関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第2戦、初戦を落とした早大は東海大と対戦した。関東学生春季リーグ(春季リーグ)で対戦した際には序盤から得点を奪われ続け、開始15分までで0-7の大差をつけられた難敵に対して、早大は狙いを持った守備と高い集中…

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第2戦、初戦を落とした早大は東海大と対戦した。関東学生春季リーグ(春季リーグ)で対戦した際には序盤から得点を奪われ続け、開始15分までで0-7の大差をつけられた難敵に対して、早大は狙いを持った守備と高い集中で対抗。立ち上がりこそ相手のオフェンス陣に苦しめられたが、前半の中盤以降は見事に対応し、守備からリズムを掴んでいく。一時は6点にまで広げられた点差を2点にまで縮めて前半を終えると、後半は一進一退の展開に。攻めては佐藤優花(スポ1=東京・佼成学園女)のキレのあるプレー、守っては大沢アビ直美(スポ4=東京・佼成学園女)の好セーブなどで粘り強く戦い、何度も同点の場面を迎えた。だが、最後までリードを奪うことはできずに試合終了。秋季リーグ2戦目は引き分けとなった。

 
序盤は早大が持ち味を発揮する展開に。「前回の試合では1つもなかったので1週間練習してきた」(阿部)というディフェンスからの速攻での得点や、前節欠場していた衣川直緒(社3=愛知・星城)の中央深くまで切れ込んでのミドルシュート、杉山瑞樹主将(社4=神奈川・横浜創英)のサイドシュートなどの多彩な攻撃で相手ゴールを脅かしていく。しかし、衣川の2分間の退場を機に流れが徐々に東海大に傾いてしまうと、タイムアウトや大沢の好セーブなどでも流れを変えることはできず、5連続失点を喫し6点差をつけられてしまう。春季リーグまでの早大ならこのまま流れを変えられずに敗戦してしまっていたかもしれない。だが、夏を終えて一回りも二回りも成長した早大は一味違った。狙いどころであった相手の左45を完全に封じ込め、守備からリズムを掴んでいく。大沢が7メートルスローをセーブすると、その後は完全に早大の流れに。鋭い速攻からの紅林詩乃(スポ2=東京・佼成学園女)のゴールなど怒涛の4連続得点で一気に2点差まで詰め寄る。その後、4点差まで差を広げられるも、佐藤の技ありシュートなどで再び2点差に迫り前半終了。ビハインドではあったものの春からの成長が感じられ、後半への期待を持てる前半であった。


速攻からゴールを奪う紅林

 後半も、リードを広げて突き放したい東海大に対して、早大が粘り強く戦い逆転を目指すという構図は変わらなかった。早大が阿部や吉田瑞萌(スポ3=東京・佼成学園女)のカットインからゴールを奪えば、東海大も連続得点で突き放しにかかる。しかし、早大の狙いがはっきりとしたセットディフェンスや、要所での大沢のビッグセーブなどで東海大に簡単には得点を与えない。すると、上位ゆえのプレッシャーからか東海大に徐々に焦りが見え始める。一気に畳みかけ逆転したい早大であったが、速攻からの一対一や7メートルスローなどの決定的なチャンスを決められず、逆転することはできない。1点ビハインドの後半28分に相手の決定的なシーンを大沢がセーブすると、直後の後半29分に7メートルスローを獲得する。プレッシャーのかかる場面だったが、岡崎麗(教3=埼玉・浦和実)が落ち着いて決めて同点に追いつく。その後、東海大の長いセットオフェンスを耐えきり23-23の引き分けで試合終了となった。


プレッシャーのかかる7メートルスローを冷静に決めた岡崎

 「勝ちきれなくて悔しいという気持ちが一番強い」という佐藤の言葉にもある通り、チームが機能し、相手をギリギリまで追い詰めたからこそ勝ちきりたかった試合であった。一つ気がかりなのは、選手層の薄さだ。試合を通して流動的に選手交代をした東海大に対して、早大は前半の半分過ぎから後半終了までほとんど同じメンバーが出場していた。もちろん、出場していた選手たちは最後まで集中を切らさず素晴らしいプレーを見せていたが、これからのリーグでの連戦や、日本一を目指す全日本学生選手権での連戦を考えると選手層の強化が必要に感じられた。だが、前節から短い期間での速攻の修正など評価できるところも多く、次戦以降に期待の持てる内容であった。常に成長を続けていく早大から目が離せない。

(記事、写真 稲葉侑也)

関東学生秋季リーグ
早大2310-12
13-11
23東海大
GK 大沢アビ直美(スポ4=東京・佼成学園女)
LW杉山瑞樹(社4=神奈川・横浜創英)
LB吉田瑞萌(スポ3=東京・佼成学園女)
CB 岡崎麗(教3=埼玉・浦和実)
PV紅林詩乃(スポ2=東京・佼成学園女)
RB阿部美幸(スポ2=東京・佼成学園女)
RW衣川直緒(社3=愛知・星城)
コメント

阿部美幸(スポ2=東京・佼成学園女)

――試合を終えた感想をお願いします

個人的には、勝てるような試合だったので、いつもなら惜しかったなと思うんですけど、悔しいなというのが本音です。

――東海大に対してどのような対策をしましたか

ディフェンス面は、相手の左45の強い人がアウトにいかないでインに攻めてくるので右に流していこうというのと、ミドルもちゃんと当たって流していこうと対策していました。オフェンス面は、相手のディフェンスが結構間がすかすかだったので、一対一を狙っていった感じです。

――守備からリズムを作れていた印象を受けましたが、手応えはいかがでしたか

前回の試合では速攻が1つもなくて、セットオフェンスだけで点を取ってる感じだったので、そこを反省して1週間練習してきて、ディフェンスからの速攻で結構得点できていたので、よかったなと思います。

――常に僅差の展開で、体力的にも厳しい中、どのようなことを考えてプレーされていましたか

いつのまにかラスト1分になってて、「あ、もうこんな時間か」というような感じだったのでした。とにかく、前のディフェンスが凄く弱かったのでねじ込んでやろうとしか考えてなかったです。

――次戦以降への意気込みをお願いします

今回勝ちきれなかった分、次戦以降で勝ちきれるように頑張ります!

佐藤優花(スポ1=東京・佼成学園女)

――今の率直な感想をお願いします

チームとしても勝てたなという部分があったと思うので、勝ちきれなくて悔しいという気持ちが一番強いです。

――秋季リーグ初戦は黒星スタートでしたが、今日までどのような気持ちで取り組んできましたか

――スタートから出るわけではないので、メンタル的に弱い部分を改善するように良いイメージをして、絶対東海大をぶっ潰すぞという気持ちでずっと取り組んできました。

――終盤、タイトな展開が続きましたが何か意識していたことはありますか

一本一本をどう攻め切るかというのを考えていて、両45とかすごく信頼できる先輩ばかりなので、それをどう生かそうかと考えていました。

――秋季リーグから試合に出始めて2試合を終えましたが、ご自身の出来はいかがでしたか

まだ全然周りを見れていなかったり、集中しきれていない部分が多いので、まだまだ上げていきたいと思います

――次戦への意気込みをお願いします

絶対勝ちます。