[秋季リーグ第2戦 9月1日 日大八幡山体育館 立大 37−27法大]

秋季リーグ第2戦が1日、日大八幡山体育館で行われた。法大と対戦した立大は序盤からテンポ良く得点を重ね、10点差をつけて今季初白星を挙げた。

この日注目されたのは、山本千尋(コ3=浦和学院)と法大の兄・祐輝(4年)の兄弟対決。リーグ戦での最後の直接対決を制した千尋は試合後、「これでもう兄弟対決と騒がれなくなるのは嬉しいけど、今まで兄を見て成長してきた部分もある。リーグ戦の楽しみでもあったため、そういう意味ではちょっと寂しい」と素直な気持ちを吐露した。


後半には激しいマッチアップも繰り広げられた

“イケメン兄弟”の対決に、日大八幡山体育館の観客が酔いしれた。前半を18−11と7点リードで折り返した立大は、後半から絶対的エース・千尋が大車輪の活躍を見せる。1分にセンターから切り込み今試合初得点を挙げると、3分にも連続得点をマーク。7分、10分には高い打点からワンバウンドシュートを突き刺した。

ディフェンスでもチームを支えた背番号21は、183㌢の高身長を生かしたシュートブロックで相手の攻撃を完全ブロック。素早いプレスでボールを奪取すると、自らがカウンターの起点となりラストシーズンの主将・関根(コ4=浦和学院)、比嘉(コ4=浦添)ら4年生の活躍に花を添えた。

マッチアップは後半15分過ぎ。センターから切り込む祐輝と対峙すると、激しいコンタクトプレーでコート外へ追い込んだ。その後も守備の要となり、終わってみれば10点差で勝利。兄の前で千両役者ぶりを発揮し、チームの今季初白星に貢献した。


山本千尋(やまもと・ちひろ)、1999年2月4日生、コミュニティ福祉学部3年、浦和学院、183㌢、背番号21、右

怪我で欠場した2019年度春季での対戦を除くと、リーグ戦での対戦は3度目。初の対戦となった2017年度春季では1年生ながら出場し、3得点をマーク。兄との“再会”の場で活躍するもチームは敗れ、同シーズンは1勝8敗で最下位に低迷。入れ替え戦でも敗戦し、関東2部リーグ降格となった。

2戦目となった2018年度秋季では2得点を挙げるも、祐輝は5得点をマーク。チームは前半を5点リードで折り返すも後半に逆転を許し、26ー28で惜敗していた。

3度目となった今回の対戦だったが、「試合になれば敵だから、やってやろうとしか思わない」と平常心で挑んだ。大学ラストシーズンである祐輝との“最後の兄弟対決”を楽しみつつ、勝ちにこだわる姿勢を貫くと、3得点の祐輝を上回る4得点をマーク。個人としてもチームとしても勝利を収め、「気持ちを作って良い入りができた」と満足げだった。

試合後は祐輝とともに関根、杉山(コ2=浦和学院)、法大の佐々木(2年)ら“浦和学院メンバー”と会話を交わす場面も見られた。リーグ戦で法大に勝利したのは、現4年生が入学して以来初の快挙。祐輝をライバルと位置付ける関根も「まさか法政に勝つなんてな!(笑)」と興奮気味に場を盛り上げた。千尋もうなずき、「一緒に写真撮ろう」と持ちかけると、最後は保護者たちのカメラに笑顔で写った。兄弟対決だけではない、“同窓対決”も印象的な一戦だった。


山本祐輝(やまもと・ゆうき)、1997年5月13日生、4年、浦和学院、180㌢、背番号3、右

観戦に訪れた母・裕子(ひろこ)さんは「どっちも応援してます」と、違うユニフォームを着た二人の活躍を見守った。

「どっちを応援しているかよく聞かれますけど、どっちが勝ったから嬉しいってわけでもなく、お互いがやるべきことをやって自分の役割を果たしていれば良いと思っています。二人はそんなに一緒に話すわけではないけど、高校の時は話さなくてもなんとなく通じ合っているようで。今は大学は違うけど、お互いの強みや弱みを把握していると思うので、対戦は楽しみにしているんだと思います」。

三兄弟の母として、食生活でも千尋を支えている。高校時代からの成長を感じる部分は「食生活の変化」。千尋が大学での授業や部のトレーナー、栄養士から教わったメニューを実生活に取り入れているようで、リクエストをもとに裕子さんが“勝負飯”を作っているという。「試合の何日前からこれを食べるとか、炭水化物多めとかを千尋自身が考えている。色々なところで習ったことを取り入れていて、それは良い変化だと思います」とコート外での息子の努力を讃え、今後に向けては「当たり負けすることも多かったから、体作りを頑張るとさらに強くなる」と力強いエールを送った。


ベンチから戦況を見守る祐輝(左)と攻撃の機会を伺う千尋

兄弟対決はまだ終わらない。今春、山本家の三男・浩介が法大ハンドボール部に入部。未だリーグ戦の出場はないものの、182㌢の恵まれた体格は二人の兄に引けを取らず、今後は千尋との“新・兄弟対決”も期待される。

三兄弟は「家ではほとんど話さない」関係だが、刺激を与え合える存在であることは間違いない。春季リーグは怪我で出場機会に恵まれなかった次男・千尋にとって、チームは違えど同じ関東1部リーグで戦っている兄弟の活躍は刺激になり、対戦は「楽しみ」。まずは立大の主軸としてチームを勝利に導き、ハンドボール一家・山本家でも結果で兄弟を引っ張っていくつもりだ。
(9月6日・小根久保礼央)