学生日本一を決める日本学生対校選手権(全カレ)が9月12〜15日に岐阜メモリアルセンター長良川競技場で開催される。早大は5月の関東学生対校選手権(関カレ)において、女子は総合4位を成し遂げたが男子はトラック優勝を掲げていた中で5位に沈んだ…

 学生日本一を決める日本学生対校選手権(全カレ)が9月12〜15日に岐阜メモリアルセンター長良川競技場で開催される。早大は5月の関東学生対校選手権(関カレ)において、女子は総合4位を成し遂げたが男子はトラック優勝を掲げていた中で5位に沈んだ。「今回の悔しさや無念さを忘れてはいけない」(西久保達也主将、スポ4=埼玉・聖望学園)。この思いを原動力に選手たちは鍛錬の夏を過ごし力をつけてきた。エンジの戦士たちはその成果を、どのようなかたちで見せてくれるだろうか。目前に迫った全カレの展望をお伝えする。

★トラック優勝を狙う男子 関カレの雪辱誓う


短距離種目では3年生が得点獲得となるか。南山(左)は100メートルで、伊東(中央)と小久保は400メートルでの入賞候補だ

 トラック優勝を目指す男子。そのためにはコンスタントに対校得点を獲得する必要があるだろう。短距離種目は『3年生スプリンター』の活躍に注目が集まる。100メートルでは南山義輝(スポ3=福岡・小倉東)が6月の日本学生個人選手権で10秒29の好タイムをマーク。今月1日の富士北麓ワールドトライアル(山梨)でもセカンドベストとなる10秒33でまとめ、2回目の出場で初の表彰台に向けて自信をつけた。400メートルでは昨年2位の伊東利来也(スポ3=千葉・成田)が頂点を狙う。早大歴代3位の45秒79のベストを持つ伊東は、自己記録を連発した昨年ほどの勢いは欠けるが、今年はアジア選手権や世界リレー大会にも出場。46秒台を安定して出しており、『外さない』選手だ。そして伊東を追うように今季は小久保友裕(スポ3=愛知・桜丘)の成長が著しい。7月に3年ぶりの自己記録となる46秒54を記録し、山梨でもセカンドベストと好調だ。また3年連続の全カレ出場となる村木渉真(スポ3=愛知・千種)もおり、群雄割拠の接戦の中でどこまで上位に食い込めるか。さらに400メートルに出場する3人の出走が濃厚な4×400メートルリレーでは7年ぶりの優勝を目指す。


エントリーの4人が4年生の中距離種目。中でも日本選手権入賞実績のある西久保(左)と飯島は好成績が期待される

 中距離はエントリーした全員が4年生。集大成となる舞台で力を発揮できるか。中でも800メートルでは早大自慢の選手が集まる。主将を務め、日本選手権2年連続入賞の実力者・西久保達也(スポ4=埼玉・聖望学園)は過去3大会ともに表彰台に届いていない。また今年は関カレでも3位にとどまっており、その悔しさを最後の全カレで果たしたいところだ。飯島陸斗(スポ4=茨城・緑岡)と徳永翼(人4=岡山操山)も昨年の全カレではともに準決勝落ち。3人が決勝の舞台でエンジのユニホームを輝かせてほしい。1500メートルには飯島と齋藤雅英(スポ4=東京・早実)の2人が出走する。飯島は早大歴代3位の3分42秒87のベストを持ち、齋藤は1年時に優勝を飾っている。こちらの種目にも注目だ。


ハイレベルな様相漂う長距離。男子5000メートルには太田智(左)、中谷(中央)、井川の3人がエントリーしている

 刻々と近づいている駅伝シーズンの前哨戦となる男子長距離。駒大や法大、明大などの選手は不出場だが、多くの強豪校が名を連ねている。5000メートルは資格記録で13分台を持つランナーが36人のうち実に24人もエントリー。外国人留学生も7人おり、ハイレベルな展開になること必至だ。その中で早大からは太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)と中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)、井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)の3人が出場。また大会最初のトラック種目の決勝である1万メートルには中谷と千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)が出走予定だ。好レースを披露し、東京箱根間往復大学駅伝予選会や全日本大学駅伝対校選手権への弾みをつけることができるか。


走幅跳で表彰台を狙う中村(右)と、砲丸投で全カレ初出場の雨宮

 フィールド種目では走幅跳に出場する中村健士(スポ4=東京・調布北)が今回も上位候補だ。昨年5位の中村は今年は関カレこそ9位に終わったが、日本選手権で7位入賞を果たした。走幅跳は日本選手権の覇者で、日本歴代2位の8メートル32のベストを持つ橋岡優輝(日大)や8メートル23で学生歴代3位の津波響樹(東洋大)といった実力者ぞろいだが、早大記録(7メートル91)を超えんばかりの跳躍が披露できれば、目標の表彰台は手に届く位置にある。また砲丸投には4年目にして雨宮巧(社4=山梨・巨摩)が初出場する。6月に15メートル11をマークし、早大記録を樹立したとともに全カレ標準記録を突破。念願の晴れ舞台でも納得のいく投てきを見せてほしい。

