アメリカ・シンシナティで開催されている「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000/8月15~21日/賞金総額436万2385ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第3シードのラファエル・ナダル(スペイン)がボルナ・チョリッ…

 アメリカ・シンシナティで開催されている「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000/8月15~21日/賞金総額436万2385ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第3シードのラファエル・ナダル(スペイン)がボルナ・チョリッチ(クロアチア)に1-6 3-6のストレートで敗れるという波乱が起きた。  チョリッチが主導権を握り、1時間11分でストレート勝ちしたその試合で、ナダルは手首の故障による活動停止の影響と思えるものを垣間見せる。彼は動きにキレを欠き、すべてのショットにおいて本来の調子に遠かった。またゲームの合い間にトレーナーが肩と肘の治療に来ており、そのことからもリオ五輪での連戦の影響が感じられた。  「疲れすぎていた」と試合後、ナダルは言った。「肩、肘、大会に出場しなかった、そして何より練習もできなかった2ヵ月半。それに、オリンピックであのように多くの試合をこなし、それからすぐにここに来る、というのは――いろいろ負担がありすぎて対処しきれなかった」。  19歳のチョリッチは初のマスターズ準々決勝を決め、トップ10選手に対する10連敗に終止符を打った。  この番狂わせにより、大会でまだ勝ち残っているビッグ4はアンディ・マレー(イギリス)ただひとりとなった。

 ディフェンディング・チャンピオンのロジャー・フェデラー(スイス)と世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、故障のために欠場した。マレーはプレーしているが、金メダルを勝ち獲ったとはいえ、へとへとに疲れさせられたリオ五輪での一週間の影響を骨身に感じているという。ナダルを入れたビッグ4は、4人合わせてここ「58」のマスターズの大会のうち「54」で優勝している。  ナダルは左手首の故障のため2ヵ月間コートから離れ、リオ五輪でコートに戻った。そしてその影響はシンシナティで現れた。ナダルは5度ダブルフォールトをおかし、27本のアンフォーストエラーをおかした。第2セットでは、チョリッチが4-0とリードしたほど一方的に進んだ。  一方、スティーブ・ジョンソン(アメリカ)はジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を6-3 7-6(6)で下して準々決勝に駒を進めた。

 ツォンガを倒した瞬間、ジョンソンは人差し指を空に向けた。この勝利のおかげで彼はジョン・イズナーを蹴落とし、全米オープン前のATPランキングでアメリカ人としてはもっとも高いランキングに上がることになる。2013年7月29日からずっとアメリカ人の中で一番高いランキングを占めていたイズナーは、シンシナティの2回戦で敗退していた。  「まだ実感がわかない」とジョンソン。「さっき知ったところなんだ。それは本当に名誉なことだ。ジョンはかなり長いことその地位を保持していた。そして僕は何人ものアメリカ人たちがトップに向け切磋琢磨し合っていることをうれしく思う」。  第2シードのスタン・ワウリンカ(スイス)はグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に4-6 4-6で敗れ、優勝の可能性が大きく開けたドローの好機をふいにしてしまった。

 ワウリンカは全体的にフラストレーションに満ちたこの試合の出だし、第1セットでリードを奪われるとラケットを地面に叩きつけた。第2セットでは3-3からのゲームで2本のフォアのアンフォーストエラーをおかし、ブレークを果たしたディミトロフがふたたび試合の主導権を握った。  また第5シードの錦織圭(日本/日清食品)も6-7(1) 6-7(5)と2つのタイブレークの末に、バーナード・トミック(オーストラリア)に惜敗した。  シードの多くが崩れる波乱に満ちた一日となったが、第4シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は日本の杉田祐一(三菱電機)に対し1セットを落としたものの、結局、6-1 3-6 6-1で勝って準々決勝に駒を進めた。(C)AP