照りつける太陽のもと行われた全日本大学選手権(インカレ)2日目。この日は女子舵手なしペアの予選と、その他の敗者復活戦が行われた。敗者復活戦には早大から女子舵手付きフォア、男子舵手なしフォア、男子舵手なしクォドルプルが出場。女子は難なく準決…

 照りつける太陽のもと行われた全日本大学選手権(インカレ)2日目。この日は女子舵手なしペアの予選と、その他の敗者復活戦が行われた。敗者復活戦には早大から女子舵手付きフォア、男子舵手なしフォア、男子舵手なしクォドルプルが出場。女子は難なく準決勝進出を決めたものの、男子の二艇ははかなく散る結果となった。

★女子は全艇が準決勝へ(女子部)

 女子部からはこの日が予選となった舵手なしペアと、前日唯一予選を通過できなかった舵手付きフォアが登場した。舵手なしペアは、最初から飛ばし、自分たちのペースで試合を進めていく。尾嶋歩美(スポ3=埼玉・南稜)も「レースプラン以上」と話すほどの上々の出だしを見せたが、この好調さが原因となり、1000メートル以降はバテてしまう。そのため、当初予定していたようなラストスパートを掛けられず。また途中、艇が蛇行してしまうミスもあり、タイムロスも出てしまった。「きょうのレースでは練習でやってきたことが出しきれなかった」(尾嶋)。決勝では、自分たちのリズムで2000メートルを漕ぎ切りたい。

 一方の舵手なしフォアは、前日の予選では艇が伸びていかなかったが、この日はコックスのコールに合わせ伸びのある漕ぎを披露。スタートから一度も先頭を譲ることのない上々の出来で準決勝進出を決めた。しかし、中尾咲月(スポ1=三重・津)はスタートと中盤での漕ぎを課題に挙げる。風の影響などで体力を消耗し、「(中盤で)相手を離し切れなかった」のだ。さらにタイムも納得のいくものではないという。翌日の準決勝ではさらに強い相手と対峙(たいじ)することになる。「中盤で粘って、ラストスパートを伸ばしていけるように」(中尾)。女子部黄金時代の再興へ。総合連覇に向け、この種目で表彰台に登りたい。


前日の反省を生かし、無事に準決勝進出を決めた舵手付きフォア

★男子は二艇ともインカレに幕(男子部)

 男子部の二艇は、無念な結果に終わった。舵手なしフォアは、前日の予選で課題とされていた前半の漕ぎを改善し、500メートルをトップで通過する。しかし、「もう少しうまくできたかなというのが率直な感想」(土屋夏彦、スポ4=山梨・吉田)というように、自分たちの思うような力を出し切ることはできず、中盤には2番手に後退してしまう。その後も差を広げられ、ラストでは粘りを見せ詰め寄ったものの追い付けず。2位に終わり、決勝進出はかなわなかった。

 舵手なしクォドルプルはまさに完敗といえるだろう。法大、立大という強豪校と同じ組み合わせとなり、序盤から突っ込んでいかなければならない状況になった早大クルー。「体力がなくなっても、死んでもいいくらい」(牟田宜平、商4=兵庫・三田学園)というほどの速さで初めの500メートルを入り、700メートルまでは粘りを見せて食らい付いた。しかし、その後は法大、立大に差を付けられていってしまう。離されていく中でも執念を持ち、決して諦めない姿勢で果敢に漕ぎ続けた早大。だが、前を行く二艇とは明らかにレートが違い、全く差を詰めることはできず。20秒以上の差を付けられ、完敗を喫した。


必死に前を追う舵手なしクォドルプル

 この日敗れた4年生は、長年向き合ってきたボート競技に別れを告げた。まだ実感は湧かないというが、「色々な人にボート競技を通じて関わることができてすごく幸せだった」と川田翔悟(基理4=東京・早大学院)は語る。ボートを離れた後の人生も、心にボートは存在し続けるだろう。翌日以降もインカレは続く。今は勝ち残っているチームメートを力一杯応援し、仲間と共に笑顔で戸田を去っていきたい。

(記事 金澤麻由、写真 内海日和、平林幹太)

結果

▽男子部

【敗者復活戦】

【舵手なしフォア】

S:中川大誠(スポ3=東京・小松川)

3:川田翔悟(基理4=東京・早大学院)

2:岩松賢仁(スポ2=熊本学園大付)

