菅平で迎えた関東大学対抗戦の開幕戦。慶大は青学大と対戦した。開始早々にペナルティーゴールで先制点を献上するも、スクラムでの強さを見せつけ前半3つのトライを奪い21−3で試合を折り返す。後半はゴールライン付近での反則も散見され、押し込みな…

 
 菅平で迎えた関東大学対抗戦の開幕戦。慶大は青学大と対戦した。開始早々にペナルティーゴールで先制点を献上するも、スクラムでの強さを見せつけ前半3つのトライを奪い21−3で試合を折り返す。後半はゴールライン付近での反則も散見され、押し込みながらも中々追加点が奪えない。ただ、ディフェンスでは付け入る隙を与えず青学大の攻撃陣をシャットアウト。35−3でノーサイドとなり開幕戦勝利を収めた。

 
 試合開始早々からゲームは動いた。慶大にノックオン、オフサイドと反則が続き青学大がペナルティーキックから前半3分に先制点を奪う。しかしその後はFW陣がスクラムやラックで青学大を圧倒。前半13分にスクラムトライを決めると、前半16分にはフランカー川合秀和副将が強引な突破からビックゲイン。得点にこそ結びつかなかったが強さを見せた。前半27分にラインアウトから川合、NO・8山本凱とパスを回し、SO中楠一期が大きく前進。最後は山本がトライを挙げると、続く前半31分にもラインアウトモールで押し込み、ラック化したところをフッカー原田衛がグラウンディング。前半終了間際には青学プロップが度重なるコラプシングで、シンビンにより一時退場処分を受けるなど力の差を見せつけた。


相手ディフェンスラインの突破を図る川合

 
 後半も試合は慶大ペースで進んだが、敵陣深くまでは侵入するものの得点が挙げられない。「修正点はボールを持ち込んだ時のブレイクダウン」と、栗原徹ヘッドコーチが口にしたように青学の粘りの守備に苦しんだ。後半13分のインゴールまで持ち込みながらグラウンディングができないという場面は象徴的なシーンと言えるだろう。またノットリリースザボールやノックオンの反則が増えたことも要因だ。その中で後半慶大に生まれた2つのトライはいずれも似たようなかたちであった。後半20分にラックから左タッチライン付近にスペースを見つけたWTB宮本恭右がトライ。後半42分にも同様にラックから右サイドに展開し、宮本がインゴールにボールを着地させ、35−3でノーサイドを迎えた。


5ゴールを成功させたSO中楠一期

 
 「FWで低く相手に突き刺さったり、ゲインできた部分はいい点だった」と、川合が語るようにFW陣の活躍には光るものがあった。一方でゴールラインに迫りながらミスが生まれてしまうなど、課題も見られる試合となった。ただ、勝利して次戦に向けての修正ができる点はポジティブだ。開幕戦で幸先のよい勝利を挙げた慶応。目標である『大学日本一』に向けての戦いが今始まった。

(記事 橋口遼太郎、写真 布村果暖、山口日奈子)

コメント

栗原徹HC*記者会見から抜粋

――HCから一言コメントをいただきたいと思います

 本日はお忙しい中お越し下さいましてありがとうございます。菅平での開幕ということで、非常に楽しみにしていましたし、色んな16大学チームが集まってすごく盛り上がっている中で、慶大も良いパフォーマンスができたと思います。修正点はまだ色々ありますが、今後に向けて良い第一歩が踏み出せたかな、と思っておりますので今後とも慶応の応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

――ご自身の関東大学対抗戦初采配ということで、合宿の延長という感覚もあったかと思いますが、実際に公式戦を初めて指揮して勝利に導けたという所は、率直にどのようにお考えになっておられますか

 やってきた練習、準備してきたものの先に勝利があるものですので、結果勝利を手に出来たことは非常に良かったと考えていますし、また準備してきたものを出し切れなかった部分もあるので、次に向けて修正したいなと思っています。

――先ほどのコメントで「できた部分」と「できなかった部分」というお話があったのですが、ピッチサイドから見ていてFW陣の頑張りがあったように思います。HCから見て特に出来た部分と次節に向けて修正が必要な部分、ありましたらお聞かせください

 慶大は春、すごく雑なラグビーをしていました。ですが、だんだんと丁寧なラグビーができるようになってきました。そこは収穫のポイントです。修正のところはボールキャリー、ボールを持ち込んだ時のブレイクダウンのところだと思っています。青学大にノットリリース・ザ・ボールを3、4回取られたので、そこはかなりフォーカスして練習してきたのですけれども、青学大に対してそこはしっかりとできなかったので、次節の筑波大に対してしっかりできるように準備したいと思います。

