「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)大会13日目、女子シングルス決勝で、第8シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第15シードのビアンカ・アンドレスク(カナダ)と対戦。アンドレスク…
「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)大会13日目、女子シングルス決勝で、第8シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第15シードのビアンカ・アンドレスク(カナダ)と対戦。
アンドレスクが6-3、7-5のストレートで勝利し、初のグランドスラムタイトルを獲得した。
勝者のアンドレスクは試合後の記者会見で以下のように話した。 (前編)
Q:セレナが5-5にまで追いついてきた時にはどんな気持ちでしたか?
「少し不安になったわ。これまでに、彼女が5-0や5-1、5-2から巻き返して逆転しているのを目撃してきているから。とにかく、自分の戦術に忠実に戦うよう努めたわ。セレナはプレーのレベルを上げてきていた。観客の声援も彼女を後押ししていたと思う」
Q:観客の声援がすごかったですね。指で耳をふさぐ仕草をする瞬間もありましたが、何を遮断しようとしていたのですか?また、どのようにして最後まで戦い勝つことができたのだと思いますか?
「歓声の音を遮断しようとしたの。自分自身の考えに集中できないくらいうるさかったから。本当に、ものすごくうるさかったのよ。でもそれが、この大会をスペシャルにしているのだと思う」
「アメリカ人にとって、このコートで観戦できることは素敵なことなのだと思う。他の観客から、私を応援する声も聞こえてきたのは、とても嬉しかったわ」
「それでも、この大きなセレナへの声援の中戦うことは、決して簡単ではなかった。特に2セット目で彼女が追い上げてきた時はきつかった。もちろん、予期はしていたわ。だって、彼女はチャンピオンよ。あれがチャンピオンのなせる業なの。キャリアの中でも、何度もああやって逆境を乗り越えてきた選手なのだから」
「けれど、私はできる限り落ち着こうと努力した。あの状況でプレーに集中することは困難だったけれど、うまくやれたと思っているわ」
Q:今大会を通して、コート上でのあなたは常に落ち着いていました。決勝戦前はどのような精神状態でしたか?多くの選手が、毎試合同じように挑むと話しますが、決勝戦ともなると状況が変わりますよね?最初のゲームでセレナをブレークした時の心境はいかがでしたか?
「試合前には、ものすごく色々なことを考えたわ。他の試合とは比べ物にならないくらいにね。セレナとの決勝戦。朝起きてから試合が始まるまで、とにかくできるだけ呼吸をすることを心がけた。試合中も同じように息を吸って、気持ちを落ち着かせたわ」
「まったく簡単なことではなかったわ。でも、そうして気持ちを落ち着かせることは、ここ1年間ずっと私がうまくやり通してきたことだと思っている」
Q:最初のゲームについては?
「最初のゲームね。もちろんうれしかったわ。(笑)彼女が、ダブルフォールトでゲームを譲ってくれたように思う。私の戦術は、始めから色々な球を打っていき、彼女にできる限り多くの返球させることだったの」
「その戦略に、彼女も少し押されたのじゃないかしら?」
Q:昨年の「全米オープン」決勝戦の際はどこにいらっしゃいましたか?また、その試合での出来事についてはどう思われましたか?
「何が起こったか、はっきりとは覚えていないわ。その決勝戦は観なかったの。実は、試合の準備のために、ハイライトだけ今日の朝に観たわ」
「大坂なおみ(日本/日清食品)はとてもいい試合をしたと思う。私も彼女のレベルに到達できるように、今日の試合に挑んだわ」
Q:去年の今頃はどこにいらっしゃったのですか?
「自宅にいたわ。怪我をしていたから、ゴロゴロしていたの」
Q:今日のお2人の戦い方の共通点は何でしょうか?