B:土屋夏彦(スポ4=山梨・吉田)

6分49秒43 【2着 敗者復活戦敗退】

【舵手なしクォドルプル】

S:菅原陸央(政経1=秋田・本荘)

3:飯島温人(基理2=東京・早大学院)

2:牟田宜平(商4=兵庫・三田学園)

B:船木豪太(スポ2=静岡・浜松北)

7分07秒27 【3着 敗者復活戦敗退】

▽女子部

【予選】

【舵手なしペア】

S:三浦彩朱佳(文3=青森)

B:尾嶋歩美(スポ3=埼玉・南稜)

7分53秒68 【1着 決勝進出】

【敗者復活戦】

【舵手付きフォア】

C:勝又真央(スポ1=東京・小松川)

S:中尾咲月(スポ1=三重・津)

3:大崎未稀(スポ2=福井・美方)

2:茂内さくら(社1=秋田)

B:髙田涼花(社1=静岡・浜松西)

7分46秒20 【1着 準決勝進出】


コメント

【男子舵手なしフォア】

3:川田翔悟(基理4=東京・早大学院)

――きょうのレースを振り返って

きのうの反省を生かし、きょうはスタートでもう少し出ようという話をしていました。そこに関しては一応できたと思います。ですが、勝負所を見極めて四人でもう少しまとまることができたのであれば、もう少しいい勝負ができたのではないかと思います。そうしたのならば、勝てたのではないかと思います。

――事前の対談で、「漕ぎが全員違う」というお話がありましたが、その部分はインカレまでに改善できたのでしょうか

100パーセントまではできなかったのかなと思います。そこは敗因の一つだと思います。

――きょうの順位をどう受け止めていますか

純粋に悔しいなという思いがあります。自分はなしフォア(舵手なしフォア)で出るのは3回目で、もっと上の順位を取ったこともありました。よりによってラストイヤーで一番結果が悪いというのは純粋に悔しいですね。

――これが早大での最後のレースとなりました。今のお気持ちはいかがですか

あまり実感がないというか。普通にレースに出て負けたな、という感じしかありません。高校からトータル7年間やっていますが、ボート競技生活が終わったという感じはまだしていません。普通に試合で負けて悔しいなという感じですね。

――7年間のボート人生を振り返っていかがでしたか

あまり中学まではスポーツに打ち込んだりすることはなかったので、初めて打ち込めるスポーツに出合えたことは自分にとって良かったと思います。「どうやったら速くなれるかな」「うまくなれるかな」などを考えること、自分にとってこんなにも打ち込むことのできるスポーツがあったということを知ることができて良かったと思います。

――インカレはあす以降も続きますし、インカレ後も漕艇部は続いて行きます。あす以降奮闘する同期と、これからを担う後輩にメッセージをお願いします

同期はとりあえず最後になると思うので、月並みな言葉ですが、「頑張って欲しい」と思います。もちろん、レースが残っている後輩たちには頑張って欲しいという思いがあるのですが、今後という意味では、レースを重ねるごとに成長をしてほしいという気持ちがあります。やはり、「負けて悔しいな」で終わってしまっては意味がないと思います。大会ごとに同じ反省をしてほしくないと後輩には思っています。もちろん優勝してほしいですが、負けたときに敗因などがあると思いますが、同じ反省をし続けてほしくないと思っています。後輩にはそう思っています。

――最後に一言お願います

もちろん早スポの人もそうですし、ボートを始めたことで色々な人にボート競技を通じて関わることができてすごく幸せだったと思います。そういった人たちに改めて感謝を伝えたいです。

B:土屋夏彦(スポ4=山梨・吉田)

――きのうのレースを踏まえて、きょうはスタートでしっかり出たいとのことでしたが、レースを振り返っていかがですか

きのうのレースで前半が少し自分たちの思うような速さを出すことができなかったので、2日目は前半から攻めていこうという作戦でした。きのうよりはうまく行きましたが、もう少しうまくできたかなというのが率直な感想です。

――インカレ前の対談で、土屋選手はパワーの面でクルーに貢献していきたいとお話しになっていましたが、その面はいかがでしたか

クルーに貢献はできたんですけど、このクルーは後輩2人と4年生2人で構成されていて、自分がもう少し人間1人分以上の力を出していければもう少し結果は変わったのかなというのは少し心残りとしてあります。

