9月14日から開幕している東京六大学野球秋季リーグ戦。慶大は第2週より開幕のため9月21日が初戦となる。それに先立ち、慶應スポーツでは秋季開幕前インタビューを実施しました。第1弾となる今回は中村健人選手(環4・中京大中京)、嶋田翔選手(環3…

9月14日から開幕している東京六大学野球秋季リーグ戦。慶大は第2週より開幕のため9月21日が初戦となる。
それに先立ち、慶應スポーツでは秋季開幕前インタビューを実施しました。第1弾となる今回は中村健人選手(環4・中京大中京)、嶋田翔選手(環3・樹徳)、正木智也選手(政2・慶應)の慶大が誇るスラッガー3選手にお話を伺った。

――まずはお互いに他己紹介をお願いします

中村健:嶋田はチームで一番身体がでかくてスピード感ある感じには見えないんですけど、確実な守備と勝負強くてパンチ力のあるバッティングで、欲しい時にホームラン打ってくれる選手だなと思います。

嶋田;正木は意外とクールそうに見えるんですけど実はちょっと熱くて、逆方向でも引っ張りでもホームラン打ててすごく長打力のあるバッターです。

正木:健人さんは僕のイメージでは何でもできるなっていう印象があって、バッティングもすごいですし足も速くてバントも上手くてっていう印象で。ここぞのチャンスってときに一本出すし、守備の面でも捕ってほしい時にファインプレーしたりだとか、そういう勝負強さがすごいと思います。

――春季リーグを振り返っていかがでしたか

中村健:全体を振り返ると明治に連敗したことが大きくて、しかも満塁ホームランを打たれたりっていう、接点接点で慶應が譲って負けてしまったシーズンだったかなと感じます。

正木:同じく明治が全てだったなっていう印象で、明治に負けたことで優勝も逃しましたし、明治がそのまま日本一になったことでその悔しさは秋にぶつけたいと思います。個人的には打率は最終的には.324残せましたがまだまだ打てたなっていう印象ですし、最後の早慶戦で落ちてしまったので最後までちゃんと打てる力を秋では出したいなって思います。

嶋田:明治との天王山で連敗してはいけない状況で連敗して、初戦落としたことは仕方ないとしても2戦目でしっかりとらなければいけなかったんですけど、そこで取れなかったっていうのはチームとしての弱さだなって思います。個人的には去年のシーズンより成長したところはあったかもしれないですけど、どうしてもチャンスで一本っていうのが出せなかったのでそこは悔しさが残るシーズンだったなっていう風に思います。


取材対応の様子

――印象に残っている試合はありますか

嶋田:僕が印象に残っているのは早慶2回戦で、同期の木澤(尚文=商3・慶應)が先発で2連敗したら早稲田に負けて3位っていう状況だったんですけど、そこで(明大戦からの)4連敗をしないで3連敗で止められてそこからまた勢いに乗れたので、僕の中では早慶2回戦っていうのはすごく印象に残っています。

正木:僕は法政3回戦が印象に残っていて、負けたら厳しいと言う状況の中ビハインドから逆転できましたし、個人的にもリーグ戦初ホームランを打てたのですごい印象に残っています。

中村健:僕も法政3回戦がぱっと出てきて、法政2回戦で4-5で負けて、追いつけそうで追いつけずに負けてしまって、負けたことにチーム全体で負けないようにしようって話し合いました。その中で3回戦リードされている中、柳町(達=商4・慶應)と正木が勝負強いバッティングで良い野球ができたことが印象に残っています。

――正木選手は初のフルシーズンでのスタメン起用でした

正木:そうですね、1年生からスタメンで何回か出させていただいたんですけどフルでは出られなかったので、その悔しさは2年にぶつけようと思って1年生の冬から過ごしてきました。思い通りにはいかなかったですけど、ホームランも2本打てたので秋はもっと力を出していけたらなと思います。

――個人的に印象に残っているプレーは

中村健:僕は早慶2戦目で出たホームランが印象に残っていて、僕個人として早慶戦で前のシーズン全く打てなくて今シーズンは最後まで打ち続けなきゃなって思っている中でいいバッティングができたのが、試合の中でのホームランとしても良かったですし、自分としてもすごく嬉しかったですねあれは。

