選択をすれば良いのかを的確にアドバイスをくれる。本当に勉強になる。

――思い出に残っている試合は?
モーレゴード:昨年10月にアルゼンチンのユース五輪団体で張本(智和)を倒した試合。大勢の観客の中で張本を倒したのは印象に残っているし、本当に試合を楽しめた。

この勝利で自信がついて、今は世界のトップ15人の誰とやっても勝つチャンスがあると思えるようになった。




写真:2018年ユース五輪でのモーレゴード/提供:ittfworld

それから2017年の世界ジュニアでシングルス決勝に行けたのも印象深いね。準々決勝で翌年チャンピオンになった徐海東(シューハイドン・中国)をストレートで倒せた。

僕のバックハンドパンチとクリエイティブなスタイルに中国でも対応できなかったんだ。それ以来、中国からは相当研究されてると感じるけどね…。

この大会では第2シードだった日本の木造(勇人・琉球アスティーダ)も倒したし、思い出のトーナメントになった。やっぱり日本は強いから倒すと自信になるし、またTリーグで対戦したら絶対に勝ちたいね。

(「デスノートとトロが好き」世界を転戦する17歳の素顔<T.T彩たま・モーレゴード#2>に続く)

※取材日:2019年6月

文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)