文=丸山素行 写真=FIBA.com超ロースコアのフィジカルな守り合いバスケワールドカップの最終日、3位決定戦でフランス代表とオーストラリア代表が激突した。序盤からムービングピックなど、オフボールでのオフェンスファウルが両チームに相次ぐ、壮…

文=丸山素行 写真=FIBA.com

超ロースコアのフィジカルな守り合い

バスケワールドカップの最終日、3位決定戦でフランス代表とオーストラリア代表が激突した。

序盤からムービングピックなど、オフボールでのオフェンスファウルが両チームに相次ぐ、壮絶な守り合いを展開。ボールマンへの激しいディナイでイージーシュートを打てない時間帯が続いた。

フランスは特にマシュー・デラベドバのフィジカルなディフェンスに苦戦。エースのエバン・フォーニエが自由にプレーさせてもらえず得点が伸び悩み、さらには大黒柱のルディ・ゴベアがオフェンスファウルを誘われ、エキサイトしたゴベアはテクニカルファウルもコールされて、ベンチに退くことになった。

ゴベアが退いたことでインサイドの守りが手薄になり、ジョー・イングルズに内外から失点を許したフランスは、リムプロテクターのアンドリュー・ボーガットの前にペイントエリアでの得点が伸びない。ディフェンスで踏ん張ることで大崩れはしなかったが、前半を終えて21-30と9点のビハインドを背負った。

後半になってファウルトラブルのゴベアを起用するも、オフェンスで違いを生み出せないフランスの苦戦は続く。ゴベアは開始約3分でイングルズにバスケット・カウントを与えるファウルを犯してしまい、再びベンチへと退いた。

シンプル&トランジションバスケが機能し逆転

イングルズの3点プレーにより23-38。この試合最大となる15点のビハインドを背負い、ゴベアも使えない絶体絶命の状況となっフランスだが、ここから怒涛の反撃に転じる。

ここで違いを作ったのがニコラス・バテュムとフォーニエだ。オーストラリアの堅守を崩せないチームオフェンスに固執せず、シンプルなスクリーンから3ポイントシュートを射抜き追撃。また攻守の切り替えを速め、相手の陣形が整う前にオフェンスを遂行。トランジションが機能し、速攻に入るところでアンスポールマンファウルを誘発するなど、これまでに苦しんだオーストラリアのディフェンスをスピードで攻略した。

そして、オフェンスのグッドリズムはディフェンスにも伝染する。連続でムービングピックを誘発し、球際で競り勝ってポゼッションを渡さず、4点差まで肉薄して最終クォーターを迎えた。

流れを掌握したフランスはここでNBA経験もあるナンド・デ・コロが違いを生み出す。第3クォーターと同様にシンプルなスクリーンから積極的にシュートを放ち、3ポイントシュート2本を含む8連続得点で逆転に成功した。

勝負どころでメンタルに差、フランスが競り勝つ

その後、オーストラリアも立て直しリードチェンジを繰り返したが、アグレッシブにシュートを放ち続けたフランスがメンタルで上回る。打てるタイミングでシュートを打てず、結果的にタフショットになってしまうオーストラリアとは対照的に、フランスはコートに立つ誰もがリングに向かってプレーした。

そして残り2分、ゴベアがピック&ロールから初得点を記録し4点をリード。一方のオーストラリアはパティ・ミルズが何もないところでドリブルをミスする痛恨のターンオーバー。これでポゼッションを得たフランスは、アンドリュー・アルビシーが値千金の3ポイントシュートを沈めてリードを7点として、混戦に終止符を打った。

最大15点のビハインドを覆したフランスが最終スコア67-59で勝利。世界3位でワールドカップを締めくくった。