文=鈴木栄一 写真=FIBA.com

連敗を喫すも、個人では2試合続けて2桁得点をマーク

バスケワールドカップで日本代表はトルコ、チェコと2試合続けて2桁の点差で敗退と、文字通り世界の壁の高さを痛感している。ただ、その中でも安定したパフォーマンスを見せている数少ない選手の1人がニック・ファジーカスだ。

昨日のチェコ戦、ファジーカスはフィールドゴール7本中5本成功の12得点に10リバウンドを記録。八村塁、渡邊雄太がオフェンスのファーストオプションとなることで、絶対的エースである川崎ブレイブサンダースの時と違いボールタッチがかなり少なくなる中、それでも15得点のトルコ戦(フィールドゴール9本中6本成功)に続いて、高確率でシュートを沈め2試合続けて2桁得点をマークしたのはさすがの決定力だ。

また、相手の長身ビッグマンに1対1のゴール下で押し切られる場面もあったが、スタッツを見ればトルコの210cmセミー・エルデンは8得点、チェコの217cmのオンドジェイ・バルヴィーンは7得点にとどまっており、全体的にはゴール下での守備でも奮闘している。これまで日本代表はアジアレベルにおいても、センターのところで後手に回ることが多かったことを考えれば、ファジーカスの加入が本当に大きいことをあらためて示す今大会となっている。

「トルコ戦と同じでシュートの調子は良かった。フリースローを外した(4本中1本成功のみ)のはがっかりしたけどね」と、シュートタッチの良さが続くファジーカスは、前述のように欧州の強力ビッグマンと渡り合えている理由はこう見ている。

「マッチアップしたバルディーンは、大きくて動ける厄介な選手だった。ただ、連続してタフな相手とマッチアップすることで慣れも出てくる。スカウティングレポートを見て、外からのシュートを狙っていけると思った」

「守備はペイント近くに収縮してしまっている」

このように個人としては上々のプレーを見せているファジーカスだが、それがチームの勝利へと繋がっていないことには厳しい表情を見せる。チェコ戦の試合後は、「今日は勝たないといけない試合だったし、勝てるチャンスもあった。前半は良くて5点差で折り返すことができたが、後半はうまくいかなかった。この結果に失望している」と率直な気持ちを明かす。

そして、日本でのトレーニングマッチの時から浮き彫りになっている3ポイントシュートへのディフェンスの脆さについてこう語る。「守備はペイント近くに収縮してしまっている。今、ディフェンスに関しては、このレベルで競っていくには多くのやるべきことがある。それをトルコ、チェコ戦が証明する結果になってしまった」

また、ファジーカスは「まだまだ塁は持っているポテンシャルの上辺だけを見せているにすぎない。来年の東京オリンピックまでにどれだけ成長しているのか楽しみだ」と八村の才能には絶大な信頼を寄せている一方で、我々メディアも含めみんなが彼に多くを求めすぎることに警鐘を鳴らし、チーム全体がステップアップしないといけないと言う。

「多くのメディア、人々が大きな期待するけど塁はまだ21歳の若者だ」

昨日のアメリカvsトルコ戦の結果を受け、日本は明日のアメリカ戦を前に2次ラウンド進出の可能性がなくなった。ただ、順位決定戦もあり大会はまだ続いていく。ファジーカスの「2020年の東京オリンピックでは、より強くなってカムバックしたい」という目標のためには、残り試合これまで以上の強い気持ちで戦わないといけない。