フランカー川合秀和

――ゲームキャプテンから一言コメントをいただきたいと思います

 初戦ということで自分たちのやるべき事を意識して取り組みました。実際、少しできた部分とできなかった部分があって、上手くいったことと共に多く課題も残る試合であったのですが、しっかりとまず初戦勝利できたことは次に繋げられる部分だと思っています。そこはポジティブに受け止めて、次の筑波大学戦に向けて準備していきたいと思っています。

――先週に明大との練習試合を行い勝利しましたが、その試合からきょうの試合に向けてどのような心境、どのような心づもりでこの一週間準備してきたのですか

 自分達は長年優勝できていなくて、明大戦からチャレンジャーマインドを持って、自分達はまず挑戦者、日本一になるためどのチームに対しても挑戦者であるということを話し合っていて、今回の青学大戦でも、自分達は挑戦者としてここから日本一に向けての試合をするんだ、という心境で、チャレンジャー精神で準備をしてきました

――先ほどのコメントで「できた部分」と「できなかった部分」というお話があったのですが、ピッチサイドから見ていてFW陣の頑張りがあったように思います。ゲームキャプテンから見て特に出来た部分と次戦に向けて修正が必要な部分、ありましたらお聞かせください

 しっかりと今回はセットプレー、明大戦に向けてFWのスクラムをもう少し練習していこう、という中でセットプレーの攻防で勝てたということは良い点であって、しっかりFWで低く相手に突き刺さったり、ゲインできたという部分は良い点だったかなと思うのですが、上手くいかなくなった時であったり、そういった部分で自分たちのやることが明確であるにも関わらずそれができていないという部分はゲームマネジメントが少しできなかった部分かなと思います

関東大学対抗戦
慶大スコア青学大
前半後半得点前半後半
2114
35合計
【得点】▽トライ 宮本2、山本2、原田 ▽ゴール 中楠(5G) 
※得点者は慶大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ順位表(9月8日現在)
順位チーム試合得点失点得失トライ
帝京大11007877112
早大110068105810
慶大1100353335
明大11005933269
筑波大10013359‐265
青学大1001335‐320
日体大10011068‐581
成蹊大1001778‐711
勝ち数の多い大学を上位とし、勝ち数が並んだ場合は同順位とする。
関東大学対抗戦Aグループ星取表
 帝京大早大慶大明大筑波大青学大日体大成蹊大
帝京大11/10 14:00秩父宮11/30 11:30秩父宮11/24 14:00秩父宮11/4 14:00駒沢9/14 15:00大和9/8 15:00帝京大G◯78‐7
早大11/10 14:00秩父宮11/23 14:00秩父宮12/1 14:00秩父宮9/15 16:00ケーズデンキ9/8 16:00早大G◯68‐1011/4 11:30駒沢
慶大11/30 11:30秩父宮11/23 14:00秩父宮11/10 11:30秩父宮9/8 11:00たつのこF◯35‐311/4 14:00上柚木9/14 11:30秋葉台
明大11/24 14:00秩父宮12/1 14:00秩父宮11/10 11:30秩父宮◯59‐3311/4 11:30上柚木9/15 15:00足利9/8 15:00明大G
筑波大11/4 14:00駒沢9/15 16:00ケーズデンキ9/8 11:00たつのこF●33‐5911/30 14:00江戸川11/24 14:00敷島11/10 14:00熊谷B
青学大9/14 15:00大和9/8 16:00早大G●3‐3511/4 11:30上柚木11/30 14:00江戸川11/10 11:30熊谷B11/24 11:30敷島
日体大9/8 15:00帝京大G●10‐6811/4 14:00上柚木9/15 15:00足利11/24 14:00敷島11/10 11:30熊谷B11/30 11:30江戸川
成蹊大●7‐7811/4 11:30駒沢9/14 15:00秋葉台9/8 15:00明大G11/10 14:00熊谷B11/24 11:30敷島11/30 11:30江戸川

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、足利は足利市総合運動公園陸上競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、明大Gは明大八幡山グラウンド、菅平は菅平サニアパークM/C、筑波大Gは筑波大つくばグラウンド、敷島は群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場、上柚木は上柚木公園陸上競技場、たつのこFは茨城たつのこフィールド、ケーズデンキはケーズデンキスタジアム水戸、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。