正木:僕は初戦の立教戦で田中誠也さんからタイムリー打てたことが印象に残っていて、初戦ということもあって先制点が欲しくて自分もスタメンで出させていただいている中、あそこで一本出せたのが自分としてもチームとしてもそこから乗っていけたかなと思います。

嶋田:僕は立教1回戦の中川から打った右中間へのツーベースで、今まで逆方向への打球があんまりなくて、あの打席でリーグ戦で初めてっていうくらい右中間に打てたので、春先ずっとやってきたことが打席の中でできたので僕の中で印象に残っています。


早大2回戦にて貴重な本塁打を放った中村健

――優勝はなりませんでしたが早慶戦で勝利を収めました

中村健:そうですね、チーム始まったときから監督のほうから早稲田に絶対に全部勝つ、慶應のユニフォームを着て早稲田に負けないんだっていうことをもう一回チームの目標にしてやっていこうっていう中でした。初戦はそう上手くいかずに負けてしまった中で、全員で粘って勝ち越せたっていうのはチームとしてやってきたことが結果となって表れて得るものがあったなっていう風に思います。

正木:チームとしても早稲田に負けないっていう目標でやっていて、明治に連敗して優勝なくなったっていうときにみんな気持ち切らさずに早稲田に勝って秋につなげるぞっていうことを意思統一できていたので、初戦は負けましたけどその後2つ取れたっていうのは秋につながる早慶戦だったのかなって思います。

嶋田:去年の春秋と両方早稲田から勝ち点を落としていて、その中で今年の春はすごい重要だと思っていたんですけど、初戦落としたところで気持ち切らさずにみんなで向かった結果が連勝で勝ち点1っていうことにつながったので、そこは本当に秋につながる連勝だったのかなと思います。

――夏は特に何を意識して練習されましたか

中村健:打順や試合の流れ等々ある中でも打順の中の一人として、健人さんが今日いいスイングしてるからいけるかもってチームに思ってもらえるように、強く自分のスイングを打席で出来るように、ということを意識して練習していました。

正木:僕は春チャンスで打てなかったことが多かったので、バッティング練習から場面を想定してチャンスで打席に入っていることをイメージしながら練習してきたのと、夏に代表合宿(侍ジャパン大学日本代表選考合宿)に連れて行ってもらってそこで自分の実力の無さっていうのを感じたので、その悔しさで良いピッチャーをイメージしながら練習してきました。

嶋田:僕は2ストライクに追い込まれてからのバッティングと、逆方向のバッティングを意識して練習していました。あとは正木も言っていましたが場面を想定して逆方向に進塁打の場面であったり、引っ張って長打を狙いに行く場面であったり、そういうのを想定して練習していました。


この夏選考合宿にも参加した正木、今季の飛躍が楽しみだ

――夏一番成長した点は

正木:僕は外野からのスローイングが強くなれたかなと思います。ウエイトもやりましたしいろいろ投げ方とかも見つめ直してどうやったら正確に強く投げられるかっていうのを意識して取り組んでいました。

中村健:僕は小技じゃないですけど、バントもオッケー、右打ちもオッケー、っていう状態にしてあとは自分のどういうバッティングをしたいかっていうことを考えたかったので、もう、そういう繋ぎの仕事は完ぺきにしています(笑)

嶋田:夏休みに下半身のほうのウエイトに重点的に取り組んで、今に繋がっているかは分かりませんが、春先練習量取り過ぎて自分の中でケガしてしまったんですけど、今回は夏もすごいバット振りましたし今まで怪我無く来ることができているのでそこは成長した点かなと思います。

――カナダ遠征がありましたが得るものはありましたか

中村健:野球のことだと、日本にはいないものすごいインステップしてくるピッチャーとか、そのせいでナチュラルにツーシームになるピッチャーだったり、あんまり遅いボールはなくて同じような球速で変化させてくるピッチャーに対して自分の技術をどう対応させていくかっていう対応力のところはすごくいい勉強になったなと思います。

