写真:早田ひなを下した浜本由惟(木下アビエル神奈川)/提供:©T.LEAGUE

Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。

今回は9月7日のノジマTリーグ・日本生命レッドエルフVS木下アビエル神奈川。早田ひな(日本生命レッドエルフ)と浜本由惟(木下アビエル神奈川)の試合に迫る。

早田ひなは、回転量の多い巻き込みサーブ(手首を内側に巻き込むようにして逆横回転をかけるサーブ)とパワフルな両ハンド攻撃を武器としており、昨シーズンのTリーグではシングルス11戦無敗と圧倒的な成績を残してチームの優勝に貢献した。

一方で浜本由惟は、高くボールを投げ上げるサーブ(投げ上げサーブ)から長身を活かしたドライブ攻撃につなげるプレーが特徴で、2016年には世界選手権の代表にもなっている。

昨シーズン11月の対戦では、早田ひなが3-0で浜本由惟に勝利しており、今回の試合もゲームカウント2-1の9-3と途中までは早田が優勢であった。浜本は万事休すと思われたが、ここから8連続ポイントで逆転を果たしゲームを奪取。最終ゲームも自分の展開に持ち込んだ浜本が見事激戦を制した。

早田勝利かと思われた試合を、浜本はどのようにしてひっくり返して勝利を収めたのか。そこには2つの要因があった。

木下アビエル神奈川 対 日本生命レッドエルフ:浜本由惟VS早田ひな

詳細スコア

○浜本由惟 3-2 早田ひな
11-8/4-11/6-11/11-9/11-7

1. 台から出るか出ないかのギリギリを攻めた投げ上げサーブ




写真:浜本由惟(木下アビエル神奈川)のサーブの配球/図:ラリーズ編集部

浜本はゲームの序盤から中盤までバックにロングサーブ・フォアサイドへ逃げていくサーブと、様々なコースにサーブを散りばめた。しかし、早田の回り込み強打や逆チキータでのレシーブに手を焼き、なかなか自分の展開に持ち込めなかった。

そこで浜本が活路を見出したのは、フォア前への投げ上げサーブ 。しかも早田がバックでレシーブしにくい絶妙なコースにサーブを出すことで、レシーブを単純化させた。

強打できそうでできない浜本の長さのサーブに対して、早田は上手くレシーブできずミスを連発。ゲーム終盤になってレシーブに迷いが生じた早田は、主導権を奪われてしまった。

2.積極的なレシーブからの両ハンド攻撃




写真:ラリー戦での浜本由惟(木下アビエル神奈川)のコース取り/図:ラリーズ編集部

先に2ゲームを連取され、第4ゲームも3-9と後がなくなった浜本。ここから早田がプレーを焦ったのを浜本は見逃さなかった。

早田の巻き込みサーブに徐々に慣れてきた浜本は、台から出たサーブは積極的に早田のバックにドライブ、ショートサーブも得意のチキータと、早田のサーブ時に先に仕掛けるようになった。

また試合の途中までは、早田のフォアにボールが集まり、フォアドライブを連打されていたが、バックにボールを集めることで連打を防ぎ、少しずつ早田のリズムを狂わせることに成功した。

巻き込みサーブに手を焼き、フォアドライブ連打を食らっていた浜本。しかしそこから積極的なレシーブに切り替え、先に早田のバックにボールを集め主導権を握ることで、試合を自分のものにした。リードされてからも諦めずに戦術転換できたのが勝因だと考えられる。

まとめ

今回の試合は、サーブ・レシーブの重要性と戦術一つで流れが変わる、卓球の面白さと怖さが詰まったものであった。

大きく点差がついても、諦めずに大逆転を呼び込んだ浜本由惟。木下アビエル神奈川を支える浜本のこれからの試合にも注目だ。

文:ラリーズ編集部