文=丸山素行 写真=バスケット・カウント編集部、B.LEAGUE

秋田ノーザンハピネッツでは、ボールに食らい付くハードワークを40分間貫くスタイルがアイデンティティになった。このスタイルを植え付けたジョゼップ・クラロス・カナルス体制は2年で終わったが、スタイルに変化はない。Bリーグのティップオフカンファレンスに登場した白濱僚祐も「ディフェンスは昨シーズンと変わりません。前田顕蔵ヘッドコーチも『日本で一番激しいディフェンスをするチームになる』と言っています」と語る。今オフは補強の成功もあって各ポジションに戦力が整い、ニカ・ウィリアムスが日本国籍を取得して帰化枠で起用できることになったのも実質的な戦力アップ。激戦の東地区でジャンプアップを目論む秋田の野心を、白濱が語る。

「ディフェンスは継続、オフェンスは変えます」

──主力級の選手を何人も獲得して期待が高まりますが、今のチームの雰囲気はどうですか。

新加入選手がたくさん入って来て、みんな主力で出るような選手たちです。今は彼らが秋田のスタイルに合わせてもらう、僕らが彼らのスタイルとミックスする、そうやってチームコンセプトを彼らに分かってもらい、フィットさせている最中です。

──チームのスタイルとしてはペップ(前ヘッドコーチ)を継承するんですよね。

そうです。遂行する選手としては大変なスタイルですが、これを継続していけば強いチームとも渡り合えるという実感があります。僕としては大変なのも分かっていますが、やりやすいです。ただ、昨シーズンはやっぱりファウルがどうしても多くなったので、そこは何とか改善しながらディフェンスをやっていきたいです。

それでも、ディフェンスは継続ですがオフェンスの形はガラッと変えます。昨シーズンはガチャガチャしたイメージが僕にはあったんですけど、今シーズンはシンプルなプレーを中心に組み立てます。得点力のある選手が入ってきたので、それぞれの個を生かす、簡単なプレーの中で個人の良さを出していくシステムをヘッドコーチが作ってくれました。

昨シーズンは全員が攻め気を持ってオフェンスしていましたが、今はメンバーを見て「ここで行ける」と思ったところを狙うオフェンスと言えばいいですかね。もちろんチャンスがあればみんな攻めますが、その中で考えて判断しながら。昨シーズンはフォーメーション自体がたくさんあって、それをこなすのが大変でした。今シーズンは簡単な動きの中からチャンスを見つけていきます。これは僕ら選手の意見をヘッドコーチが反映してくれたことでもあるし、スマートにやれる選手が加わったことで成り立っている、という印象です。

「プレッシャーも感じるんですが、心強い」

──昨シーズンは激しく戦うスタイルの中で白濱選手の負担がかなり大きかったように見えました。一方で今オフには補強があって、1番から3番までポジション争い、プレータイムを確保するのが大変になってきます。チーム内競争が激しいのは良いことですが、大変ですよね。

キャプテンになりましたし、結婚もしました。チームの勝利が一番なのは間違いないですけど、自分が活躍したいという気持ちももちろんありますからね。すごい選手が入って来て競争は激しくなりました。その中で、自分にしかできないことをまずはやっていきたいです。ディフェンスであったり、オフェンスなら中に割っていくプレーであったり。そういうことをやっていく中でプレータイムをもらいたいと思います。

昨シーズンはこの時点で先発がだいたい決まっていたんですけど、今シーズンはまだ決まっていません。そこも今シーズンはそういうスタイルで行くのかと思います。ただ、スタートで出ても出なくても、ローテーションしながらやっていかなければ乗り切れないスタイルですからね。

──秋田は地域密着で、選手への応援も自分たちの息子を応援するような温かさと熱気があります。白濱選手も県外出身ですが在籍3年で、『秋田の選手』という印象が強くなりました。ファンからすれば、ビッグネームの加入もうれしいですが、長く在籍する選手の頑張りもうれしいものですよね。

そうですね。秋田は降格も昇格も経験してきて、それは僕も一緒に経験したし、ずっと応援してくれているファンの皆さんも一緒に経験してきました。新加入選手にそれがないという言い方をするつもりはありませんが、そういう思いをファンの方々と共有できるのは既存の選手になりますから、そういう気持ちは大切にしていきたいです。

僕はずっと思っているんですが、これだけ熱く応援してくださると、プレッシャーも感じるんです。期待してもらっているからには応えなければいけないし、目の肥えたバスケットボールファンが多いチームですから、変なプレーはできません。ただ、プレッシャーも感じるんですが、僕らにとっては心強いことでもあります。B1のどのチームにも僕らが負けない唯一のものって、そのアドバンテージだと思うんです。

「トップチームに食らい付いて、勝ち切っていく」

──相手もあることですから、ただ自分たちが頑張れば勝てるものではありません。今シーズンの東地区はサンロッカーズ渋谷もかなりの補強をして、過去最強にレベルが高くなりそうです。

東地区が強いチームばかりであることは最初から分かっているので。昨シーズンは自分たちのディフェンスを確立して、後半戦では自信を得ることもできました。それでも最後の詰めの甘さ、最後の勝敗を決める部分で、僕らが勝ち方を知らないこともあって、勝ち切れない試合が多々あったんですけど、そこは経験のある選手がたくさん入って来てくれたので。任せるわけじゃないですけど、僕も勉強して学ばせてもらいたいと思っています。

僕たちに必要なのは勝ち切ることだと思います。トップチームに食らい付いて、それだけじゃなく勝ち切っていく。簡単なことではありませんが、僕らのやっていることをコツコツと続けていけば、チャンピオンシップ進出も見えてくると思います。

──トップチームに食らい付いて、勝ち切る。下克上という感じですね。

下克上、いいですね。それで行きます!

40分間戦える補強を実施、あとは「勝ち切れる」か

東、中、西の3地区制が維持される限り、秋田が最激戦のカンファレンスに置かれることは避けようがない。Bリーグ1年目のシーズンは、そこで踏み止まることができずに降格を経験した。ただ、その後の秋田は戦力の差をチーム力で埋める戦い方を徹底し、昨シーズンは残留争いから早々に抜け出している。昨シーズンはタイムシェアを徹底しなければいけない戦い方をしているにもかかわらずセカンドユニットが弱いという問題を抱えていた。今オフの補強でこの問題はかなり改善できたと見ていいだろう。あとは白濱の言う「勝ち方を知らない」状態からの脱却を果たせるか。接戦に持ち込むことはできても、これを勝ち切ることができるのは本当に強いチームだけ。そこまで到達することを目指すシーズンとなる。開幕戦はホームに、こちらも大型補強を敢行した大阪エヴェッサを迎える。ホームアドバンテージを生かして、是非とも開幕スタートを決めたいところだ。

秋田ノーザンハピネッツ 2019-20シーズン 登録選手一覧

6 細谷将司(PG 173cm72kg)
7 野本建吾(SF・PF 200cm99kg)
9 白濱僚祐(SF 189cm92kg)
11 今川友哲(PF 195cm100kg)
16 伊藤駿(PG 174cm75kg)
17 中山拓哉(PG・SG 182cm85kg)
21 長谷川暢(PG 173cm81kg)
24 保岡龍斗(SG・SF 188cm87kg)
28 ニカ・ウィリアムス(C 203cm111kg/帰化) 
32 ハビエル・カーター(C 203cm102kg/外国籍)
40 ジャスティン・キーナン(PF・C 201cm120kg/外国籍)
43 カディーム・コールビー(PF・C 206cm114kg/外国籍)
51 古川孝敏(SG・SF 190cm92kg)