正木:僕はまず相手チームを見て身体がでかいなっていう印象で、それに付随してピッチャーはあまりコースに投げてくることは無かったんですけど、アバウトに投げてくる中で球の強さに負けてしまったなって思ったので、そもそもの自分のスイングの強さというものをもっと上げていかないとなっていうのは感じました。

嶋田:僕はバッティングフォームでメジャーリーグのバッターをすごく意識しているんですけど、それについてカリフォルニア州立サクラメント校のコーチと、喋れたか分からないですけど英語で意見を交換し合いながら見てもらったことは僕の中ではすごい良い経験になったなって思います。向こうでは全然打てなかったんですけど、帰ってきてからそのスイングをやることによってちょっとポイントが近くなって少しずつ逆方向の打球っていうのも増えてきたので、まだ成長しているか分からないですけどちょっとずつ成果が出ればいいなって思います。

――中村選手と嶋田選手は六大学オールスターとオール早慶戦に出場されました。振り返っていかがですか

中村健:僕はオールスターがカナダ遠征終わってすぐだったんですけど、カナダで対戦した投手より六大学の投手のほうが良いピッチャーだなって思って、やっぱりこういうレベルを打っていかなきゃいけないんだなってことと、この選手たちに秋は勝って優勝しなきゃいけないんだなってことを痛感したオールスターだったなって思いました。オール早慶に関しては…僕は深い闇に落とされたんですけど…(笑)というのはまあ自虐なんですけど(笑)でも僕は打てなかったので、全く。ドームの感じとか、プロへの憧れとかは感じましたね。

――オール早慶野球戦ではセンターにはOBの辰巳智大選手(H25文卒・トヨタ自動車)がいらっしゃいましたがライトを守っていて普段との違いはありましたか

中村健:たぶん大学生のデータってほとんど持ってないと思うんですけど、その中でも打者によってものすごい左右に大きく動いていて観察眼がすごいなってことと、ものすごい浅く守ったりしていて勝負かけなきゃいけないところを見極めているんだなって思いました。

――嶋田選手はオールスターとオール早慶振り返っていかがですか

嶋田:僕はオールスターで練習中に眼をケガしてしまって出ていないのですが、ずっと眼を冷やしながらバックネット裏で見ていました。健人さんも言ったようにカナダで対戦したピッチャーよりは球も速いですしキレっていうのはすごかったなっていうのは後ろで見ていて感じました。本当にそういうピッチャー打っていかなきゃ優勝できないので、それを打つためにどういう練習をしたらいいかっていうのを改めて考えさせられる機会だなって思いました。オール早慶は山﨑錬さん(H25商卒・JXーENEOS)がずっと出ていて僕はずっとベンチで準備していたんですけど、やっぱり試合前の声かけであったり一打席にかける思いっていうのはすごく感じたので、錬さんからお話聞けたっていう部分ではオール早慶では良い経験できたかなって思います。

――正木選手はケガの状態はいかがですか

正木:全然動けるようになって、もう大丈夫って感じです。

――打線の中でご自身の役割をどのように考えていますか

中村健:春は3番で起用していただいていたので、全然数字は意識していないですけどいわゆる得点圏打率。1、2番に打率の高いバッターと繋ぎのバッターがいて僕がいる中で後ろには郡司(裕也=環4・仙台育英)がいるので、僕は割とアグレッシブに仕掛けてチャンスをものにするっていうことが自分の役割かなって思っています。

正木:僕は打順的にチャンスで回ってくることが多くて、郡司さんの後ろを打つことが多くなると思うんですけど、郡司さんとの勝負を避けて僕勝負になったりだとか、郡司さんが返せなかったランナーを僕が返すってことがあると思うので、そういう場面でしっかり一本出せるようにしたいなと思います。

嶋田:僕は正木が返せなかったランナーを塁が埋まった状況で回ってくるケースがすごく多くなると思うので、監督にもよく言われているんですけど、嶋田・小原(和樹=環4・盛岡三)・瀬戸西(純=政3・慶應)が打ったらもっとチームが楽になるぞって言われているので、チャンスで一本打てるような役割があるのかなって僕の中で思っています。もう一つはランナーがいない場面で長打狙いに行ってチャンスメイクするぐらいの役割は僕の中では必要なのかなって思っています。

