昨年度のリーグ戦で敗れた東海大に借りを返した。今大会好調のオフェンス陣が二桁得点の猛攻を見せ、10-8で勝利。開幕からの連勝を4に伸ばした。また今試合に勝利したことで、ファイナル4(各ブロック予選の上位2校が進出できる優勝決定トーナメント…

 昨年度のリーグ戦で敗れた東海大に借りを返した。今大会好調のオフェンス陣が二桁得点の猛攻を見せ、10-8で勝利。開幕からの連勝を4に伸ばした。また今試合に勝利したことで、ファイナル4(各ブロック予選の上位2校が進出できる優勝決定トーナメント)の出場権を手にした。

8・11~11・9 関東学生リーグ(富士通スタジアム川崎他)

9・8 対東海大戦(千葉大西千葉キャンパス)

 〇明大10{2ー3、3ー1、2ー3、3ー1}8東海大

 シーソーゲームとはこのことだ。第1Q(クオーター) 3分、オフェンスのミスから相手にボールが渡り、早々に先制点を許す。 警戒していたゴール裏からの一対一のシュートを狙われ、開始7分で立て続けに3失点。「(相手にとって)いいやられ方をしてしまった」(MF(ミットフィルダー)佐藤啓・農3=星稜)。しかし、明大に焦りの色は無かった。守りではMF坂本季菜(農4=大和)が相手のボールを幾度となくカット。グラウンドボール(注1)でもフィジカルの強さを見せ、マイボールに持ち込む。さらに攻撃面では、相手ゴーリーの股を抜くシュートを決めるなど、プレーの要となるMFが活躍した。

 手に汗握る展開が続き、7-7の同点で迎えた第4Qには執念の3得点。東海大を突き放しゲームセット。「試合が進むにつれて普段通りのプレーができていった」(井川裕之ヘッドコーチ)。試合後には台風をも吹き飛ばすようなはじける笑顔が見られた。

 今日の勝利の立役者は何といっても佐藤だろう。彼女のクロスはチームの舵を取り勢いづけた。第2Q、ドロー(注2)をものにした佐藤はそのままゴールへ一直線。「ゴールまでの道が見えた」(佐藤)。チーム最多の5得点を挙げ、流れをつくる。「勝負強い」と井川ヘッドコーチも太鼓判を押す彼女は、慶大戦でも活躍を見せた重要人物として相手チームから分析される存在。空中戦では納得のいくプレーを随所に見せるも、グラウンドボールへの反応に課題を残す。ドローから一本。フリーの選手のみならず、練習中から見えているコースを試合でいかに使えるかがカギになる。

 4年ぶり3度目の学生王者奪還へ。リーグ戦全勝でここまで来た明大。「応援の声は届いているし、自分たちのバックにはこれだけいると思うと力になる」(佐藤)。今日の勝利でファイナル4への進出を決め、さらに波に乗る。リーグ戦全勝で後味良く次へ。次週の学習院大戦からも目が離せない。

[中村奈々]

(1)グラウンドボール……ボールが地面にあり、選手がボールを保持していない状態。

(2)ドロー……各Qの最初や得失点後に行われる試合開始方法。

試合後のコメント

井川ヘッドコーチ

――試合を分けたポイントは。

 「4年生のリョウ(坂本)の攻守にわたる活躍と、3年生のヤマト(佐藤)のシュートとドローが良かったところだと思います」

――佐藤はチーム最多得点です。

 「勝負強さが持ち味の選手なので、どんなに苦しい状況でも、またどんなに強い相手でも変わらずに自分のプレーをすることができるというのが今日の試合で改めて分かりました。普段は相手がそこまで強くなくて自分たちが流れに乗っている時は、周りの選手を生かすようなプレーをしてそこまで目立つタイプではないです。でも強い相手の時は自分で決めることができる強さがありますね。普通は逆のタイプの選手が多いですけど、ヤマト(佐藤)はここぞっていう時に力を発揮してくれますね」

――ファイナル4に向けての課題を教えてください。

 「一人一人がボールを持って、良いところにボールを動かす、ボールをコントロールすることですね。ボールを持つ力が弱いと相手に詰められて取られてしまったり、焦って敵がいるところに投げてしまうので。その弱さをなくしていって、自分たちがボールを持った時には相手にとって脅威となれるような選手がもっと出てくると上のステージでも戦えると思います」

佐藤

――5得点決められました。

 「練習以上の力が出せました。自分でカットして1on1でシュートを決めることが今日の仕事かなと思っていました。自分の持ち味であるカットであったり、空いたところで取ってシュートにつなげたのがよかったです」

――ファイナル4に向けて課題は。

 「ディフェンスだとゴール裏の1on1からの攻撃です。そこを止めようと言ってたのですが意識しても止めきれないシーンが多かったです。ドローは3対3のグラボ(ボールが落ちたときのグラボ)のグラブ使いだったり反応の速さなどを上げないといけないです。個人としては、練習中にはできているはずだけど試合になると見つけられていないコースやスペースが多いことです。ドローに関しては、相手に分析されるんだなっていうのが今日やっていてわかったので、どうやってスペースを取れるかっていうのをチームでやっていきたいです」