写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグで見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。

今回は9月5日の、ノジマTリーグ・T.T彩たまVS岡山リベッツ戦。神巧也(9月世界ランキング92位・T.T彩たま)と林昀儒(リンインジュ・同10位・チャイニーズタイペイ)の試合に迫る。

2019年3月には世界ランキング300位台であった神巧也は、持ち前のガッツあるプレーでワールドツアーでは本戦出場する機会が増えている。特に8月のブルガリアオープンでは張本智和(同5位・木下グループ)に敗れたものの、ベスト8まで登り詰めている。

その結果、わずか半年で世界ランキングは自己ベストの92位まで上げてきており、現在急成長中だ。

対する林昀儒は、6月のジャパンオープン決勝で中国の許昕(シュシン・同1位)相手に堂々の戦いぶりを見せ、準優勝。それを皮切りに、7月のT2ダイヤモンドで樊振東(ファンジェンドン・同2位)と馬龍(マロン・同3位)の中国主力選手2人を破り、堂々の優勝。

また、8月のチェコオープンでも強豪ドイツのダブルエース、ティモ・ボル(同7位)とドミトリ・オフチャロフ(同12位)を破って優勝しており、世界のトップの仲間入りを果たした。

神巧也が、世界のトップで戦う林昀儒にどのようにして勝利したのか。そこには神ならではの2つの秘訣があった。

ノジマTリーグ T.T彩たま 対 岡山リベッツ:神巧也VS林昀儒




写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部

詳細スコア

○神巧也 3-2 林昀儒
11-9/4-11/11-8/6-11/11-8

1. 回転の読みにくい“神サーブ”




写真:神巧也(T.T彩たま)のサーブの配球/図:ラリーズ編集部

神巧也のサーブは世界でも屈指のわかりにくさで、“神サーブ”と呼ばれることもある。その威力は世界トップレベルのレシーブ力を誇る中国・馬龍でもレシーブが上手くいかず、首をかしげるほどだ。

今回の試合でも、神が放った1本目の“神サーブ”から林昀儒はレシーブを高く浮かした。この1本がまさにこの試合を象徴していると言っても過言ではない。

チキータを得意とする林に対して、神は定石通りのフォア前とバックロングというサーブの配球を徹底した。

林はフォア前のサーブに対してもバックで回り込んでチキータをするが、回転が読みにくく、変化が多い神のサーブに対してはチキータのミスが多くなった。さらにバック側へロングサーブを出されるため、思い切ってフォア前を回り込めず、林はチキータの鋭さが弱まってしまった。

質の高い神のサーブは、林の得点を支えるチキータを弱める上で終始有効だったといえる。そのため林の強みのチキータを引き出させずにその後のラリーを有利に進めることができたのだ。

2. 広角に動かされても動ききる運動量




写真:神巧也(T.T彩たま)のラリー戦でのコース取り/図:ラリーズ編集部

“神サーブ”が有効といえど、相手は世界でもトップクラスの選手。レシーブは甘くなっても返ってくる。また林のサーブからはラリー戦になることは必至だ。

神が林を上回った要因の一つに、広角に振られても動ききるフットワークとラリー力が挙げられる。

林のサーブも長短の変化がわかりにくく、神のレシーブは林のバックに集まりがちであった。それに対して林は主にバックドライブで攻め、神がそれをカウンターするという展開が多く見られた。

神のカウンターに対し、林は堅いブロックで対処し、神を台から下げ、大きく動かす。しかし、神は両ハンドでミスなくドライブを連打し、防戦一方になった林を打ち抜いた。

また神は決定打を林のフォア側に打ち抜くシーンが印象的だった。ブロックで神を振り回している林にとって、フォア側への神のフォアドライブは、コースが読みづらく、反応がやや遅れたことも、神がラリー戦で上回った要因だと考えられる。

まとめ

今回上げた2つの秘訣は、高速化し、前陣でのラリーが主流になってきている現代卓球とは少し異なるかもしれない。しかし、いずれも神巧也ならではの強みといえる。

ボールに食らいついていくガッツあふれるプレーで、世界ランキングトップ10を破り、自信をつけたであろう神巧也。どこまで成長するのか。これからの活躍からも目が離せない。

文:ラリーズ編集部