勝利&本塁打&野手でプレー、ベーブ・ルース以来の快挙を達成したロレンゼン  4日(日本時間5日)の本拠地フィリーズ戦で、“野球の神様”ベーブ・ルース以来となる偉業を達成したレッズのマイケル・ロレンゼン投手。1試合で勝利投手となり、本塁打を打…

勝利&本塁打&野手でプレー、ベーブ・ルース以来の快挙を達成したロレンゼン

 4日(日本時間5日)の本拠地フィリーズ戦で、“野球の神様”ベーブ・ルース以来となる偉業を達成したレッズのマイケル・ロレンゼン投手。1試合で勝利投手となり、本塁打を打ち、野手として守備にも就くという離れ業は、1921年6月13日以来98年ぶりの偉業となったが、達成できたのはエンゼルスの大谷翔平投手のおかげだと地元メディアに語っている。

 ロレンゼンはこの試合、1点リードで迎えた7回から登板。1死一塁からブルースに25号本塁打を浴びて同点に追いつかれたが、レッズはその直後にイグレシアスがソロ本塁打を放ち、勝ち越しに成功した。8回もマウンドに上がったロレンゼンは、この回を3者凡退に封じてリードを守ると、1点リードで迎えた8回には打席に入り、2死一塁で左翼スタンドへと運ぶ2ラン。これがメジャー通算7本目の本塁打となった。

 そして、9回はなんと投手から中堅へ。レッズがそのまま勝利し、ロレンゼンが勝利投手になった。元々、野手並みの打力がある投手として知られていた右腕。同一ゲームで白星を掴み、フィールドでプレーし、本塁打を打ったのは1921年6月13日のベーブ・ルース以来となった。

 地元紙「シンシナティ・エンクワイヤラー」は「ショウヘイ・オオタニがレッズのマイケル・ロレンゼンに二刀流としての道をどのように開いたか」とのタイトルで特集。昨季開幕直後、ロレンゼンは故障者リスト入りしていたこともあり、大谷の本拠地での投手デビュー日の予定を空けることにしていたという事実を紹介している。それだけ、楽しみにしていたようだ。

 記事では「ロレンゼンはワクワクして試合を観た。オオタニは7回1安打、12奪三振とした。メジャーの新スターが完全に圧倒した試合だった。そして、ロレンゼンはこれが自身のキャリアに何を意味するか分かっていた」と言及。本人の「間違いなく彼がこれ(二刀流)を可能にしたんだ」というコメントを紹介している。

ほぼ全球団が大谷の獲得を目指したことで…「二刀流に対するプランをすでに持っている」

 大谷は2017年オフにポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー挑戦を表明。労使協定で25歳未満の海外フリーエージェント選手はドラフト指名選手のように初めはマイナー契約しか結べなかったため、“格安”で獲得することができた。同紙は「大金が必要なかったため、全30球団がオオタニに興味を持っていた」と指摘。そして、「オオタニの要望は二刀流としてプレーすることだった」とも伝えている。ロレンゼンは、大谷が大金を捨てて海を渡ってきたからこそ、メジャーでも二刀流でのプレーが可能になったと見ているのだ。

「ビジネスではお金がものを言うよね? ビジネスなんだ。彼はメジャーに早くやって来たことで、球団に1億9500万ドル(約208億円)のディスカウントをした。フロントは『彼はエリート選手だ。2億ドル(約214億円)の価値があるが、早くこっちにやって来る』と言わざるを得ないよね。どの球団も彼を欲しがったから、彼は球団を選び、自分のやりたいことができる立場にあったんだ」

 記事の中で、ロレンゼンはこのように言及。さらに「フロントは考え方を変えざるを得なかった。ショウヘイの起用法についてプランを考えた。全球団がそうしたから、二刀流に対するプランをすでに持っている。だから、今では、二刀流ができる選手がいるなら、やらせてみようとなったんだ。それが可能になったのは間違いなく彼のおかげだよ」と続けている。つまり、大谷を獲得しようとしたほぼ全球団がその時に二刀流の起用法を考え、準備したことで、現在は他の二刀流選手たちもプレーしやすい環境ができているというのだ。

 昨季開幕直後、大谷が二刀流として投打で衝撃的なパフォーマンスを見せたことで、米国には二刀流を目指す選手も増えたとされている。今季は打者のみでの出場が続く大谷だが、来季は投手としても復活予定。そこでどんな成績を残すかで、また米球界の“空気”も変わってきそうだ。(Full-Count編集部)