「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)の大会最終日、男子シングルス決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)に5-7、3-6、7-…

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)の大会最終日、男子シングルス決勝で、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)に5-7、3-6、7-5、6-4、4-6で敗れ、準優勝となった第5シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)。

そのメドベージェフが、試合後の記者会見で以下のように話した。(前編)Q:今日のことはどのように思い出すと思いますか?

「今日のことは忘れない。ナダルの19回目のグランドスラムタイトルだ。彼も初めてのグランドスラム決勝のことは覚えているだろうね。彼は勝って、僕は負けたけれど」

「すごい試合だったよ。素晴らしい体験だった。この夏の経験はどれも、本当に素晴らしかった。すべて忘れられない。テニスについては、本当にいい思い出ばかりさ。70歳になっても忘れないよ」

Q:特に今日に限って言うならば、何を思い出すと思いますか?

「試合そのものだよ。最初のポイントから、試合のすべてさ。もちろん、3セット目を取った時もね」

「スピーチでも言ったけれど、あれは本当だよ。試合中に"あと20分でスピーチだ。何を言えばいいだろう?"って考えていたんだ」

「僕は、すべてのポイントに果敢に挑んだ。他のことは考えずにね。悪くはなかったと思うよ」

「もう少しで勝てたかって?もちろん、あと1セットだったからね。5-4でブレークポイントという時もあったからね。その時のことはすべて忘れないよ。結果は残念だけれど、プレーには満足している。さっきも言ったけれど、この夏のすべて、そして、この"全米オープン"のすべてがいい思い出さ」

Q:あなたはノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝利しています。そして、あなたと同世代の選手たちも活躍しています。世代交代の波がやってきたと思いますか?

「難しい質問だよ。僕だけの考えで話したくないからね。そういう話は、ジャーナリストのあなたたちにお任せするよ」

「確かなことは、僕たちはみんな世代交代のためにベストを尽くして戦っているということだ。彼らは本当に強いから、一筋縄ではいかないけれどね。他になんて言えばいいのか分からないよ。彼らは本当に素晴らしい選手なんだ」

「彼らを負かすことは、本当に難しい。1セットを取ることはもちろん、1ゲームを取ることすら難しいんだ。僕たちは、とにかくベストのテニスで立ち向かうしかないのさ」

Q:この2週間でどのくらい成長したと思いますか?

「夏全体で言うならば4週間だけれど、"全米オープン"期間だけでという意味?」

Q:はい

「そうだね、本当に素晴らしい体験だった。妻には、もう少し自分に満足しなくてはいけないと、常に言われるんだ。僕は自分にとても厳しいから。今日も負けてしまって嬉しくはないけれど、この2週間頑張った自分は褒めてやらないとね。すごいことだから」

「今大会前までの、僕のグランドスラムでの成績は、4回戦が最高だった。それに、身体も万全ではなかったから、満足なプレーができていなかった。それでも、決勝まで勝ち上がって、テニス史上最強の選手と互角に戦ったんだ」

「自分を誇らなければね。こうした経験を踏まえて成長できていれば嬉しい。でも、引き続き戦って、よりいい選手になりたい」

Q:あなたは以前、ロシアでは、「リスクを取らなければ、シャンパンを飲むことはできない」という言葉があると言っていましたが、今日は何度もリスクをとったプレーをしていました。その時の心境をお聞かせください。

「すべては戦術なんだ。シンシナティでは、ジョコビッチがセカンドサーブをすべて完璧に返してきたから、ファーストサーブに頼るしかなかった」

「今日の試合で言うならば、最初の2セットはいいところまで追いつめていたとは思うのだけど、ナダルは怪物だから。僕のプレーへの対処方法をすべて熟知しているようだった。僕はとにかく、何か新しいことがひらめくまで、色々とトライしたのさ。ネットに出たり、ドロップショットを打ったり、スライスを打ったりして、すべてを試したよ」

「ビッグ3はレジェンドだよ。彼らのプレーは信じられないくらいすごいんだ。他の選手たちと比べると、戦術に困ってしまう」

「今日の試合でも、セットを取るまで"何をしたらいいだろう?"って考えていた。そうしたら、何かが見えた。その何かが何だったのかはわからないのだけれど、プレーのレベルを上げることができた。それ以降は互角の試合ができていたと思う」

Q:1週間前に、今日の観客から受けたような歓声が自分に向けられると思っていましたか?

「そうだね、僕はありのままでいるだけなんだ。褒められない行為もしたけれど、それもすべて、ありのままの僕なんだよ。観客を味方につけることができたのは驚きだよ」

「とにかく、僕はありのままでいただけさ。すべてのポイントを精一杯戦った。それが評価されたのかな?3セット目を取り返した時の歓声はすごかったから、みんなちゃんとテニスを観に来ているんだなと思ったよ」

「観客のために僕のハートは置いてこなくてはね。もちろん僕自身のためだけれど。彼らは、僕を見て評価してくれた。感謝しているよ」

Q:あなたは、ロシア人らしい選手だと思います。ロシア人のスタイルでは追い込まれた時の方が、いいテニスができるというのは本当ですか?

「それが、ロシア人のスタイルだとは思わない。僕は、ジュニアの時の方がロシア人のスタイルでプレーしていたからね。テニスのことであって、プライベートのことではないよ」

「でも、タフな時が多くて、無気力試合ってわけではないのだけれど、よく諦めてしまったりしていたよ。"もう、きつ過ぎる!"ってね」

「僕は変わったんだ。特にATPのツアーを回るようになって、周りのレベルが全然違うから、毎日自分を変えていくしかない」

「今日の試合前にも言ったのだけれど、"全米オープン"の決勝戦だから、すべてのポイントを必死で戦い、セットカウントが0-6、0-6、0-5で、ゲームカウントが0-4であっても、1ポイントでも多く取るために頑張る。できる限りのことはするだけさ」

「今日は、できる限りのことはしたと言えるよ」

後半記事に続く

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全米オープン」でのメドベージェフ

(Photo by TPN/Getty Images)