◆第22回東京六大学対抗グライダー競技会◆

9月1日~6日 埼玉・妻沼滑空場


自身の経験やまわりのアドバイスをもとに堀越(写真中央)は大空に飛び立つ

堀越(文4)の公式戦デビューフライトである六大戦が妻沼滑空場で行われた。6日間(うち2日間は悪天候により中止)にわたって行われた大会も、この日が最終日。各校がしのぎを削る中、4発目のフライトで見事旋回点・千代田を回ることに成功する。前日まで得点を得ることができずもどかしい気持ちを抱えていた彼女からは、安堵の表情がうかがえた。

「ずっと得点が出ていない」。頭上に広がる青空とは対照的に、女主将の胸中は雲がかかっていた。1発目、3発目は離陸早々滞空に必要な規定高度を下回り、短い時間での帰投を余儀なくされる。間に飛んだ2発目も条件のいい雲を求めてコースを選んだものの、最初の旋回点に到達することはできなかった。着陸するたびに積もる悔しさや焦燥感。その都度OBや部員と話し合いながら作戦を練り続けた。一人の時間は愛機・S2(シエラツー)や目の前に広がる空と対話し、冷静に現状と向き合った。あっという間に時刻は12時50分を回り、競技終了時刻の13時が刻一刻と迫ってくる。ラストフライト。赤沼方面に進路を設定し、思い切りよく飛び立った。


青空の下、上昇を続けるS2

滑走路を直進し、一気に青の中を駆け上がる。高度は400~500メートル程度に到達する。堀越の操縦とS2は千代田方向めがけて緩やかに高さを伸ばしていく。「あれは1000メートルくらいじゃないか」。肉眼では確認できなくなるほど小さくなっていく先輩の雄姿を、地上の長谷川(観1)や田増(文3)らも固唾をのんで見守った。4度目の正直、千代田を回るための高度は十分。雲を捕まえながらその上空を飛行すると、ついに悲願のチェックポイント旋回に成功。最後の最後でやっとポイントを獲得した。残りの時間も次の旋回点・邑楽町役場を目指して粘ったものの、沈下帯に捕まりその行く手は阻まれた。それでも時間にしてみると滞空時間は40分を超え、最終日にふさわしい意地のフライトをみせてくれた。

「邑楽、目の前だったなぁ」。帰投すると堀越はさっぱりと言い捨てた。しかしその言葉の裏には、前日までの「0点」の悔しさと焦燥感に打ち勝った、強い主将の晴れやかな表情があった。最終日の結果は5位。総合では6位と満足のいく結果とはならなかったものの、「目標はいつも全国大会出場です」と頼もしい言葉を口にした。

最上学年の彼女にとって、すべての大会1つ1つが「最初で最後」の貴重な経験となる。今年の8月の1週間は世界大会選手権出場経験のあるコーチのもと北海道で武者修行。そして今回の競技期間中も、男女関係なく他大学のパイロットと積極的にコミュニケーションをとりながら、GPSを使った空路の比較や解析に注力した。あらゆる手を尽くして高みを目指すストイックさは、彼女の魅力のうちのひとつである。まずは10月の関東大会。駆け出しの女主将は、大舞台に向かって上昇軌道を描いていく。

(9月9日・𠮷岡麻綾)

※航空の試合では指定された周回コースを飛行し、飛行距離や時間の長短によって優劣を競う。周回コースには旋回点(千代田→邑楽町役場→高林給水塔)が設定されており、周回することができなくても旋回点を回ることによって得点を獲得することができる。そのほかにも機体の種類によってハンデが加えられたり、場所や状況によって規定の高度があったりと、細かなルールが存在する。
公式戦に出場するためには、一人でグライダーを操縦するためのライセンスが必要。イメージとしては車の免許取得に仕組みが似ており、座学と教官とマンツーマンの教習などを経る。取得には数年単位の時間を要すため、堀越が4年生で初めての公式戦に挑むのもこのことから。

◆コメント◆

S2のパイロットを務めた堀越
ー本日の感想
ずっと得点が出来ていない状況が続いていて、焦っていました。3発目までうまくいかなくて。4発目にこれで最後だなと思いました。楽しんで飛ぼうと思ってやったら千代田までなんとか行くことができて、得点できたので良かったです。

―六大戦全体を振り返った感想は?
私は他大よりも圧倒的に経験が少なくて、飛行時間にも差があることが分かっていました。だから北海道遠征とかに行って自分なりに工夫したつもりだったのですが、それを活かせなくて辛かったです。ですが最後に一点が取れたので、これからにつながる大きな一点だったかなと思います。