――今回のインカレの結果はどのように受け止めていますか

すごく悔しいですし、もっと時間があればとかもっと自分がうまく練習でできていればという後悔はあるんですけれども、自分の実力分の結果が最後に出たんだなと感じていて、今の後輩たちにはラスト2年なり1年なりを成長するために費やしてほしいと感じています。

――早大として出場するのは最後のレースを終えて、今のお気持ちは

この寮生活もありますし、大学のスポーツは高校とは違って自分たちが楽しんで終わりではなくて、結果にシビアに向き合っていかないといけないのがプレッシャーにもなりましたし、大変でもありましたが、その部分が自分をより高みに成長させてくれたのかなと感じています。早大のボート部で四年間戦ってこられたのはすごくいい経験だったと思います。

――大学入学以前からの競技生活を振り返って

中学から始めたんですけど、正直こんなに長くやるとは思わなかったので、長かったなと思います。漕艇部のブログの方にも書かせてもらったんですけど、このしんどくて、なかなか勝てなくてという競技を始めたことに対して、今でも後悔できるくらい大変だったのですが、その中で友人や先輩後輩、指導者の方に出会えたのはすごく貴重な経験だったと思いますし、楽しませていただいたと感じています。しんどい9:楽しい1くらいの感覚ですが、でも楽しさが残ったということはいい競技生活だったのかなと思います。

――後輩や同期へのメッセージをお願いします

後輩たちには今回のような結果で終わらないように頑張ってほしいです。時間は長いと思えば長いし、短いと思えば短いので、焦らずに少しずつやっていってくださいと伝えたいです。同期に対しては別に死ぬわけではないのでこれからも仲良くしてくださいと言いたいです。

【男子舵手なしクォドルプル】

2:牟田宜平(商4=兵庫・三田学園)

――以前「悔いがないレースをしたい」と仰っていましたが、全日本大学選手権(インカレ)を振り返っていかがでしたか

きのうは「リラックスをしていこう」とクルー全体に言っていたら、リラックスをし過ぎてしまって、自分も途中にミスをしてしまったこともあって、リズムを取り切ることができずに自分たちの悪いところが出てしまいました。きのうのミーティングで策を練って、切り替えてきょうのレースには臨みました。法政と立教という自分たちより速いクルーがいて、きのうみたいに500メートルで出られてしまうと絶対に負けてしまうので、きょうは絶対に離れないで500メートルで突っ込んで、そこからは体力がなくてなっても死んでもいいくらいのことを言っていました。レース前もいい感じにアップをできて、途中は自分の前に乗っていた飯島(3:飯島温人、基理2=東京・早大学院)のミスオールもあったんですけど、それに引きずられずに切り替えて、700メートルくらいまではいい感じに粘ることができました。そこからは自分たちの詰めが甘かったというか、力不足の一言なんですけど、どんどん離れていった中で、離れてもきのうと違って絶対に離れないという後輩たちの執念を感じました。自分も今までの記憶の中でもだいぶしんどいレースだったんですけど、終わってみれば楽しかったかなと思っていて、できることは全部できたかなというのが率直なところです。この部活はスイープ種目に力を入れていて、スカリングはあまりしない中で、大会1カ月半前からスカリングに全員で乗って、自分も半年ぶりとか1年ぶりとかに乗って、なおかつ下級生が多かったんですけど、非常にまとめやすいクルーでした。船木(B:船木豪太、スポ2=静岡・浜松北)に関しては、今年の早慶戦、全日本(選手権)、インカレが同じクルーで、ほとんど1シーズン一緒に乗っていましたし、みんな下級生ながら信頼することができたクルーだったので、自分含めても出し尽くすことができたと思います。

――後悔なく終えることはできましたか

後悔が全くないかと言われたらそんなこともないんですけど、自分がインカレ期間中にできることはできたので、あとはあした以降、藤井(藤井拓弥主将、社4=山梨・吉田)とか、エイトとか、舵手付きフォアが残っているので、残りの4年生に目標をかなえてもらえるようにサポートしていきたいです。