「共通点はあると思うわ。私たちはお互いに攻撃的なプレースタイルで、早い時点でポイントを取ろうとする。2人ともサーブが武器だと思うし、とにかく必死で戦うわ」
「だけれど、それと同時に、自分のプレースタイルは独特だとも思うわ。私は他の選手たちとは違った戦い方をしているわ。そのことで、いい成績が残せていると思うし、それが私の強みになっていると思う。とにかく、そのスタイルを向上させていきたいと思っているわ」
Q:今日の試合を、どのように想像して練習しましたか?あなたの想像では、どのような試合になると考えていましたか?
「セレナとの決勝戦を頭の中で思い描いたのは、今回が初めてではないの。もう本当に、クレージーだわ!」
—アンドレスクは一瞬、感情的になりテーブルにうずくまりつつ続けた—
「この瞬間をずっとずっと夢見てきたのだから。"オレンジ・ボウル"で優勝した後から、いつかこの舞台に上がれると信じていたし、正直なところ、あれ以来ほぼ毎日思い描いてきたの」
「その夢が現実になったなんて、信じられないわ。長いこと思い描いてきたことが報われたのだと思う(笑)」
Q:2セット目の6-5でリードしてベンチに座った時、目をつぶっていたようですが、何をお考えだったのですか?
「とにかく球を相手コートにすべて返さなければと考えていたわ。それと、できる限りの深呼吸をしていたの。次は彼女のサーブだったから。最初のポイントを取って、私が勝ちにきたと思わせたかったの。最初のポイントは取ったかしら?忘れてしまったわ」
Q:恐らく取ったと思います。
「そう、よかったわ」
「とにかく最初から、色々な球を打って、彼女にできる限り多くの返球させることが、私の戦術だったから、全体的にその通りプレーができて満足している」
Q:カナダの若者たちに刺激を与えたいと仰っていましたが、今回の勝利でカナダ中が熱狂していると思います。歴史を1つ作りましたね。これについてはどのように思われますか?
「これについては、本当にずっと言ってきていること。できる限り多くの人たち、特にカナダのアスリートたちを感化することが私の目標なの。この優勝だけではなく、これまでの功績も含めて、少しはそれが成し遂げられているといいのだけれど。私が幼い時には、多くのカナダ人アスリートたちが道しるべを与えてくれたから」
「そういうアスリートに、私もなれているといいなと思う」
Q:あなたはまったく物怖じしませんね。自信を持ったプレーをしていますが、始めの頃からずっとそうだったのですか?それとも、徐々に身に着けたものなのでしょうか?もしそうであれば、どのように身に着けたのでしょうか?
「いいえ、今のように落ち着いたテニスは全くできていなかったわ。1年前ですらできていなかったと思う。落ち込んだり、ネガティブな考えばかりを巡らせていたわ。ラケットを破壊したりもしていたし、試合中に自分に向かって怒鳴ったりもしていた。試合中だけではなかったわ。練習中ですらそんな調子だったの」
「でも、そういった行為が、自分に有利に働くことは決してないと悟ったの。色々な人にアドバイスを求め始めたわ。それからは、すべてのことにポジティブでいられるように努めている。そういった考え方で、すごくいい方向に進んでいる。タフな場面でも乗り越えられるようになってきているわ」
Q:インディアンウェルズでの「BNPパリバ・オープン」では、毎朝起きて瞑想をしていると話していましたが、今日も同じように過ごしましたか?瞑想で落ち着きが得られると思いますか?また、それはパワーがみなぎるものなのですか?
「今日も瞑想したわ。今大会中はずっとしていた。通常は、試合中に起こりそうな状況を想定してイメージするの。そこから、どのようにその状況に対応するかを見つけ出して、何が起こっても対応できる準備をする」
「最大の武器は、できる限り準備をしておくということだと思っているわ。それは、マインドをいかに活用するかということなの。プロ選手たちは、誰だってレベルの高いプレーを心得ている。トップクラスの選手とそれ以外の選手たちの違いは、思考回路だけだと思うわ」
後半記事に続く
(テニスデイリー編集部)
※写真は「全米オープン」でのアンドレスク
(Photo by Elsa/Getty Images)