★少数精鋭の女子 実力者ぞろいで上位目指す


小山(左)は400メートル障害で連覇なるか。4年生として女子チームを引っ張る竹内の800メートルからも目が離せない

 女子は11人という少数精鋭で全カレに挑む。その中で最も注目されるのはミドルスプリントだろう。女子400メートル障害では昨年の覇者で日本選手権2位の小山佳奈(スポ2=神奈川・橘)が連覇を見据える。また日本選手権や関カレで終盤まで小山に先行した伸び盛りの関本萌香(スポ2=秋田・大館鳳鳴)も上位候補。昨年5位の村上夏美(スポ2=千葉・成田)は前半シーズンでは苦しい走りが続いたが、関カレは3位に食い込む勝負強さを見せている。日本選手権覇者の伊藤明子(筑波大)らが大きなライバルとして立ちはだかるが、3人ともに決勝進出を果たし、大量得点を獲得したいところだ。条件が良ければ、小山が5月にマークした57秒45の早大記録の更新も期待大だ。

 上記の3人に、800メートルで昨年6位の竹内まり(教4=愛媛・松山西中等)のオーダーが濃厚な4×400メートルリレーは10年ぶりの優勝なるか。至近2年の対校戦の決勝では村上、関本、竹内、小山の走順で固定されているが、今季に入り西村緋菜乃(スポ4=神奈川・相洋)が復調傾向にあり、メンバーの層に厚みが増した。フレキシブルにオーダーが組めるようになったのは大きなメリットだ。400メートルの関東学生記録保持者の広沢真愛率いる前回優勝校・日体大や、昨年2位だった立命大が強敵だが、『関カレ、全カレ、日本選手権リレー3冠』を狙う上で、この一戦を落とすわけにはいかないだろう。


溝口(右)は1万メートル競歩で3年連続3位から脱却なるか。走幅跳に出場する漁野は2回目の全カレで表彰台を狙う

 長距離ブロックからは溝口友己歩(スポ4=長野東)が1万メートル競歩に出場。最後の対校戦となる溝口だが、全カレは3年連続3位。今回は表彰台のてっぺんを狙っているだろう。今年の関カレはけがや貧血が影響し4位にとどまったが、6月の日本学生個人選手権では関カレより40秒以上タイムを縮め、自身も右肩上がりに調子が上がっているのを実感している。この夏を乗り越え、さらに力をつけた溝口の姿を見ることができるだろうか。

 フィールド種目は走幅跳に出場する2人の6メートルジャンパーに注目だ。特に7月に6メートル12の早大記録をマークした漁野理子(政経3=和歌山・新宮)は対校戦にめっぽう強く、これまで出場した対校戦では毎回入賞と安定感が光る。ただ本人が目指すのは表彰台。昨年はわずか1センチで逃したメダルを今年こそ掛けてみせたい。ルーキーの吉田梨緒(スポ1=北海道・立命館慶祥)は関カレ6位入賞後にけがに見舞われ、日本選手権では本来の跳躍ができずに悔しい思いをした。初めての全カレでは復調して、小柄ながらダイナミックな跳躍を披露することができるか。関カレ同様に走幅跳は早大にとって女子最初の決勝種目となる。好成績を残し、チームに追い風を吹かせたい。

(記事 岡部稜)

エントリー

▼男子

▽100メートル

南山義輝(スポ3=福岡・小倉東)

▽200メートル

髙内真壮(スポ4=栃木・作新学院)

澤大地(スポ1=滋賀・草津東)

三浦励央奈(スポ1=神奈川・法政二)

▽400メートル

伊東利来也(スポ3=千葉・成田)

小久保友裕(スポ3=愛知・桜丘)

村木渉真(スポ3=愛知・千種)

▽800メートル

西久保達也主将(スポ4=埼玉・聖望学園)

飯島陸斗(スポ4=茨城・緑岡)

徳永翼(人4=岡山操山)

▽1500メートル

飯島

齋藤雅英(スポ4=東京・早実)

▽5000メートル

太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)

中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)

井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)

▽1万メートル

千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)

中谷

▽110メートル障害

勝田築(スポ2=島根・開星)

森戸信陽(スポ2=千葉・市船橋)

▽400メートル障害

山内大夢(スポ2=福島・会津)

▽4×100メートルリレー

髙内

南山

勝田

佐野陽(スポ2=埼玉・立教新座)

三浦

▽4×400メートルリレー

伊東

小久保

村木

小竹理恩(スポ2=栃木・佐野)

高柿裕斗(スポ2=岡山城東)

三浦

▽走幅跳

中村健士(スポ4=東京・調布北)

▽砲丸投

雨宮巧(社4=山梨・巨摩)

▼女子

▽400メートル

西村緋菜乃(スポ4=神奈川・相洋)

▽800メートル

竹内まり(教4=愛媛・松山西中等)

藤崎紗羅(社2=東京・早実)

▽400メートル障害

小山佳奈(スポ3=神奈川・橘)

関本萌香(スポ2=秋田・大館鳳鳴)

村上夏美(スポ2=千葉・成田)

▽1万メートル競歩

溝口友己歩(スポ4=長野東)

▽4×400メートルリレー

西村

本池響(文構4=広島・基町)

小山

関本

村上

髙田真菜(商1=東京・早実)

▽走幅跳

漁野理子(政経3=和歌山・新宮)

吉田梨緒(スポ1=北海道・立命館慶祥)