文=鈴木栄一 写真=FIBA.com

「一瞬のフィジカルのコンタクト、反応が違いました」

日本代表が45-98で大敗を喫したバスケワールドカップのアメリカ戦では、過去2試合で出番のなかった選手がコートに立った。安藤誓哉にとっては、大会3試合目にしてようやく巡ってきた待望の初舞台だった。

「トルコ戦、チェコ戦も何とか出たいと準備はしていましたが、チャンスがありませんでした。今日も同じく準備をして、昨日の夜から過ごしました」と、いつもと変わらないアプローチで試合に臨んだが、それでもワールドカップ初出場、しかも相手は世界最強チームだ。

「正直、緊張しました。ポイントガードですし、平常心を保とうと思っていましたが、初めてのワールドカップ、アメリカ戦だったこともありました。次はもっと落ち着いていきたいです」

あらゆる面で圧倒されたアメリカ戦だが、中でも「本当に一瞬のフィジカルのコンタクトだったりとか、反応だったりが違いました」と印象に残る差を語る。

大きな壁を見せ付けられる敗戦だったが、それでも実際に体感できたことは、これからの自身のステップアップをおいて大きな意味がある。「今日この試合でやった感覚を絶対に忘れない。イメージしていても実際にこの場に立たないと分からなかったことはあります。その身体で感じたものを今後もずっと、本当に思い続けながらバスケット人生を送っていこうと覚悟を決めました。今はそういう気持ちです」

「1勝を取りにいきたい。だから下を向く暇はない」

ワールドカップという本気のアメリカ代表と、試合の序盤に対峙したからこそ得られた体験は、安藤にとってはまさにこれからのキャリアの指針となるべきものとなった。

それでも、まだ大会は終わっていない。「本当に1勝を取りにいきたい。だから下を向く暇はないと思っています」と安藤が語る通り、順位決定ラウンドのニュージーランド戦、モンテネグロ戦は、日本にとって貴重な実戦の場だ。

「次に順位決定戦があることをプラスに考える。僕たちの目標である欧州のチームに1勝するチャンスはまだあります。そして、ニュージーランドとは親善試合でやっていますけど、もう一回引き締め直せば勝てると思うので、前を向いていきたいです」

アメリカ戦をただの大敗で終わらせないためにも、順位決定戦は結果と内容の両方が問われる。そして、中1日で試合が続く過酷な日程において、ベンチスタートの選手のパフォーマンスがより重要になってくる。だからこそ残り2試合で、安藤により多くのチャンスが与えられることも期待したい。