静岡県伊豆市にある日本競輪選手養成所で、9月2日から4日までの3日間、117回生(男子)と118回生(女子)の第2回卒業認定記録会が行われた。そこで何と史上最多の5名(男子4名・女子1名)のゴールデンキャップ獲得者が出たという。そもそも「ゴールデンキャップとはなんぞや?」と、思われる読者も多いと思う。まずはそこから説明をしていきたいと思う。
男子は200mFD(フライングダッシュ)、400mFD、1,000mTT(タイムトライアル)、3,000mTTの4種目のタイムを計測する。基準となるタイムは順に、11秒20以内、23秒00以内、1分8秒00以内、3分49秒50以内となっており、これをクリアすればゴールデンキャップの獲得となる。この制度は第67回生から適用され、第1号は金古将人(福島67期)であった。そして、今回の117回生を含めると、合計18名がこのキャップを獲得している。ゴールデンの下はタイムにより以下、白帽・黒帽・赤帽・青帽に分類される。尚、115回生からはキャップごとに報奨金も出されるようになった。


今回の記録会でゴールデンキャップを獲得したのは町田太我候補生(19歳・広島)、菊池岳仁候補生(19歳・長野)、寺崎浩平候補生(25歳・福井)、坂本紘規候補生(23歳・青森)の4名。この中で町田、菊池候補生は、第1回に続いてゴールデンキャップの栄冠に輝いている。ゴールデンキャップを2回獲得したのは、男子候補生で初の快挙だった。報奨金に関しては、この2名が2回の記録会で手にするのは単純計算で40万円。さらにゴールデンキャップを2回獲得したボーナスとしてプラス100万円が支給される。在籍中に140万円がすでに懐へ入ることになる。この報奨金制度については賛否両論あるだろうが、候補生達のモチベーションになっていることは確かであろう。(*注釈=記録会での青帽獲得や欠席があった場合、教育期間中に休学となった場合などには支給額が減額または支給の対象外となる)


一方、女子の種目は200mFD、400mFD、2,000mTTで、今回から500mTTも新たに加わった。基準タイムは順に、12秒30以内、25秒50以内、2分41秒50以内で、500mTTは38秒30以内に設定されている。女子では永塚祐子候補生(33歳・神奈川)が見事、このタイムをクリアしてゴールデンキャップを獲得した。102回生(女子1回生)から数えると5人目(正確には卒業できなかった候補生を入れると6人目)。ちなみに東京五輪の有力候補である小林優香(福岡106期)は3回の記録会全てゴールデンキャップを獲得している。永塚の前の獲得者は伸び悩んでいる感は否めないが、日野未来(奈良114期)である。


ゴールデンキャップを獲得した人間がデビューしてからの実戦で必ず活躍できるかと言えば、決してそうではない。今をときめく新田祐大(福島90期)、脇本雄太(福井94期)、深谷知広(愛知96期)らはゴールデンキャップとは無縁だった。ビッグネーム、タイトルホルダーで言えば、金古の他に稲村成浩(群馬69期)、小嶋敬二(石川74期)、武田豊樹(茨城88期)がゴールデンキャップを獲得している。今回、男子で4名も名を連ねたことに今後の期待感が高まる。特に町田、菊池の両名に関しては2回連続しての獲得なのだから、デビューが今か、今かと、待ち遠しいと思えるほどの逸材だ。
これだけのタイムを出せるというのは、もちろん候補生の能力の高さ所以ではあるが、養成所の訓練内容によるところも大きいはずだ。一昔前は、長い距離を走ることが力をつけるためには一番大切だと考えられていた。しかし、現在は科学的なトレーニング理論が導入され、それが実践されている。候補生のほとんどが五輪に関係なく、ナショナルチームに憧れを抱いていると聞く。新田、脇本の活躍を見れば一目瞭然で、ナショナルチーム仕込みのトレーニングが陽の目を見たということだろう。

ここ数年におけるJKAの新しい力に対する取り組みは評価できる。今回の記録会は夏季休暇後に行われたので、帰省中でも激しいトレーニングをしていたかどうか、甘えはなかったかどうかも試されるものであった。その中で5名ものゴールデンキャップ獲得者が出たということは、この業界にとって久しぶりの明るい話題とも言える。ただ、毎回のように書いているが、メディアの扱いが小さすぎる。JKAは“アピール力”をもっと考えないといけないだろう。