嶋田は今季も好機での打席が多いと思われる。いかに走者を返せるかがカギだ

――3選手ともホームランが魅力の一つですが、ホームランに対する特別な意識はありますか

中村健:僕はもともとそういうタイプでは全くなかったので、追い求めたい部分ではあるんですけど意識しないように意識しないように、とやっていますね。ヒットの延長でバットの芯に捕まったときにホームランになるように日頃ウエイトトレーニングなどの練習をして準備しておくって感じです。

正木:ホームランってその一本で試合の流れを変えることもできるし、試合自体をひっくり返せるものだと思うので、絶対に秋では打たなきゃいけないなって思いますし、大事な場面で欲しい時にホームランを出せればいいなって思います。

嶋田:ホームランとか長打って試合の流れをガラッと変えたり、相手にとどめを刺したりできると思うので、そう言った意味ではすごく必要だなって思います。ただ僕の場合は振りすぎてしまうと三振が多くなってしまうので、そこはケースとか考えてここはいっていい場面だなって思ったら思いっきり振って、ヒットの延長がホームランっていう意識で強いスイングができるように、そういった準備をして打席に入るようにしています。

――ご自身をどのようなタイプのバッターだと考えていますか

嶋田:スイングが速くて二塁打でしたりホームランが多い中長距離バッターだと思います。

中村健:僕は相手目線で見られたとき、長打もあるし甘いところに行ったらホームランもある、そして意外と引っ張り打者だと思われていると思います。

嶋田:健人さんが引っ張り打者だったら僕はもっと引っ張り打者ですね…

正木:バントとかはないバッターなので、センターを中心に左右どちらにも大きい打球を打てる打者だと思います。

――お互いのすごいと思うところは

正木:嶋田さんは、どんな時でも明るいと言うか、練習中でも試合中でも常に明るいので、明るさがみんなにもたらす影響っていうのは大きいと思いますし、その存在はチームとして大きいかなと思います。

嶋田:健人さんは僕の中では本当になんでもできるイメージで、面白いですし、野球上手いですし、勉強できますし、僕の中では憧れの存在です。

中村健:これって人柄言うの?(笑)

嶋田:全部です!(笑)全部が僕の中では憧れです。

中村健:正木はこういう柔らかい感じなのにバッターとしてはめちゃくちゃ怖いバッターで、右方向にホームランが打てるとかっていう意味では僕としては僕なんかより全然いいバッターだなと思います。しかも人としても癒しキャラというか、可愛がりたくなる系ですね(笑)

――秋季リーグ戦で注目してほしいプレーは

中村健:僕はホームラン出るようになってからバッティングっていうストロングポイントを得ることが出来ましたが、僕の選手としての価値っていうと守備とか走塁、次の塁を狙う姿勢とかここぞでつなぐところとか、万能なところだと思うので、バッティング以外に注目していただけたらなって思います。

正木:僕は春思った以上に打点が稼げなくて、それを意識して夏練習してきたので、その成果という意味で秋は打点に注目してほしいですし、あとは得点圏打率も意識して練習してきたのでそこも見てほしいです。

嶋田:僕は打席でのフルスイングに注目していただきたいです。おそらく三振することもあると思うんですけど、三振しても常にフルスイングで、見逃し三振はしたくないっていうのがあるので、フルスイングを見てもらいたいです。あとは試合前のサイドノックでの僕の声出しを見ていただきたいです!

――秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

中村健:春を振り返ると明治に勝ちたいですし、早稲田にももちろん勝ちたいですけど、もう全部勝ちたくて優勝したくてやっているので、一試合一試合、一戦必勝で頑張りたいと思います!

正木:僕はこのチームで優勝したいですし日本一になりたいので、健人さんも言ったように絶対全部勝ちたいですし負けられないなっていう風に思います。

嶋田:僕は勝ち点5取りたいです。僕が入ってからずっと勝ち点4で5シーズン終わって、その中で勝ち点5っていうのは確実に優勝なので、とにかく勝ち点5を目指して頑張りたいです!

――ありがとうございました!

(取材:染谷優真 写真:小林歩)

(この取材は9月6日に実施しました。)