文=丸山素行 写真=鈴木栄一、野口岳彦「自分の役割は増やしていかなきゃいけない」ワールドカップに挑んだ日本代表はグループリーグで3連敗を喫し、順位決定戦へ回ることになった。ワールドカップでの1勝が現在の目標となった日本だが、エースの八村塁が…

文=丸山素行 写真=鈴木栄一、野口岳彦

「自分の役割は増やしていかなきゃいけない」

ワールドカップに挑んだ日本代表はグループリーグで3連敗を喫し、順位決定戦へ回ることになった。

ワールドカップでの1勝が現在の目標となった日本だが、エースの八村塁が「膝の不調と疲労を抱えている」ことを理由にチームを去ることとなった。

その結果、八村と同じくNBAプレーヤーである渡邊雄太に求められる役割は数段増した。渡邊もそれを理解し、「自分がもっとやらないといけない」と言う。

「塁の得点力、リバウンド力というのは自分たちにとって欠かせないものだったので、そこが抜ける分、自分がもっとしっかりしないといけないという気持ちがあります。責任感はすごく感じていますし、そういう意味では自分の役割は増やしていかなきゃいけないとは思っています」

渡邊は八村、ニック・ファジーカスとのトリオで『ビッグ3』と呼ばれているように、日本の中心的存在だ。これまで日本を背負う気概を随所に見せてきたが、結果が伴わず、特にアメリカに大敗した直後は落胆を隠しきれなかった。

「世界に比べるとまだまだ力が足りていなかったと感じさせられました」

順位決定戦は「自分たちが成長できる良い機会」

過去最強の呼び声高いメンバーを集めて臨んだワールドカップだけに落ち込むのも無理はない。それでも大会は続くし、その一戦一戦を日本の強化の礎としなければならない。だからこそ渡邊も「モチベーションは変わらないです」と、本気で目の前の1勝を勝ち取りに行く。

「自分たちのやらないといけないことは変わらないと思います。予選を突破できなかったのは残念ですけど、まだ試合ができることはありがたいことです。ニュージーランドも手ごわい相手ですけど、自分たちが成長できる良い機会だと思うので、しっかり戦っていきたいです」

ニュージーランドとは8月の強化試合で2度対戦した。八村が31得点を挙げた初戦は勝利したが、3ポイントシュートをを高確率で許した第2戦は敗れた。ディフェンス、特に3ポイントシュートを多く許す日本にとっては、課題を克服する最適な相手だと言える。

渡邊も3ポイントシュートを警戒し、「力は当然あるチームだし、3ポイントの確率は今大会を見てもすごく決めていると思うので、そこはしっかり抑えられたら」と、コメントした。

八村は以前、「どのポジションからも点数を取れることが強み」と、日本の強さを説明した。八村のワンマンチームではないと強調する言葉だったが、八村不在で臨む順位決定戦はその言葉が真実であることを証明する戦いとなる。誰よりも責任感の強い渡邊の活躍がカギとなりそうだ。