――未経験で入部されて、早大漕艇部で過ごした日々はどのような時間でしたか

いろいろな人に言っているんですけど、めっちゃ長かったです。いい意味でも悪い意味でもなんですけど、濃密な四年間でした。未経験で始めたんですけど、指定校推薦で入学が決まって、12月くらいには入部することを決めていて、3月の初めにスポーツ推薦の人たちが早期入寮する1週間後くらいに、入学式前に入寮していました。先輩たちにずっと教えてもらっていて、割といい滑り出しができたと思っていたんですけど、1年生の終わりに怪我をして、2年生は丸々1シーズンリハビリをして、3年生のシーズン初めのお花見レガッタで3位になれて、いい感じだと思っていた中で、腰が良くなくなってしまって、インカレも動きが良くなくて舵手付きフォアから降ろされてしまいました。早慶戦は絶対に出たいと思って入部したので、最後4年生でどうにかしたいなと思っていて、早慶戦に選んでもらって、全日本、インカレも出させてもらって、率直に苦しかったというのはあるんですけど、悔いのない四年間でした。監督含めコーチや、同期、先輩、後輩に助けてもらいましたし、ボートに出会えて、いい人との出会いがあって、振り返ればいい四年間でした。

――最後に同期や後輩の皆さんに一言お願いします

自分は力もないですし、うまくはないので、上から言うことはできないんですけど、後輩は残り1、2、3年あって、苦しいことの方が絶対に多い中で、耐えたらいいことがあるなと自分は思っています。どれだけ苦しくても仲間がいるので、同期や先輩に頼って、絶対に悔いを残さずに頑張ってほしいなと思います。同期に対しては、未経験から始めて教えてもらったことが多くて、率直にありがとうというところがあります。漕艇部は寮生活なので、友達以上家族未満という感じで、自分含めて14人いて、一人一人を信頼していて、この仲間がいたのでしんどいときも耐えることができたのかなと思うので、率直に感謝したいです。引退してからもみんなで仲良くできればなと思います。

【女子舵手なしペア】

尾嶋歩美(スポ3=埼玉・南稜)

――きょうのレースプランを教えていただけますか

前半から前に出て、見渡せるレース展開でゴールまで漕ぎ切るというのが目標としてありました。その中でいくつか2人でポイントを決めていました。

――そのレースプラン通りできたかも含めて、きょうのレースを振り返っていただけますか

前半から自分たちのペースにもっていくというところでは、レースプラン以上に出来たと思います。しかし最初から飛ばしすぎたのもあり、半分の1000メートルを過ぎたあたりから少しバテてしまいました。そのため当初考えていたように最後にペースを上げることなどができなかったというのはあります。

――きょう得た収穫は何だと思いますか

きょうは艇が蛇行してしまいロスが多かったので、決勝に向けてそのロスを少なくして、真っ直ぐに漕げるよう徹底したいと思えたのは収穫です。またきょうは少しハイペースで入ってしまったというのもあったので、そこは自分たちがスピードに乗って漕ぎ切れるリズムで漕ぐというのを決勝に向けて、きょうの午後とあすの朝の練習で調整していきたいです。

――決勝はどのようなレースにしたいですか

きょうのレースでは練習でやってきたことが出し切れなかったので、きょうと同じように前半で前に出て、見渡せる展開を保てるようにしたいです。さらにラストもしっかりペースを上げて、気持ちよく漕ぎ切って1位を取りたいです。

【女子舵手付きフォア】

S:中尾咲月(スポ1=三重・津)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きのうはスイープでの初めてのレースでうまくいかない部分が多かったのですが、きょうはきのうの反省点を意識したレースができました。風が強くてバテてしまったというのもありましたが、きのうより良い漕ぎができたと思います。タイムは良くなかったのですが、パフォーマンスとしてはきのうのレースよりいいものが出せたかなというのはあります。

――きのうのレースではイベントが決まり切らなかったとのことでしたが

その部分できのうは船が全然伸びていかなかったのですが、きょうはしっかりコックスのコールに反応して伸びていく感じがあったので、その点ではきのうよりよかったと思います。

――きょう見つかった改善点はありますか

1000メートルくらいの中盤で少しバテてきちゃうというのはあって、きょうはそこで相手を離しきれなかったので、あしたは中盤でもう少し船を伸ばしていけるように、という部分がきょうの改善点です。

――あしたの準決勝はどのようなレースにしたいですか

きょうは少しスタートが上手くいかなかったので、あしたはスタートを決めるというところときょうダメだった中盤をしっかりやりたいです。あしたの当たりはけっこうレベルが同じくらいなのでかなり厳しいと思うのですが、しっかり中盤で粘って、ラストスパートを伸ばしていけるようにしていけたら良いかなと思います。